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  1. 宮城県議会 1998-09-01
    10月05日-04号


    取得元: 宮城県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-18
    平成10年  9月 定例会(第274回)        第二百七十四回宮城県議会(定例会)会議録                         (第四号)平成十年十月五日(月曜日)  午前十時一分開議  午後三時十分散会        議長        佐々木久壽君        副議長       黒須光男君出席議員(六十一名)        第一番       遊佐美由紀君        第二番       横田有史君        第三番       藤原範典君        第四番       秋葉賢也君        第五番       安住政之君        第六番       池田憲彦君        第七番       村井嘉浩君        第八番       菊地文博君        第九番       安藤俊威君        第十番       熊谷義彦君       第十一番       岩渕義教君       第十二番       小野寺初正君       第十三番       菅間 進君       第十四番       袋  正君       第十五番       安達 豊君       第十六番       森 信之君       第十七番       中村 功君       第十八番       渥美 巖君       第十九番       柏 佑整君       第二十番       菊地健次郎君      第二十一番       畠山和純君      第二十二番       安住宣孝君      第二十三番       内海 太君      第二十四番       坂下康子君      第二十五番       木村洸也君      第二十六番       本多祐一朗君      第二十七番       石橋信勝君      第二十八番       伊東 憲君      第二十九番       萱場正美君       第三十番       長谷川 章君      第三十一番       渡辺栄一君      第三十二番       土井 亨君      第三十三番       藤倉知格君      第三十四番       遊佐雅宣君      第三十五番       千葉 達君      第三十六番       高橋浩一君      第三十七番       佐藤勝彦君      第三十八番       菊地 浩君      第三十九番       高橋長偉君       第四十番       大沼迪義君      第四十二番       佐々木ひろし君      第四十三番       菅野信男君      第四十四番       長谷川 正君      第四十五番       坂下清賢君      第四十六番       長島秀道君      第四十七番       錦戸弦一君      第四十八番       庄子 守君      第四十九番       根深善雄君       第五十番       斎藤栄夫君      第五十一番       黒須光男君      第五十二番       高橋健輔君      第五十三番       文屋 公君      第五十四番       高橋俊也君      第五十五番       伊藤康志君      第五十六番       相沢光哉君      第五十七番       斎藤正美君      第五十八番       渡辺和喜君      第五十九番       今野隆吉君       第六十番       大沼謙一君      第六十二番       佐藤 勇君      第六十三番       佐々木久壽君欠席議員(一名)      第六十一番       千葉正美君欠員(一名)      第四十一番---------------------------------------説明のため出席した者      知事              浅野史郎君      副知事             丹野諒二君      副知事             東尾 正君      出納長             今里寅男君      公営企業管理者         松木伸一郎君      総務部長      事務吏員  柿崎征英君      企画部長      事務吏員  熊谷 繁君      環境生活部長    事務吏員  石附成二君      保健福祉部長    事務吏員  寺島英毅君      商工労働部長    事務吏員  吉田協一君      農政部長      事務吏員  菅原清毅君      水産林業部長    事務吏員  千葉眞弘君      土木部長      技術吏員  渋谷 恒君      国体推進局長    事務吏員  佐藤健一君      出納局長      事務吏員  鈴木信夫君      企業局長      事務吏員  高橋 渉君      総務部次長                事務吏員  加藤正人君      兼秘書課長      総務部参事                事務吏員  三浦秀一君      兼財政課長   教育委員会      委員長職務代行         大場恒一君      教育長             遠藤嘉彬君      教育次長            斎藤 進君   選挙管理委員会      委員長             郷古康郎君      事務局長            米澤 健君   人事委員会      委員長             武田武男君      事務局長            熊谷弘康君   公安委員会      委員長             早川二郎君      警察本部長           佐野智則君      総務室長            佐々木 学君   地方労働委員会      事務局長            山田洋治郎君   監査委員      委員              渡邊達夫君      事務局長            徳江武志君---------------------------------------   議会事務局      局長              並木孝氏君      次長兼総務課長         阿部迪夫君      議事課長            遠藤幸之君      調査課長            金 吾郎君      副参事兼総務課長補佐      高橋久美君      議事課長補佐          伊東教夫君      調査課長補佐          氏家 修君      上席主幹兼記録係長       佐藤 昭君      上席主幹兼議事係長       森屋 清君      主幹兼委員会係長        菅原 清君      主査              布田惠子君---------------------------------------    議事日程    第四号          平成十年十月五日(月)午前十時開議第一 会議録署名議員の指名第二 議第九十四号議案ないし議第百二十号議案並びに報告第八号第三 一般質問   〔菊地文博君、小野寺初正君、中村 功君、内海 太君〕---------------------------------------    会議に付した事件一 日程第一 会議録署名議員の指名二 日程第二 議第九十四号議案ないし議第百二十号議案並びに報告第八号三 日程第三 一般質問   〔菊地文博君、小野寺初正君、中村 功君、内海 太君〕--------------------------------------- △開議(午前十時一分) ○議長(佐々木久壽君) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は、お手元に配布のとおりであります。---------------------------------------会議録署名議員の指名 ○議長(佐々木久壽君) 日程第一、会議録署名議員の指名を行います。 会議録署名議員に、二十六番本多祐一朗君、二十七番石橋信勝君を指名いたします。--------------------------------------- △議第九十四号議案ないし議第百二十号議案・報告第八号・一般質問 ○議長(佐々木久壽君) 日程第二、議第九十四号議案ないし議第百二十号議案並びに報告第八号を議題とし、これらについての質疑と日程第三、一般質問とをあわせて行います。 十月二日に引き続き、質疑、質問を継続いたします。八番菊地文博君。  〔八番 菊地文博君登壇〕 ◆八番(菊地文博君) 「私は信念とリーダーシップの政治家であり、コンセンサスの政治家ではない」--いみじくも英国病で病むイギリス経済をよみがえらせた元英国首相マーガレットサッチャー女史の言葉であります。ドイツの歴史的な戦略家でもあるクラウゼビッツも、その名著「戦争論」において、「一頭のライオンが指揮する百頭の羊は、一頭の羊が指揮する百頭のライオンにまさる」と、すぐれたリーダー性の必要性を指摘いたしました。しかし、残念ながら日本の現状は、百一頭の羊の彷徨という状況になっております。日本は、今、新たな世紀を迎えようとする中で、あらゆる分野でリーダーシップが必要であると言われております。群れを守って戦い、群れを安全な方向に導くリーダーを持たない羊の群れ、それが現在の日本の姿をあらわしているような、そんな感じがいたします。 個人預金一千二百兆円という世界最大規模の金融資産を持ちながらも、長期化する経済不況と財政破綻の暗やみを逃げ惑い、多くの国民が方向感を失い、国全体が閉塞感に覆われているのであります。リーダーとは、すぐれた先見力を発揮し、進むべき道を示し、勇気と決断を持って指導力を発揮していく。そして、その結果に、みずからがすべての責任を負うというのが本来の姿であります。 今や、企業倒産も失業者の数も戦後最大級となりつつある景気の低迷、深刻化する金融機関の不良債権問題など、我が国に起こりつつある問題は、決して予期されなかったものではなく、またその処方せんも提示されていなかったというわけでもないのであります。政治、経済界のトップに位置する方々が、現実を直視せず、みずから困難を切り開くという気概を持たず、問題を先送りしてきたことが最大の原因であります。とりわけ顕著なのは、リーダーに不可欠な責任感の欠如であります。現在、本県の経済苦境の大きな要因となった徳陽シティ銀行を初めとして、昨今、経営破綻した金融機関においても、いずれの役員が退職金の返還や私財の提供を行ったというのでしょうか。そして、だれもがその責任を追及することさえないのであります。今回、国家的な問題となった長銀でも、経営破綻を引き起こした当時の頭取に、約十億円もの退職金が支払われ、再建計画の一環として自主的な返還を求めたものの、いまだ返還を明言していない状況にあります。また、このような事態を引き起こした護送船団方式、裁量行政をつかさどってきた大蔵省の官僚の中で、だれが責任を問われたでしょうか。 政治も同様であります。今回の長期化する経済不況は、全くの政策ミスが原因であったにもかかわらず、時の最高責任者がどのような責任をとったというのでしょうか。巨額の経済損失が発生する中で、多くの国民が失業という災禍に見舞われ、その回復のために更に多額の公費が投入される。この責任は、単に職を辞するというだけでは決して済まされないはずであります。また、国民に、国政運営の非を認め、謝罪したことが一度たりともあったでしょうか。県政も同様であります。国際ゆめ交流博覧会の赤字補てんのために、二億六百万円の県費が投入されましたが、果たしてだれが、その公費の重みを感じ、具体の責任を明らかにしたのでしょうか。国、地方を問わず、我が国の多くの分野で、リーダーの責任感の欠如、これが社会全体のモラルハザードを引き起こしている面は否定できないのであります。信なくば立たず、トップが責任感とその表裏にある決断力、指導力を示してくれない。このことが、国民の信頼を失わせたということになるのではないでしょうか。 本来、リーダーとは、みずから決断し、強力な指導力を発揮していかなければなりませんが、実態はこれと大きく乖離している実情にあります。指導力のあり方について、ボトムアップかトップダウンかの議論や、組織内のコンセンサスを得てという議論もありますが、最終責任者であるトップが、それを補佐し、仕える役割でしかない組織と調整し、コンセンサスを得るというようなことなど、本来、ありようがないのであります。この背景には、責任を負わない官僚組織が実質的な政策決定権限を行使し、それにまた政治も寄りかかるという、いわば、政と官との歪んだ主客転倒の構造がありました。経済も右肩上がりでパイが拡大しつつあった時代、あるいは冷戦構造の中で、日本一国主義が認められていた時代状況もあったと思います。しかしながら、もはや歴史的とも言うべき大きな転換期を迎え、思い切った社会経済改革を進めなければならない時代にあっては、リーダーが果たす役割はとてつもなく大きなものがありますし、これは時代の要請でもあります。責任も決断もあいまいのままでは、日本の未来はないのであります。このことを、私たちは現在の日本の姿から大いに学んだわけであります。 このような観点に立ってみれば、国政や本県の行政改革で課題となっているように、行政組織のあり方が議論の俎上に上ること自体が問題なのであります。執行に当たっての補助機関をどうするかというような内部的な問題は、トップである総理大臣や知事が決定すれば済むことであります。現に民間企業において、どのような内部組織にするか、事業本部制をしくべきか、プロジェクト推進室を新たに設けるべきかどうかは、株主総会の議決事項ではなく、すべて取締役会で決定します。また、大統領制のアメリカでも、それは大統領の専任事項であります。これはトップと補助機関との関係を考えれば、当然過ぎるほど当然の対応なのであります。 ただいま申し上げましたとおり、リーダーの役割の重要性は、かつてないほど高まりつつあります。宮城のあすは、知事がリーダーシップをどう発揮していくか、それにかかっていると言っても過言ではないのであります。しかし、具体の施策の取り組みを見てみますと、これほど時代が恐ろしい勢いで急速に変化しつつあるにもかかわらず、二十一世紀の宮城をどうするか、新しい時代に対応した県政をどう進めていくか、ビジョンも明確ではなく、時代を先取りした改革にどう取り組もうとしているのか、二年もかけて総合計画を策定する手法は、従来型の域を出ていないような感じがいたします。また、今回の勾当台会館に見られるように、なぜ決断までにこれまでの期間を要したのか、当初予算の審議の場で取り下げればよかったのではないかと思うのであります。 今回、県の行政改革第三次中間報告素案を見ても、強力なリーダーシップの発揮を支えるための官房機能の強化なり、国際化戦略に対応した組織体制をどう整備していくかも明確ではありません。三重県では、この四月から、知事官房として部長クラスの秘書室長を設置し、強力な布陣をしきつつあります。いずれにしても、旧来型の発想から転換を求められているにもかかわらず、知事は時代の要請にこたえたリーダーシップを発揮していないのではないか。この変化の時代におけるリーダーのあり方についてどうお考えなのか。そして、どのようにして強力なリーダーシップを発揮されようとしているのか。組織体制の整備とあわせて、その具体策についてお伺いをいたします。 この変化の時代を乗り越え、新しい宮城の創造に向けて、早急に今後の本県の歩むべき方向、取り組むべき課題を県民に明らかにするのが、リーダーとしての知事の責務であると考えます。既に、国では有識者を参集させた国家経済戦略会議を発足させ、二十一世紀の創造をするために、国政が取り組む課題、政策について検討を進めておりますが、本県でも内外の有識者から成る宮城県経済戦略会議を発足させ、その英知と情熱を結集し、社会構造の改革を含む思い切った検討を進める時期に来ていると考えますが、いかがでしょうか。更に、みやぎ夢大使制度と同様に、政策面を補佐する外部の人材を積極的に活用する政策補佐官制度を創設してはいかがと思いますが、お伺いをいたします。 このように、我が国は、名実ともにまことに大規模な構造変動を迎えつつあります。日本を取り巻く時代環境を冷静に直視すれば、これまでのさまざまな発想、制度、仕組みがそのままであり続けることは到底望むべくもないのであります。市場原理が浸透し、急速に競争が激化していくことが避けられない時代にあっては、農業も、建設業も、中小企業も、産業としていずれも生き延びていくためには、その技術力を向上させ、市場競争力を高めていく道しかないのであります。金融分野においても、護送船団方式が昔日のものとなり、さまざまな商品開発を通した競争が激化する中で、その資金効果を高めるための行動に出ることも明らかであります。県財政においても、既に一兆円を超す赤字を抱え、もはや倒産状態とも言うべき中で、抜本的なリストラや大幅な税収増に向けた地域開発、産業経済の振興策に取り組まなければならないことも明らかであります。 これだけの条件がそろっているにもかかわらず、政治も行政も産業界も甚だ危機感が乏しいのはなぜか。それはひとえに、現実を直視せず、旧来の発想なり姿勢に安住し、だれかが何とかしてくれるというあなた任せの意識と、いつかは株や地価も上がるといった神風的な意識がその根底にあるのではないかと考えるのであります。このような発想なり意識がもはや通用しないことは、ここ数年のさまざまな出来事を通して学んだはずであります。変化を先取りし、先手を打つ者だけが勝者となることは、歴史の教訓であります。今こそ、起こりつつある時代の変化を直視する勇気を持ち、新しい県土づくりに県民の総力を結集するときが来ていると思います。宮城が衰退の道をたどるのか、更に繁栄するのか、今、その分岐点に立っているのであります。 次に、地方財政についてであります。 「ここまで厳しい数字を前にすると、どう予算を組めるのか、だれにも経験のない作業である」--一九九〇年度予算編成方針説明会での神奈川県知事の言葉であります。本県の財政もまた年々悪化の一途をたどり、もはや非常事態とも言える危機的状況にあると言っても過言ではないのであります。県債残高は年々増加し、先月現在で一兆一千五百億円に達しました。他の財政指標を見ても、その悪化は顕著で、平成八年度ベースでは、経常収支比率が八四・四%、公債費負担比率が一四・七%、起債制限比率は一二%と、いずれの指標も年々増加する傾向にあります。人件費などの義務的経費である経常的経費が増加するという財政構造が硬直化する中にあって、公債費負担比率も警戒ラインとされる一五%を超えようとしているのであります。また、歳入全体に占める県債比率も年々依存度が高まり、現在、一七・八%にも達しているのであります。県債残高の規模は、県の年間予算を超える巨額に達しており、民間企業会計に例えれば、有利子負債残高が年間売上高を超えている状況なのであります。これは、不良債権の負担と景気の低迷で、今や大変な苦境にあえぐ、金融機関の支援がなければいつ破綻してもおかしくない企業と比べても、決して遜色のない経営内容だということを厳しく受けとめなければならないのであります。 また、今後の県財政の見通しも、決して楽観視できるものではないのであります。長引く景気の低迷の中で、国、地方経済も急激に悪化の一途をたどりつつあります。既に今年度の我が国の経済成長はマイナスとなることが明らかであります。次年度の経済成長もマイナスか、プラスとしても極めて低いものとなることが予想され、また、県内の企業倒産は戦後最大規模に達するなど、経済の低迷を受け、今年度も来年度の地方税収も、大幅に落ち込むことは確実な情勢にあります。加えて、来年度からは恒久的減税が実施され、地方交付税や地方税が削減されることも確実なのであります。 しかしながら、県庁全体に、このような県財政を取り巻く環境が大変な厳しさを増しているとの危機感があると言えば、甚だ疑問なのであります。今回の行政改革の内容にも、そのことが如実にあらわれております。県財政打開のための一環として実施した事務事業の総点検でも、一般的、政策的経費のうち、事業費ベースで七十九億円、一般財源ベースで五十四億円の削減規模にとどまり、また、県歳出全体の約三割を占める人件費への対応も、明らかになっていないのであります。県財政の現状と今後の推移を直視してはいないのではないか、そう感ずるのでありますが、いかがでしょうか。あえて厳しい表現をすれば、困っても、国が何とかしてくれる、そのような、あなた任せの姿勢があるのではないかと思うのであります。総額二百四十兆円もの赤字を抱える国に、果たして、これまでのような地方支援を期待し続けることができるのでしょうか。 また、地方財政にも、市場原理の波が押し寄せつつあります。これまでは、自治体の公募債は、東京都債をベースとして、ほぼ一定の利率で発行されておりましたが、自治体の財政力に応じて格差が生じる、あるいは発行債券が、市場での消化さえ危ぶまれる自治体も出るなど、地方債券市場でも、地方自治体の経営努力を市場ベースで評価する動きも急であります。これに呼応するかのように、地方自治体の経営の格付を行う動きもあらわれつつあります。国、地方相互の財政制度が急激に変わらないとしても、地方みずからがみずからの判断で経営努力をし、思い切った財政改革を取り組むことは、もはや避けては通れない時代の要請なのであります。繰り返し申し上げているとおり、今や旧来の制度やシステムを変革する構造的な変動が起こりつつあり、意識を変え、新たな発想で対処しなければならないのであります。そこで、県財政の再建に取り組む知事の決意を伺いますとともに、以上の基本的な視点に立って、県財政の再建に関連し、数点、御質問いたします。 第一点目は、時代認識、大局観についてであります。 経営を行う上で最も大切なことは、経営を取り巻く時代環境がどうなっているのか、どう変化しようとしているのか、正しく認識することであります。現在の日本の社会経済の制度、システムは、いずれもすべて右肩上がりの経済成長、いわばインフレをベースとしたものであります。このような経済運営に当たって、国民の大多数もまた、価格も給与も年々上がるのが当然であり、それが善であるという意識も定着しました。県財政も同様の考えに立ち、給与も予算総額も、対前年度比で増額するのが善であるとの基本姿勢で編成を続け、今日に至っております。しかしながら、このようなインフレをベースとした発想なり考えが、果たして妥当なのでしょうか。世界の商品市場では、今や農産物、原油、金属を含め、第一次産品の下落傾向は顕著であります。これが今回のロシア、中南米の経済危機を招いている大きな原因の一つとなっているのであります。単に世界規模の経済不況に伴う需要減退による一時的な現象ととらえるべきではないと思うのであります。 二十世紀は紛争と戦争の時代であり、この時代の特質として、経済はインフレが基調でありました。しかし、冷戦終結を境として、平和の時代になったことを考えれば、デフレが今後の経済の基調となり、すべての価格が下落か、よくては横ばいと考えるのが適切ではないかと思うのであります。デフレ経済は、かつて私たちが経験したことのない全く未知の社会であります。それを認識し、その変化に合わせた社会改革を実践しようとすれば、大きな痛みと摩擦を生じるのは明らかであります。かつて、十九世紀末のイギリスのビクトリア王朝時代が同様の変化に見舞われました。しかし、技術革新で繁栄をきわめたことは大いに参考になると思います。このような経済の基本的な変化を知事はどのように認識されているのか。どのような時代認識のもとに県財政を運営されようとしているのか。そして、これまでのように、対前年度比で増額が当たり前という予算の姿勢を改めるべきと考えますが、いかがでしょうか。 第二点は、昨今の厳しい財政状況を踏まえた、思い切った人件費の抑制措置についてであります。 財政構造の硬直化の大きな原因である人件費の抑制なくしては、財政改革を推進することは到底不可能であります。既に、東京都では早期退職制度の導入に踏み切り、神奈川県では、知事以下部局長のボーナスカットを実施いたしました。本県でも人件費の問題を決してタブー視することなく、知事の率先垂範のもと、思い切った削減措置を講ずるべきではないかと思うのでありますが、いかがでしょうか。 また、これに関連して、国では、人事院の勧告を受け、〇・七六%のベースアップを完全実施するとの方針を決定したところであります。非常事態とも言える県財政の状況を考えれば、県としては、当面、凍結すべきものと考えますが、いかがでしょうか。 第三点目は、財政改革推進に向けた思い切った人材の登用であります。 改革がなぜ必要なのか。それは、これまでの組織や制度がその役割を終えようとしているか、従来の運営では組織や制度そのものが維持できなくなっているということにほかならないのであります。このような観点からすれば、改革の任に当たる者としての資格は、まず、その組織に対してしがらみを持たない人物でなければならないのであります。大胆な改革ゆえに多くの摩擦が予想されることから、強い信念と情熱を持った者でなければならないのであります。そして、このように登用した者に思い切った権限を付与し任せるということでなければ、改革は到底おぼつかないと考えるのであります。今回の行政改革のように、行政内部の職員にゆだねるという手法では、やはりおのずと限界があるのではないでしょうか。幕末に、財政破綻に陥っていた備中松山藩を再建した山田方谷の抜てきの例を大いに学ぶときではないかと思います。財政再建に向けて思い切った外部人材の登用を図るとともに、その推進のための知事直属の財政再建室を設置してはどうかと考えますが、いかがでしょうか。 第四点目は、税収増に向けた積極的な政策の取り組みについてであります。 財政の要諦は、入るを図って出るを講ずと言われるように、再建のためには徹底したコスト削減とともに、それ以上に税収増が不可欠であります。このためには、積極的な経済振興策が必要であります。今回の地価調査結果に見られるように、県内の地価は全般的に下落傾向にありますが、とりわけ仙台市中心部を初めとして都市部の下落傾向が顕著であることは、今般の景気の低迷という要因ではなく、県内の経済活動が全般にわたって低迷していることのあらわれであります。世界がボーダレス化の中で、今や経済活動は国や地域の枠を越え、より自由な活動が保障される地域に人、物、金も流れつつあります。本県も決してこの世界的な流れと無縁ではなく、昨今の県内の経済低迷は、構造転換が進まない地域経済のおくれにあるとも言えます。このまま推移すれば、県内の経済が更に低迷し、地方税の減収はより大きくなるのは明らかであります。この打開のためには、これまでの発想を変え、世界の変化の潮流に沿った思い切った経済対策を講じていく必要があります。その観点から、内外の企業が自由に活動できる、自由経済圏みやぎを宣言し、その実現を目指し、経済振興方針を策定するとともに、すべての行政施策をその方向に集中させていくことが必要であると思いますが、いかがでしょうか。とりわけ重要な対策は、長年、秩序ある土地利用の大義のもとに、自由な経済活動を規制してきた土地利用規制の緩和であります。本県独自の対応を確立するとともに、積極的にその緩和を国に働きかけていくことが今求められていると考えますが、いかがでしょうか。 次に、産業振興についてであります。 一次、二次、三次、いずれの産業分野を問わず、その基盤を強化していくためには、生産、商品、流通分野の技術力の強化向上が不可欠であります。この技術向上をどう推進していくか、これは積年の県の産業政策の大きな課題であります。県の研究開発機関を整備する、それを通して技術指導を徹底するという県の技術指導力の強化も大変重要な対応でありますが、それ以上に重要なことは、高度な技術力を有する人材を確保することにあります。産業基盤が弱体であることと人材が少ないことは、表裏の関係にあるのであります。かつての藩政時代、さまざまな特産品を開発するために、各藩はすぐれた技術者を誘致することに全力を挙げましたし、明治政府もまた我が国の近代化を推し進めるため、欧米からすぐれた技術者を積極的に招聘し、新たな産業興しに取り組みました。この結果、各地で産業が興隆し、また我が国も近代国家への道を歩むことができたのであります。本県もまた、この歴史に大いに学ぶべきであり、今、全国的な規模で進むリストラにより、大企業から多くのすぐれた技術者が放出されつつあります。これは、本県の産業の技術基盤を強化する上でまたとない好機であると思います。 昨年十二月の本会議において、ビッグバンを見越した財政と金融対策の強化策として、経済・金融の専門監の登用を提言いたしましたところ、本年四月より、民間から二名の人材を職員として採用されました。このような対応を全県規模で実施してはどうかと考えるのであります。県庁職員としての採用はもちろんのこと、県内の建設業、商業、工業分野での人材確保を積極的に進めるべきであります。このような形で人材の流動化が進み、雇用の受け皿が整備されれば、大変大きな不況対策にもなるのではないかと思うのであります。今こそ人材確保に向けて、本県が率先して人件費助成などの思い切った措置を講ずるべきであると考えますし、国にも積極的に政策提言を働きかけていくべきと考えますが、いかがでしょうか、お伺いいたします。 次に、国際化に対応した経済基盤の整備についてであります。 既に経済のグローバル化は急速に進展しつつあり、地方といえども、これまでのように東京経由で経済振興を語る時代ではなくなりました。地方みずからが国際経済戦略を立案し、具体の行動に移らざるを得ない、そのような時代となりつつあります。また、そのような国際的な対応がなければ、今後、本県の産業や経済が飛躍していくということは、なかなか困難なことであります。幸いにも本県の場合、仙台国際空港が三千メートルに延長され、また、塩釜、石巻港の整備も着実に進展しつつあります。 そこで、お伺いいたしますが、塩釜、石巻両重要港湾の整備計画はどんな進捗状況にあるのでしょうか。また、仙台塩釜港という新しい名称で、特定重要港湾への昇格を目指しておりますが、見通しもあわせてお伺いをいたします。 国際競争力をつける、このためには地方みずからがメリットを示し、PRすることが不可欠であります。横浜港ですら、この秋には、定期航路便や総重量に合わせて岸壁使用料の値下げを図ろうとしておりますし、隣の小名浜港では、十二時間、一トン当たり二円、荷さばき地や野積み場の使用料もかなりの低料金を設定し、港湾利用のメリットをPRしております。本県の港湾におきましても、これらソフト部門の対応が早急に求められております。宮城の産業振興策においてこれらは大変重要なことでありますので、お考えがありましたらお聞かせいただきたいと思います。 これらの国際化のためのインフラ基盤を活用して、海外から、物、人、投資を誘致する、その戦略と具体の政策が求められております。知事は、さきの政策ビジョンにおいて、仙台湾岸地域に国際経済の拠点を整備していくことを公約いたしましたが、方向としては正しいと思います。今後、この具体化に向けて、早急に国際化戦略を打ち立て実施していくべきと考えますが、いかがでしょうか。そして、このためにも外部の専門家を交えたプロジェクトチームなり専門組織を設置してはどうか、あるいはそのような人材を登用してはどうかと考えますが、いかがでしょうか、お伺いいたします。更に、このような視点に立った国際流通の一大集積地、流通団地を整備し、海外との交易を活発化してはどうかと考えますが、いかがでしょうか。 以上、お伺いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。 御清聴まことにありがとうございました。 ○議長(佐々木久壽君) 知事浅野史郎君。  〔知事 浅野史郎君登壇〕 ◎知事(浅野史郎君) 菊地文博議員の御質問にお答えをいたします。 まず初めに、リーダーシップ論でございますが、菊地議員の歴史認識を踏まえた格調の高いリーダーシップ論に叱咤されましたし、また同時に、激励もされたわけでございます。お答えをいたします。 社会は大きな変革期にあるというのは、同じ認識でございます。そういった中で、個人も、組織も、また地域も、みずからのことはみずからの責任で解決をするという、自己責任と自立が強く求められております。こういった中で、県政においても、旧来の発想でありますとか慣行にとらわれることなく、県政の重点をどこに置くべきかということを正面から見詰めて判断し、みずから戦略を立てて、断固として実行に移す強いリーダーが求められているということ、ただいま御指摘のあったとおりでございます。その意味で、知事は県行政組織のトップであると同時に、県民から直接選ばれた政治家という存在でもあるわけであります。組織みずからの痛みを伴う決断については、政治家としての知事の立場に立って判断していかなければならない場面もあるというふうに認識をしております。こういった自覚のもとに、私はこれまでも本県の一連の不祥事の解決に当たってまいりました。また、情報公開の徹底、福祉・医療の充実強化、産業経済の活性化、県土基盤の整備などに全力を投入してまいりました。また現在は、新しい県政創造運動-宮城の行政改革-を初めとして、県政の重要課題に対して、みずから先頭に立って取り組みを進めているところであります。 また、リーダーシップの発揮に関して、具体的に、知事官房的な組織の設置を含めた体制の整備について御提言がございました。まずは、ことしの四月に設置したばかりでありますが、政策調整監、わずか三人ではありますけれども、この機能を十全に使いこなすということが大事であります。また、関係幹部職員による戦略課題に対応する政策会議という場も機動的に運営をしていくことによって、強いリーダーシップを発揮してまいりたいと考えているところでございます。 次に、宮城県経済戦略会議といったものを発足させてはどうかという御提言でございました。お話しいたしましたように、時代は大きな転換期であります。どういった社会を目指すべきか、どういった分野に力を入れていくべきかの方向性を指し示すことが、大変重要な課題であると認識をしております。そういったことからも、県といたしましては、新しい世紀を切り開くビジョンとして、新しい総合計画の策定に着手をしたところであります。御提言では、こういった課題に早急に対応するためということで、宮城県経済戦略会議を発足させてはどうかということでありますが、そのことは、とりもなおさず長期的な展望に立って、地域のあるべき姿、それを実現するための県政運営の基本方向をしっかりと示すということであります。こういったためには、条例によって、各界各層の有識者で構成される宮城県総合計画審議会というものがあるわけでありまして、この総合計画審議会を設置をして十分に意見を聞くということにされているわけであります。したがって、今後速やかにこの宮城県総合計画審議会を発足させて、新しい宮城をどうつくり上げていくかということに向けて、社会構造改革を含め、十分に検討、審議を尽くしてまいりたいと考えております。 一方、昨今の経済情勢の急激な変化に伴って、金融対策や雇用対策など緊急に対応すべき課題が山積しております。県といたしましては、こういった状況に対応するために、これまでも緊急経済対策など機動的な対策を講じてきたところであります。今後とも、国の経済戦略会議を含め国の動向にも十分配慮しながら、迅速かつ的確に対応してまいりたいと考えております。 次に、外部の人材をこの際積極的に活用するために、政策補佐官制度を創設してはどうかという御提案でございます。先ほど申し上げましたように、ことしの四月から、知事の政策スタッフとして、わずか三名ではありますが、特命事項を担当する政策調整監の設置をしたところでございます。現在、これを使いこなしつつ、拡充強化ということはどうかということについて、今走りながら考えているという段階でございます。御提案の趣旨、これは今後検討していくべき課題というふうに受けとめさせていただきたいと思います。 二番目の大きな課題として、地方財政の今後の考え方について、何点かお尋ねがございました。 まず初めに、県財政の再建に取り組む決意についてお尋ねでございます。 御指摘ありましたように、先日、東京都では、事実上の財政危機宣言を行いました。ほかの幾つかの県でも同様な状況でございまして、本県だけではなくて、地方財政を取り巻く環境というのは大変厳しい、また深刻なものとなってきております。県といたしましては、こういった危機的な状況を、我々にとってもみずからの問題として正面から受けとめているところであります。そのために、予算システムの改革を行政改革推進計画の大きな柱として位置づけているわけでありまして、現在、本県の財政健全化に向けた具体的計画の策定作業を進めているところでございます。この計画では、従来の事務事業の徹底した見直し、予算の効果的、効率的運用というのはもちろんでございますが、加えて、官と民、国と県、市町村の役割、社会構造や県民ニーズの変化、こういった視点にも踏み込んで、本県の歳出構造そのものを根本的に見直す内容としてまいりたいと考えております。こういった取り組みと実践がなければ、二十一世紀における本県地域経済の発展と県民福祉の向上というものはなし得ないものと考えておりまして、その意味で、本県財政の健全化に向けて不退転の覚悟で取り組む決意であります。 また、現在の経済の基本的な変化や時代認識についてのお尋ねでございますが、お話がありましたとおり、経済のグローバル化、相互依存関係の深まりの中で、右肩上がりの経済成長というものを、もう当たり前のことだというふうに考えてきた日本の社会経済の制度、システムが、この面では崩れつつあるということを十分認識をしております。また、我が国経済についても、低成長どころではないマイナス成長というものも、もはや現実のものとなっているということ、御指摘のとおりでございます。こういったことを踏まえて、我々が次の世代のために行うべきことが幾つかございます。この世界経済の危機を、効率的で正しく機能する市場、効率的な経済構造、国際的な協力及び連帯のシステム、こういったことによって乗り越えることでありまして、そのための努力を惜しんではならないと考えております。県の財政は、こういった劇的な変革と大きな困難に立ち向かっていかなければなりません。しかしながら、本県の財政健全化に向けた取り組みは、単に現在の経済状況に対応するというだけではなくて、将来の県民の福祉の向上と地域経済の発展につながる面があるということを信じて努力してまいりたいと考えております。 次に、こういった中で、思い切った人件費の削減措置を講ずるべきではないかという御質問でございます。 職員の給与については、これまでも、例えば、寒冷地手当の見直しでありますとか、特殊勤務手当の廃止、時間外勤務の上限設定といったことによって手当額の削減を図ってまいりました。今後とも、給与の適正化を一層進めてまいりますし、また、定員適正化計画を策定して、職員数の縮減にも努めてまいります。これらを通じて、人件費についてもタブー視するということではなくて、その抑制に努めてまいりたいと考えております。 また、具体的に、今年度の職員給与のベースアップでございますが、国では、人事院の勧告どおり完全実施をするということが閣議決定されております。本県でどうするかということでありますが、今の段階で人事委員会の給与勧告、まだ出ておりません。人事委員会から勧告が出された時点で、その内容を十分に検討をし、他の都道府県の動向もございますし、また財政状況などをも十分に勘案した上で、適切に対応したいと考えております。 次に、財政再建に向けた人材の外部登用と財政再建室の設置ということについて御提言がございました。 現在進めております新しい県政創造運動は、県民福祉向上のために、職員みずからが手がけ、職員みずからで改革を行っていくというもので、いわば終わりのない改革というものを目指しております。財政再建については、現在の厳しい財政状況を十分に踏まえて、各職場においても事務事業総点検による事業の見直しを行っております。こういったことを通じて、県職員が一丸となって財政健全化に向けた取り組みを進めていくこととしております。財政再建に向けた外部人材の登用や財政再建室の設置、こういったことについて御提言をちょうだいしたわけでありますが、これらは改革に向けての重要な方法論の一つということで、貴重な御提言と受けとめさせていただいております。 次に、税収増を図るための経済対策として、自由経済圏みやぎということを考えてはどうかという御提言がございましたので、お答えをいたします。 昨年十一月に国が実施を決定いたしました、二十一世紀を切り開く緊急経済対策の中でも、経済のグローバル化を背景に、企業が国を選ぶ時代になったということで、我が国が企業の活動拠点として選ばれるように、企業にとって魅力のある事業環境を整備することが重要であると、こういった指摘がなされているところであります。内外の企業の自由な経済活動を促進するために幾つか制度がありますが、その中では、貿易に関する制限、規制等を緩和し、企業の集積を図るフリートレードゾーン--自由貿易地域という制度がありまして、米国などで、その成功例が見られております。また、我が国でも沖縄県において実施をされております。この制度の実施については、関税法の改正など国政上の課題もございますことから、御提案の自由経済圏みやぎの一環としての本県への制度の導入について、沖縄県における現況なども見定めながら、今後の研究課題とさせていただきます。 また、本県の今後の経済振興については、新しい宮城県総合計画の策定を通じて、社会潮流の変化に的確に対応してまいりたいと考えております。 更に、企業の立地環境を充実するために、交通、情報通信、物流などの社会資本整備に加えて、大学を含む学術研究機関とも連携した高度な技術支援体制のネットワーク化など、本県が国際的にも魅力ある企業活動の場となりますよう施策を進めてまいりたいと考えております。 次に、土地利用規制の緩和についてでありますが、より合理的な土地利用規制を実現して、あわせて自由な経済活動を促進するために、これまでも国において都市計画法や建築基準法の改正が行われております。県においては、こういった制度改正の趣旨を生かして、適切な運用を行うべく努力しているところであります。今後とも地域ニーズに沿った合理的な土地利用規制を実現するために、機会をとらえて、必要に応じ制度改正について国に働きかけてまいります。 次に、大きな論点として、産業振興の問題について何点かお尋ねがございました。 まず、リストラなどで離職した人材の県内企業での採用を積極的に進めるべきであるというお尋ねでございます。本県の人材確保対策といたしましては、平成二年度から東京都内と仙台市内に情報センターを設置をして、人材を求めている企業についての情報の提供や、あわせて人材のあっせんも行う、ふるさと宮城人材ネットワーク事業を推進しております。この事業を通じて県内への人材還流を図り、県内産業の振興に寄与しているところでございます。 また、人件費助成などの措置についてでありますが、国の制度としては、出向や再就職あっせんにより雇用機会の確保を図った事業主に対し、賃金などの一部を助成する労働移動雇用安定助成金制度や、就職が容易でない四十五歳以上の求職者を雇用した事業主に対して賃金の一部の助成する特定求職者雇用開発助成金制度がございます。更に、県の単独事業といたしましては、企業整備離職者を雇い入れた事業主に対し助成する再就職促進奨励金制度などを実施しておりまして、こういった助成制度を有効に活用しながら人材の確保に努めているところであります。 次に、塩釜港、石巻港の整備の進捗状況についてお尋ねがございました。 塩釜港仙台港区は、これまでも東北地方の広域物流拠点として大きな役割を果たしてきたところでありますが、近年の物流需要の増大に伴う船舶の大型化やコンテナ化に代表される輸送革新に対応するため、現在、水深十四メートル岸壁を国の直轄事業として、その整備を進めているところであります。また、岸壁背後のコンテナターミナルについては、県の事業として、平成十三年度初頭の供用を目指し、鋭意整備を進めております。一方、塩釜港区についてでありますが、港奥部の再開発に向けた調査を現在進めているところであります。また、石巻港については、県北部地域の開発拠点として、船舶の大型化、不足する工業用地の確保を目的に、平成三年九月の着工以来、鋭意その整備を進めてきたところでありまして、県内初の水深十三メートル岸壁一バースが国の直轄事業として完成し、去る七月に供用されたところであります。また、防波堤や用地造成についても、早期に完成するよう整備に努めているところであります。塩釜港、石巻港の整備は、県の重点施策として位置づけておりますので、その機能が発揮されますよう一日も早い完成を目指し、今後とも一層努力してまいりたいと考えております。 次に、塩釜港の特定重要港湾昇格への見通しでございますが、これまでも外国貿易貨物取扱量の増大に努めた結果、昇格に必要な要件はすべて満たしたわけであります。そういったことから、県議会を初めとする関係者の御支援、御協力を得て、国に対して強力に要望してまいったところであります。しかしながら、運輸省では、昨今の厳しい経済情勢の中で、今後の取扱貨物の推移を更に見きわめる必要があると判断されまして、平成十一年度の運輸省の概算要求には盛り込まれなかったものであります。今後も、この点については厳しい状況にはありますけれども、引き続き関係者の御支援を得ながら、特定重要港湾昇格の実現を目指して国に働きかけてまいりたいと考えております。 次に、港湾の利用促進や国際競争力をつけるための対応についてのお尋ねでございます。お話がありましたように、その意味では、ハード面だけではなくてソフト面の整備というのも、港湾の利用促進のためには重要であると認識をしております。県といたしましては、昨年の九月、港湾施設使用料の一部を値下げいたしまして、港の利用促進に努めてまいったところであります。今後とも、港湾施設使用料については他港港の状況や、また本県の財政的事情もございますが、こういったことを考慮しながら、適切に対応してまいりたいと考えております。更に、国の内外の船主や荷主の方々などへの積極的なポートセールスも展開していかなければならないと考えておりますし、また情報化による入港手続の簡素化もしていかなければならないと考えておりまして、こういったことを通じて、港湾の利用促進を更に図ってまいります。 次に、仙台湾岸地域における国際化戦略についてでございます。現在、仙台空港周辺地域及び仙台港背後地を中心とした地域での国際化に対応した都市機能の整備を行っておりますが、それに加えて、宮城県地域輸入促進計画--FAZに基づいて、国際ビジネスサポートセンターや輸入貨物ターミナルの整備を進めているところであります。更に、これらの地域とほかの圏域とを連絡する高規格幹線道路、仙台空港アクセス鉄道などの基盤整備を進めてまいりますし、仙台空港の運用時間の延長、CIQ体制の充実など、ソフト面での改善も努力しているところでございます。ポートセールスとあわせ、今後とも国際交流機能の充実、拡大に向けた各種事業を推進してまいります。 なお、インフラを活用し、海外からの人、物、投資を誘導するための外部の専門家を交えた推進組織の設置や人材の登用及び国際流通団地の整備については、今後検討していくべき課題として考えておるところでございます。 以上でございます。 ○議長(佐々木久壽君) 八番。 ◆八番(菊地文博君) 再質問をさせていただきたいと思います。 リーダーシップと地方財政の今後のあり方についてと、両方にまたがるわけですけれども、私の手元に、ことしの八月十三日付でですね、六つの道県と政令市の二市にあてられた、いわゆる起債引受団体の証券団体から地方自治体に、今までは右肩上がりの経済成長の中で、地方も景気が悪いと地方債を発行してそれを財源に充ててきた、これが今までの財政の取り組み方だったわけですね。ところが、本年四月からビッグバンになって、信用リスクの不安が増大してきて、証券市場では、かけ離れた地方債の発行条件では著しく、販売ができないと、来年からは、東京債と同一条件での発行はできませんよというようなことで、六つの道県と二市にこういう要望書が手渡されたわけであります。宮城県でも、景気が悪くて税収が伸びなくなってきた。それを本格的にどうするんだと。それをさっき、政策調整監の中で、県庁全体としていろんな検討をして取り組んでいきたいということですけれども、現実には市場原理がもうここまで来ている。それに対しての今の知事の答弁は、ちょっと余り感じなかったものですから、その辺を、しっかりとした認識も含めて、これからどう取り組んでいくのか。 それと、産業の振興についてということで、私は、雇用対策ということじゃなくて、リストラで首が切られた--まあ、首が切られたという表現は適切でないんですけれども、優秀な人材がいらっしゃるわけですね。例えば、有名な証券会社が破綻したと。その中では、大変金融に精通された方もたくさんおられた。そういう方々を本県に招いて、宮城県独自の発想のもとで、新しいものをつくっていくことができないのかというような質問をさせていただいたわけでございまして、ちょっと項目としてはリーダーシップ、地方財政、産業振興ということで分けましたけれども、実はトータル的に御質問したわけでありまして、そこをもう一度、知事の率直な認識も含めて具体策がありましたら、御答弁いただきたいと思います。 ○議長(佐々木久壽君) 知事浅野史郎君。  〔知事 浅野史郎君登壇〕 ◎知事(浅野史郎君) 菊地文博議員からの再質問にお答えをいたします。 今の再質問で、それぞれただいま御質問いただいたことに関連性があるということで、改めてお聞きをいたしますと、そういった面でお答えをすべきであったというふうに考えておりますので、改めて答弁をさせていただきます。 まず、起債引受団体からの話でございますが、率直に言って、あの話を私も、えらいことになったというふうに受けとめました。ただ、えらいことになったということを、また改めて考えますと当然と言えば当然、引受団体とすれば全く同じ条件で、地方債の発行条件同じもので引き受けるという方が本当は不自然であったということもあるわけでございます。私どもとすれば、我々がいわば品定めをされている状況でありまして、一つの行政でありながらも、借金をする団体として、より有利な条件で引き受けていただけるような体制を整えていくということは、今後、新しい課題として、今さらのようでございますけれども考えていかなければならないと、改めてそういった認識をしたわけでございます。御指摘の点、まことにもっともであるというふうに受けとめております。 それから、先ほど優秀な人材の外部の登用、やや御質問の趣旨に合わないような答弁をしてしまったわけでございますが、この点については、私どももリストラなどでいわば使い得る人材を、本県の足らざる面を補ってもらうためにもぜひ使いたいというか、雇いたいという思いは、実はあったわけでございます。率直に申し上げまして、そのときの大きな問題点は給与の問題でございまして、一番いい時期と比べますと、多分三倍ぐらいの給与差があったということがあるので、これは、そういう条件で折り合うかという問題がまず一番最初に念頭に浮かんだところでございます。ただ、これについては御指摘もあったように、金融専門監という形で、新たに採用させていただきました。そういう意味で、これは一つの突破口として、現に今この県庁内で働いているわけでございますので、人材源としては、いろいろな意味で条件が折り合えば採用していくということは、これからも前向きに考えていきたいと、このように思っております。 ○議長(佐々木久壽君) 十二番小野寺初正君。  〔十二番 小野寺初正登壇〕 ◆十二番(小野寺初正君) IMFは、世界経済見通しの中で、本年の日本の実質GDP伸び率をマイナス二・五%とし、本年四月公表のゼロ成長予測から大幅な下方修正をいたしました。日本政府がマイナス一%台の後半と認識していることを思えば、その乖離は著しい。今、一部の企業を除き、有名どころの企業が赤字決算に追い込まれ、リストラを余儀なくされ、そして中小企業の多くは、資金繰りが日増しに厳しくなり、あえいでおります。このまま金融システムが安定せず、株価の低迷が続けば、やがて世界は、日本発の同時不況に陥ることは必至となるでありましょう。さきに発表された国内のGDP統計でも、昨年の十月ー十二月期から三・四半期連続でマイナス成長となり、これだけマイナス成長を続けたことは、かつてなかったことであります。IMFは、日本が金融問題の解決、持続的景気回復の実現に向けて断固たる行動をとることが重要であると述べております。今、国会レベルで、公明は、冷え切った消費を活気させるため、国会で十兆円減税の中で商品券による戻し減税四兆円の実施を訴えております。いずれ減税の議論は国会で始まりますが、国あるいは地方自治体において、景気回復に向け、より一層の断固たる経済対策が必要であると思いますが、知事の所見を伺います。 第二は、普通建設事業費の拡大についてであります。 経済不況対策のキーワードである公共投資について、普通会計ベースによる普通建設事業費の内訳を本年九月現在の東北六県別に見ますと、福島三千八百五十二億五千九百万円、岩手三千四百七十四億八千五百万円、秋田三千三百十六億七千七百万円、青森三千二百二十三億三千九百万円、宮城三千二百二十一億八千八百万円、山形二千八百八十二億七百万円となっております。東北六県の中で東北の中枢県宮城が五位と、低い位置に甘んじております。東北の発展をリードする宮城がこのままの現状でいては、本県経済の活力は生まれてこないと思います。今後、単独事業費の拡大、国への予算の獲得など普通建設事業費の拡大についてどう取り組むのか、所見を伺います。 第三は、制度融資の充実、拡大への取り組みについてであります。 制度融資全体を見ますと、八月末の実績は、金額ベースで対前年度比で一五八・二%と著しい伸びを示しており、このまま推移しますと、平成十年度末には八百四十億円は突破することとなります。一方、金融機関との協調融資分と合わせた現在の設定融資額は一千二百十一億円でありますが、景気対策上この資金を現実に使えるようにするためには、借り手にもっと条件のよい金融制度を設定する必要があると思います。 そこで、一つには、環境変化対策資金の見込み実績はどの程度と見ているかについてであります。この二カ月での実績は、貸し出し件数九十一件、総額二十一億七千余万円と、余りに低い消化率であります。去る六月の予算特別委員会で私が述べましたように、実態調査では、中小企業の要注意先対象企業は四百二十七先、総額は五百六十九億円で、そのうち、一億円未満の借り受け先三百三十八、借り受け総額八十億円、そして、一億円以上の借り受け先は不動産、製造、建設業が多く、八十九先、総額四百八十九億円であります。要注意先企業が一億円以上の融資を受けることの借りかえが成立するためには担保力、そして借りかえ後の運転資金が大丈夫か等のハードルを越えなければなりません。それには、かなりの困難が伴います。ただいま申し述べましたことから、百億円程度と見込まれます。資金の貸出額をどのように見込んでいるのか、伺います。 二つには、中小企業緊急景気対策資金の創設についてであります。 本県の中小企業は、かつてない経営局面にあり、今後年末へ向かう中で、資金需要が逼迫していくことは、目に見えて明らかなことであります。本県経済をこれ以上後退させないためには、もう一歩踏み込んで、全部の中小企業に行き渡るような金融制度を創設する必要があります。 そこで、環境変化対策資金に加え、新しい制度融資として中小企業緊急景気対策資金を創設すべきと思います。長崎県においては、八月に中小企業緊急サポート資金を創設しております。貸し出し条件は、中小企業を対象に、運転資金として最高限度額二千万円を貸し付けており、年利一・四%と低利、しかも償還七年以内という好条件もあって申し込みが殺到、八月末の申し込み金額が百七億五千五百万円にも上り、わずか一カ月間で当初予定していた融資枠の六十億円を大幅に上回り、現在は金融機関の協調融資分を合わせ二百四十億円に融資枠を拡大することにしたそうであります。本県の景気対策にあっては、これくらいの思い切った取り組みこそが必要なのであります。その実施について知事の所見を伺います。 四つには、県保証協会における審査基準の弾力的運用、積極的保証への取り組みについて伺います。 国においては、総額四十兆円にも上る中小企業等貸し渋り対策大綱を既に発表しておりますが、今こそ関係機関が連携して中小企業における資金調達の円滑化を促進しなければなりません。金融機関へは、保証つき融資の積極的活用を要請すべきでありますが、県保証協会にあっては、もっと金融機関が安心して融資ができるように、審査基準の弾力化、保証枠の拡大に一層取り組むべきと思いますが、所見を伺います。 五つには、県保証協会の財政基盤の強化についてどう取り組むのか、伺います。 県保証協会の経営内容は平成九年度において黒字となっています。しかし、景気動向が一段と悪化している現状では、事故件数が増加し、代位弁済数も増加の傾向にあり、加えて金利水準の低下により、このままでは収支が均衡し、赤字という事態も予想されます。 そこで、平成十年度の財政見通しを踏まえ、国に対して、保証協会が中小企業にかわって金融機関に支払う代位弁済のうち保険でカバーする補てん率の引き上げを更に強く要請すべきであります。その取り組みを含め、財政基盤の強化について伺います。 次に、毒物への危機管理体制の整備についてであります。 和歌山市内の毒物カレー事件以来、全国各地で毒物混入事件が相次ぎ、また、薬品の誤った使用による被害も発生していることは御案内のとおりであります。こうした被害にどう対応し、県民の健康、生命を守っていくのか、緊急の課題と言えます。被害に遭遇したとうとい人命を救う上で、関係機関の緊密な連携による救急医療は不可欠であります。 和歌山県での毒物カレー事件を振り返り、医学博士、薬剤師でもある財団法人日本中毒情報センターの後藤京子次長は、私どもにもっと詳細な情報が入っていれば、原因物質の絞り込みもいち早くできたし、早い段階での患者ヘの適切な処置方法を伝えることができたと述べております。同次長は、事件発生から六日後に和歌山県から依頼を受け、インターネットで世界保健機構の先進国中毒センター連合ネット、INTOXに、原因毒物の絞り込みを頼んだそうであります。送った情報は、犠牲者三人に見られた汎血球減少--白血球、赤血球等が著しく減少している傾向についてで、事件発生当時は、青酸化合物との疑いが持たれており、青酸化合物が原因で果たして汎血球減少があらわれるのかと問い合せたそうであります。しばらくしてWHOから詳しい患者のデータを送ってほしいとのメッセージが届いたが、センターではデータの掌握ができず、返答をあきらめたそうであります。ところが、インターネットでこのメッセージのやりとりを見ていた米国コロラド大学中毒センターの医師、アラン・ホール博士は、WHOに対し、原因物質は青酸化合物ではなく砒素ではないかと回答を寄せていたそうであります。こうした事実から、関係医療機関による詳細な情報のやり取りあれば、それにより原因物質の絞り込みや適切な処置が可能であることがうかがい知れるのであります。 そこで、一つには、本県における毒物事件発生の初期段階における検査体制及び救急医療体制の現状と対策について。また、日本毒物情報センターや関係機関とのネットワーク化が必要と思うがどうか。 二つには、毒物を取り扱っている施設に対する検査、指導体制について。 三つには、想定されるさまざまな事態に備えた危機管理マニュアルを策定すべきと思うが、どうか。 四つには、中毒の大きな原因の一つである医薬品は、年に四千種ずつふえている。また、農薬も年に二百種類ほど新製品が出されていると言われている。そうした中で、中毒原因物質別の処置方法の確立についてどのような現状にあり、今後どう取り組むのか。 以上、四点について伺います。 次に、松くい虫防除事業について伺います。 松枯れの原因は、マツノマダラカミキリが運ぶ、体長一ミリにも満たないマツノザイセンチュウが樹木に入ることにより、松は枯れ、死に至る。一方、戦後四十数年たって、開発が進み、大気も汚染され、松を取り巻く生育環境は年々悪化しております。そうした生育環境の変化に対する研究も近年は行われており、松枯れの原因を松くい虫よりも大気汚染が大きく影響しているとの発表が行われております。松が枯れる原因は、松くい虫も一部にはあるが、むしろ大気の汚染等が大きな要因であるという説の方が的を得ているように思われます。鹿児島県の屋久島では、大量の松が枯れたこともあり、大気汚染の調査を行った結果、汚染が進んでいることが証明されております。関係者は、松枯れの要因は大気の汚染であることに農林省が早く気づくことが大事だと話しているのであります。今日まで二十年間、一千億円を費やし、松枯れの原因は、松くい虫ということで、農林省は、殺虫剤による樹間注入や地上散布、空中散布等の予防事業や被害木の駆除事業を実施してきておりますが、一向に被害量が減少しておらず、結果として松が著しく減少し、名勝地においてはとうとう松が一本もなくなったという現象が起きてきているのであります。本県においても、平成九年度実績で五万七千四百五十二本の松が伐倒され、近年増加傾向にあるのであります。 そこで伺う第一は、松くい虫防除事業についてであります。 一つには、松くい虫防除事業について効果は上がっていないと見るがどうか。 二つには、松が減少し続けており、被害量が減らない原因をどう見ているのか。 三つには、国に追従するのではなく、事業を見直しすべきであると思うがどうか。 以上、三点について伺います。 第二は、特別名勝松島の松蘇生事業の実施についてであります。 特別名勝松島地域では、松くい虫防除事業の実施により年々松の減少が進んでいることから、このままでは松がなくなると、将来の景観保全に大変な危機感を抱いております。松島の松は樹齢二百年から三百年と言われ、自然がつくり上げたその景観は、だれもが万代にわたって保全したいと思うところであります。しかしながら、現実には、伐倒駆除により松のない島、更には切り倒され、野積みされた状態が目につく状況など、まことに痛々しい光景が見られるようになってきました。現在の松くい虫防除事業では、こうした光景に歯どめはかけられず、この事業が継続していく限り、島々の松は減少し続け、将来は松のない雑木島となるのでありましょう。 地元の松島町では、松があっての松島であり、景観のすばらしい松島の松を何とか蘇生させることができないものかとの思いから、これまで林野庁の指導に基づいて行ってきた松くい虫防除対策とは別に、新たに樹木活力剤の使用による効果実験を昨年十二月町内の新富山など二カ所で赤茶けた松に行い、結果は、一カ月で松の緑が見事に蘇生したのであります。全国的にも各地でこうした取り組みが行われ、東京都、福島市等で松枯れが進行した松を生き生きと復活させることに成功した事例が数多く報道されております。松島の現地からは、県有地となっている松島の観覧亭の松も葉の数が減少し、赤茶色が目立ってきているとの報告もあります。 こうした現状に対し、土壌改良等という手法で松を蘇生させることは可能でありますことから、世界遺産を保護するような思いで松を守るべきと思います。観光にすべてを託す関係者の声をストレートに受けとめ、特別名勝松島の松蘇生事業を新たに実施すべきと思いますが、所見を伺います。 次に、ダイオキシン、環境ホルモン対策について伺います。 日本におけるダイオキシン、環境ホルモン対策は、先進諸国に比べ十年はおくれたと言えます。その原因は、人命にかかわるようなことが起こらない限り重い腰を上げないといった国の姿勢にあると言えます。一九八三年に日本で初めて焼却灰からダイオキシンが発見されました。にもかかわらず、翌年厚生省は、専門家の会議で、そのくらいの量なら問題がないと片づけてしまい、十年以上野放しにされてきました。昨年、WHOの動きに連動し、ようやくごみの焼却規制であるダイオキシン類発生防止ガイドラインが発表されました。 一方、環境ホルモンは、一九七二年WHOがIPCS、国際化学物質安全計画の中で、人工的な化学物質が人間のホルモン系に作用してしまう危険性を指摘しました。WHOと密接な関係のある厚生省がこのことを知らないはずはあり得ません。一九九一年には、人及び野性生物の性発達に及ぼされる化学物質の影響についてのウイングスプレッド会議が開かれ、以後、九六年の開催で六回の会議が開かれています。九六年になってようやく厚生省は、農薬、食品添加物等のエストロゲン様作用等の検出と認可に関する研究に着手しました。 こうした経緯もあり、ダイオキシン、環境ホルモン問題は、長期にわたり野放しにされ、その弊害により、今や日本列島は化学物質による汚染大国となり、住民生活における健康被害が危惧され、ごみ処理施設等をめぐって、さまざまの問題が全国の各地で起こってきております。今後抜本的な対応、対策をとらなければ、いずれエイズ薬害事件と同様の悲劇を繰り返すことになるやもしれません。こうした現状に対し、知事はどのような所見をお持ちでしょうか。 また、ダイオキシン、環境ホルモン対策について、国が始めなくても、県民の健康、生命を守っていくために、全国に先駆けた対策を実施していく御決意があるのかないのか、まずお伺いしたいと思います。 第二に、ダイオキシン削減対策等について伺います。 日本におけるダイオキシンの耐容一日摂取量は一〇ピコグラムであります。WHOは、本年の五月二十九日、専門家会議で、耐容一日摂取量、TDIを一〇ピコグラムから、一から四ピコグラムに引き下げるとの結論をまとめました。厚生省も、ガイドラインの見直しが迫られており、日本のあるべき姿として、住民への健康の影響を考慮し、積極的な削減努力が期待されます。 そこで、一つには、既設の一般ごみ焼却施設の恒久対策基準値〇・五から五ナノグラムを、〇・五から一ナノグラムに設定し対応すべきと思いますがどうか。 二つには、既設焼却炉の恒久対策基準の達成年次は、平成十四年十一月までとなっており、平成九年度での達成数は三十一施設中十一施設となっておりますが、今後どう対応されるのか。 三つには、産業廃棄物の法定焼却施設について、諸基準の早期達成状況及び今後の取り組みについて。 四つには、農業用廃プラスチック、漁網、建築廃材などの処理の現状について。 五つには、法規制対象外小型焼却施設の回収をすべきではないか。 六つには、埋め立て処分場の浸出水処理水について、測定結果の公表また周辺住民の血液中濃度の測定をすべきではないか。 以上、六点について伺います。 第三は、環境ホルモン対策についてであります。 一九九一年七月に行われた、ウイングスプレッド宣言の確認事項に、環境内へ放出された合成化学物質の大半には、天然物質同様、人を初めとする動物の内分泌系を撹乱作用がある。また、問題点として、人に対する暴露の影響については十分解明されていないと記されております。このことから、人間への環境ホルモンの影響はこれから立証される段階と言えます。しかしながら、環境ホルモンは、外因性内分泌撹乱化学物質といい、本物のホルモンのような働きをして、生体にさまざまな異変を引き起こすと言われており、特に低レベルの濃度で人間や動物に障害をもたらすことがわかってきました。ホルモンの働きを撹乱することによって、生殖系、免疫系、神経系に異常をもたらしたり、生殖器の障害等をもたらすとされています。環境ホルモンは、自然界にあって、生物間での食物連鎖を通して濃縮され、やがて、その頂点にある人間は、極めて深刻な危険にさらされることになると言えます。ゆえに、生物濃縮操作を繰り返すことにより、最新の分析装置を使ってやっと分析できるような極めて低い濃度であっても、ホルモンの合成やホルモンの情報伝達を乱すので、ごく微量であっても無視できないものと言えます。 そこで伺う第一は、プラスチックから溶け出す環境ホルモンについてであります。 私たちの身近な食生活で使用しているプラスチック製の容器や食品を包むラップには、柔軟性をもたせるために使われる可塑剤やプラスチックの原料そのものに女性ホルモン様の作用があることが突きとめられております。フタル酸エステル系可塑剤、ポリカーボネートやビスフェノールA、ノニルフェノール等がそうであります。これらの物質は、熱湯や油性食品にわずかでありますが、溶け出します。米国では、油性食品への包装用ラップの使用は禁止されております。また、一九九六年の環境庁の全国調査によって、ビスフェノールAやフタル酸エステル系可塑剤が環境を汚染していることが判明しており、幾つかの地点では汚染が魚まで及んでいることが知られております。 そこで、一つには、学校給食でのポリカーボネート製容器については早期に代替品に切りかえること。 二つには、肉類への包装ラップは自粛、禁止の要請を関係業界にすること。 三つには、水道の水質基準に除草剤のシマジンに加えアトラジンも加えること。 以上、三点について伺います。 第二は、環境ホルモンの危険度についてであります。 環境ホルモンが人に与える影響の大きさについては、だれもがはっきりしてほしいと思うところであります。どのような薬品もリスクを伴っており、完璧なものはあり得ないところであり、危険度と有益度を考慮したリスク評価は極めて重要であります。ダイオキシン等の許容基準値の決め方は、従来、一般的な毒性に基づいており、内分泌撹乱を考慮に入れたリスク評価は、これからの作業であると言えます。また、有害な環境汚染物質が工場から出たり、ごみなどとして移動したりした場合に報告させる制度も緊急の課題であります。米国では、一九八六年に、有害物質排出目録制度として、約六百五十種類の化学物質について二十の業種で約一万三千カ所を対象に届け出を行わせています。こうした制度について、OECDのレポートには、強制的な改善目標がないにもかかわらず、多くの規則プログラムよりも強い影響力があったと記されております。 そこで、一つには、環境ホルモンリスク評価値を設定すること、二つには、化学物質の排出、移動登録制度をつくること、以上の二点について強く国に働きかけるべきと思いますが、その取り組みについて所見を伺います。 次に、聴覚障害者対策についてであります。 全国には現在六百万人の聴覚障害者、中途障害者がいると言われており、本県では七千九百人がいるとされております。高齢化に伴い、老人性難聴者も増加しており、中でも病気や事故等で突然失聴した人は、自分の言葉は発せられても相手の声が聞こえないなど、日常生活の中でさまざまな困難にぶつかっております。また、テレビの緊急放送、事件、災害等のニュース速報、気象警報等の、いわゆる知らないと命にかかわる重要情報でありながら、情報伝達の対象者とはなり得ていないという声も寄せられております。 そこで、以下数点について伺います。 一つには、健聴者と耳の不自由な人とのコミュニケーションの橋渡しとも言うべき耳のシンボルマークを病院、役所、銀行、郵便局等へ設置し、県の広報紙等を通し、県民に周知すべきと思うがどうか。また、県庁の庁舎内に、耳の不自由な人の緊急時の通信手段の確保のため、公衆ファックスを設置すべきと思いますが、その取り組みについて。 二つには、NHK、民放も、全国放送、ローカル放送を問わず、命にかかわる情報はすべて字幕をふやし、手話通訳をスポットで流すよう取り組むようにすべきと思うがどうか。 三つには、耳の不自由な人が病院受診で困ることは、受付窓口の呼び出し対応、会計精算書の呼び出し対応、受診時の医師との会話、薬の説明等であり、これらに応じた検診体制の整備についてどう取り組むのか。 四つには、健聴者と聴覚障害者、中途聴覚障害者の対話の手段である要約筆記者について、そのマンパワーの確保と派遣事業の拡大について今後どう取り組むのか。 五つには、聴覚障害者にとって社会参加に必要な条件整備、環境整備が本県においても著しく立ちおくれているのが現状であります。生活相談の場、情報提供の機能をあわせ持つ施設整備について今後どう取り組むのか。 以上、五点について伺います。 次に、ローマ県と宮城県の友好交流の締結についてであります。 昨年の十二月に、宮城県とローマ県の友好交流について質問したところ、知事からは、友好交流事業に取り組むとの答弁がありました。その後、本年の五月には、ローマ県からアンナ・クレメンテ文化局長等の一行が宮城を訪れ、工業団地等の視察を行い、本県の文化、経済の様子に触れられたのであります。去る七月には、柿崎総務部長が浅野知事の代理としてローマ県を訪問しておりますが、友好交流に向けたローマ側の印象についてどのように感じられたのでしょうか。この機会にぜひお聞かせください。 また、公共的性格を持つローマ商工会議所は、仙台の商工会議所と友好交流を推進したいとの意向が、本年結成された民間の宮城・ローマ交流クラブに伝えられており、同クラブは、今後民間レベルの交流事業として、本年の十一月には、宮城・ローマクラブ交流経済ミッションツアー、平成十一年度には、宮城青年会議によるローマ青年交流ツアー等が企画されており、民間による文化経済交流に向けた活動が年々活性化することはまことに喜ばしいことであり、更なる推進を期待したいのであります。 そこで、行政レベルの友好交流についててありますが、浅野知事には、今から四百年前の支倉常長になった思いでローマ県訪問を実現していただき、ローマ県とのきずなを歴史にとどめ、二十一世紀の国際交流に向け、宮城県とローマ県の相互の地域発展のために友好交流の締結を行うべきと思いますが、あわせて所見を伺います。 最後に、暴走族の違法行為についてであります。 近年、仙台市及び隣接市町村の道路で深夜暴走族による違法行為が我が物顔で行われている現状は、目に余るものがあります。これらのメンバーは、家庭にあっては普通の子供、会社員であれば普通の社員、学校では普通の生徒であるかもしれません。その意味で、取り締まりを所管する警察だけでその行為をなくすことは不可能であります。家庭の問題、学校教育、社会環境等、さまざまの要因が複合しており、県民挙げて取り組むべき課題ではないでしょうか。人間であれば、何がしかの不満はいたし方ないと思います。しかし、幾ら社会等に対して不満があるとしても、他人に迷惑をかけていいことにはなりません。深夜何台ものバイクで路上をじぐざぐ走行、その後続を車両が全車線を占領し、一般車両の走行を妨害している行為は、断じて許されていいものではありません。 最近、私のところにもこうした暴走行為に遭遇し被害を受けた相談がありました。暴走族の乗った乗用車に正面から衝突、車はめちゃくちゃにされた上に首を負傷し、全治三週間かかると言われ、現在通院生活を余儀なくされております。相手を確かめようにも、衝突によりドアがあかず、眼鏡も壊れたためどうしようもなく、そのまま逃げ去られてしまったそうであります。恐らく、こうした事例も含め泣き寝入りをしているケースが多々あるでありましょう。 このまま危険違法行為が放置され続ければ、状況によっては、県民が死亡する事件も発生するのではないかと危惧されます。こうした危険行為に立ち向かうとすれば、県民の側から、そうした車両にはガソリンを売らない等の運動も必要ではないかと思います。県内の一部ではそうした条例をつくり対応しているところもあるようであります。 そこで、一つには、行政のトップにいる知事にもぜひパトカーに乗って、さきに述べました暴走の実態を把握してもらいたいと思いますが、いかがでありましょうか。 二つには、暴走族の実態について、また被害の実情はどのような現状にあるのでしょうか。 三つには、暴走族違法行為者取り締まりの現状と今後の対策、対応について。 四つには、県民の側から暴走行為をなくすための施策が必要であります。安心のできる生活環境とするため、県民の総意として条例を策定すべきと思います。今後どのような取り組みをされるのか。 以上、四点について所見を伺います。 以上で、私の質問を終わります。 御清聴まことにありがとうございました。 ○議長(佐々木久壽君) 知事浅野史郎君。  〔知事 浅野史郎君登壇〕 ◎知事(浅野史郎君) 小野寺初正議員の御質問にお答えをいたします。 御質問が大変広範にわたっておりますので、答弁の方もいささか時間を要すると思いますが、御容赦いただきたいと思います。しっかりお答えをさせていただきます。 まず初めに、景気対策についてお答えをいたします。 まず、景気回復に向け、より一層の断固たる経済対策が必要と思うがどうかというお尋ねでございますが、本県の経済活動も全般にわたって厳しい状況が続いているという認識でありまして、景気は低迷している状況にございます。こういったことから、県といたしましては、公共事業の確保や中小企業向けの制度融資の新設、枠の拡大などを実施してまいりましたし、また公共事業の早期発注、前払い金の支払い割合の拡充などもあわせて行ってきたところであります。 一方、県財政は、一段と厳しい状況にあります。しかしながら、地域経済の活性化は、最重要の課題であると認識しておりますので、この九月補正予算においても、当面緊急を要するものを中心に必要な予算措置を講ずることといたしております。現在国では、更なる景気対策の一環として、減税の前倒し実施を含む大型の補正予算を検討しているようでありますが、県といたしましては、今後の国の動向にも注視し、ただいま申し上げました財政事情も踏まえながら、適切に対応してまいりたいと考えております。 次に、今後の普通建設事業費の拡大についてであります。 本県、これまでも必要な投資を行ってまいりましたし、また、大規模なプロジェクトについても積極的に取り組んでまいりました。例えば普通会計決算について、平成三年度と平成九年度を比較しますと、歳出総額の伸びが一七・〇%である中で、普通建設事業費については三二・二%の伸びとなっているところであります。今後の公共投資については、効果的かつ効率的な整備という観点から、必要量は確保してまいりたいと考えておりますが、事業種別ごとのアクセントのつけぐあいについては、当然あり得ると思います。また、国への予算要望についても、事業自体の必要性、緊急性、妥当性について費用対効果の観点から厳密な優先順位の設定を行い、また、国における公共事業再評価制度との調整も図りながら実施するなど、新しい発想で展開してまいりたいと考えております。 次に、今後の金融環境変化対策資金の融資枠の見込みについてのお尋ねでございます。 八月末の融資累計額及び宮城県信用保証協会の保証承諾額を申し上げますと、それぞれ九十一件、二十一億六千二百万円、保証承諾額の方は百七十八件、四十五億一千八百万円となっております。今後の利用状況には不透明な部分が多く、年度末の融資額を推計することは困難でありますが、信用保証協会がまとめました保証承諾の九月末速報値では、九十億円を超える見込みであるということがございます。また、引受金融機関の事務処理も本格化してきたということから見ますと、この資金の利用は今後相当額に上るものと考えております。 次に、新しい景気対策資金を創設すべきではないかとの御質問でございます。 本県では中小企業経営安定資金を初めとする県制度融資全体において過去最大の融資枠を確保をして、徳陽シティ銀行対策を初め、景気対策を講じてまいりました。特に、徳陽シティ銀行対策としては、金融環境変化対策資金の創設や、経営安定資金特別融資枠百五十億円を設定いたしますとともに、景気対策資金として、経営緊急支援資金の融資枠を二十四億円とするなど、所要の中小企業金融対策を講じてきております。一方、政府においても、貸し渋り対策として、新しく中小企業金融安定化特別保証制度を十月一日から実施してきたところでございます。 このように中小企業金融対策は、国、県、市町村及び関係機関と一体となった連携が必要であると考えておりますので、今後もそれぞれ魅力ある資金や保証制度の有効活用を進めてまいりますし、また、経営緊急支援資金の積極的な活用のPRと無担保・無保証人で融資する特別小口資金の融資限度額の引き上げなどの可能な限りの金融対策を速やかに実施してまいります。 次に、信用保証協会の審査基準の弾力化及び信用保証枠の拡大についてのお尋ねでございます。 県の信用保証協会といたしましては、県内の経済状況が極めて厳しいものと認識をしておりまして、金融環境変化対策資金の保証審査に当たっては、徳陽シティ銀行の既往債務の債権保全措置を尊重いたしますとともに、債務超過である中小企業者であっても、この状況が将来において改善される見込みがあるものについては前向きに対処するということなど弾力化に努めているところであります。 また、経営緊急支援資金など景気対策資金の保証審査に当たっても、倒産関連保証制度を活用し、一定の金額までは担保徴求の緩和や第三者保証人を求めないこととしておりまして、中小企業者の資金調達の円滑化に配慮しております。県といたしましては、十月一日から実施されました中小企業金融安定化特別保証制度、国の制度でありますが、この制度によって保証承諾要件が大幅に緩和されましたので、今後はこの制度の積極的な運用を含め、保証審査の弾力化に向け指導してまいります。 また、信用保証枠の拡大についても、中小企業信用保険法で定める不況業種や新保証制度に伴う保険限度額の別枠化が新しく追加されましたので、これを利用して、中小企業の方々が必要とする資金需要に対応できるようあわせて働きかけてまいります。 次に、中小企業信用保険公庫の保険金のてん補率の引き上げに対する取り組みと、信用保証協会の経営基盤の強化についてでございます。 最初に、保険金のてん補率引き上げに係る国への働きかけでございますが、九月十七日、政府等に対し、保険金のてん補率の引き上げと保険公庫自体の準備基金の増額について要望したところであります。 次に、信用保証協会の経営基盤の強化についてであります。 信用保証協会に対する出捐金は、当初予算で一億円を措置いたしましたが、徳陽シティ銀行対策や景気対策を講ずるに当たって、六月補正予算で更に十二億円を追加措置したところであります。また、今回、中小企業金融安定化特別保証制度の創設に当たって、全国で二十兆円の保証規模が確保され、この制度が円滑に実施できるよう、異例の措置でありますが、全国の信用保証協会の基本財産の積み増しを国庫補助金一〇〇%により出捐することになりました。今後はこの特別措置の具体化を図ってまいりますとともに、代位弁済の動向や経営状況を注意深く見守りながら適切に対応してまいります。 大きな二番目の御質問として、毒物事件への対応についてございました。 まず、本県での毒物事件発生の初期段階での検査体制についてのお尋ねでございますが、住民の方が飲食物をとって具合いが悪くなったといった一般的な食中毒事件の場合には、まず保健所が調査を担当しておりますが、初動調査の中で、毒物などによる犯罪が疑われるというケースについては、速やかに警察に通報をすることとしております。その後の調査や検査については、警察が引き続き行うということとなっております。 次に、救急医療体制の現状と対策でございますが、患者が搬送された医療機関において、まず救急処置がなされます。更に、原因となった毒物や症状に応じて、各種のマニュアルに基づいた適切な治療が行われることになっております。また、今般厚生省から、化学物質等による中毒に対する治療薬等の常備体制の確保及び中毒に関する情報の提供体制についてという通知がございまして、この中で、救命救急センターなどに対して必要な治療薬を常備するように指導をいたしましたし、また、今後の対応に万全を期したところであります。 御指摘のありました財団法人日本中毒情報センターでありますが、これは日本救急医学会が中心となって設立されたものでありまして、医療機関は、専用電話で直ちに化学物質ごとの治療方法に関する情報提供を二十四時間体制で受けられるということになっておりますので、あわせてこの旨の周知を図ったところであります。 次に、毒物を取り扱っている施設に対する検査、指導体制についてであります。 毒物及び劇物取締法に基づいて、本県では、毒劇物監視マニュアルを策定し、保健所などに配置しております毒物劇物監視員が年間計画によって、毒物劇物営業者などに対して定期的に立入検査と指導を実施しております。 また、今回の和歌山市における事件発生に際しましても、直ちに立入検査を実施し、適正な販売手続及び盗難、紛失防止のための必要な措置などの遵守の徹底について監視指導に努めているところであります。 次に、想定されるさまざまな事態に備えた危機管理マニュアルを策定すべきではないかとのお尋ねでございます。 本県では、平成十年九月に、関係部局、警察本部及び仙台市などによる、飲食物への毒物混入等防止対策会議を設置いたしました。それに伴い、飲食物への毒物混入等に係る危機管理体制の整備を図ったところであります。対策会議においては、健康被害を未然に防止するとともに、事件の発生に際し、速やかに適切な措置を講ずることによって、被害の拡大防止が図られますよう、さまざまな事態に備えた対応を定めたガイドラインを取りまとめ、でき得る限りの措置を講じているところであります。 次に、中毒原因物質別の処置方法についてであります。 医薬品については薬事法に基づいて、毒物劇物については毒物及び劇物取締法に基づいて、それぞれ処置方法が定められております。また、農薬についても、国が治療マニュアルを策定しておりますことから、原因物質別の処置方法については、ほとんどの物質について確立していると認識をしております。 なお、中毒事故が発生したときの処置については、その原因物質をいかに早く特定できるかにかかっておるわけでありまして、それぞれの救急医療機関が必要に応じて、財団法人日本中毒情報センターの協力を得ながら迅速に対応することとなっております。 大きな三番目のお尋ねとして、松くい虫防除事業についてお答えをいたします。 松くい虫防除事業の効果が上がっていないのではないかというお尋ねでございますが、本県のこれまでの松くい虫被害対策は、被害木の伐倒駆除を初めとして薬剤による予防散布や樹幹注入など各種の対策を総合的に実施してまいりました。その結果、被害の抑制に相当の効果を発揮しておりまして、このところ数年は横ばいで推移をしております。昨年は、わずかではありますが、減少に転じたところであります。 松が減少し続け、被害量が減らないという原因についてでございますが、東北地方などにおける被害の特徴といたしましては、時期、季節にかかわらず年間を通じて枯れる、いわゆる年越し枯れが駆除を難しいものとしております。また、島々や海岸部においては崖地が多いということなどから、伐倒駆除もそうでありますが、予防効果の高い薬剤散布についてもなかなか徹底した防除が難しいという状況にあるわけでございまして、これらが本県での松くい虫被害を終息させ得ない大きな要因となると考えております。 次に、被害対策については国に追従するのではなく、事業の見直しをすべきとのことでございます。 松枯れの主たる原因--異論も一部にございますが、マツノザイセンチュウ病によるものであるということは、国公立の試験研究機関や大学などでの長期間にわたる広範な調査、実験により定説となっていると認識をしております。県では、これに基づき、被害木の伐倒駆除、薬剤による予防散布及び樹幹注入などの被害対策を講じているところであります。 なお、松島地区においては、昨年度から、枯れた跡地に松くい虫に抵抗力のある松の苗を植栽する松と島の創生植樹事業を県独自の事業として新設をするなど対策を進めているところでございます。 次に、樹木活力剤の使用についてでありますが、松枯れの主因は、マツノザイセンチュウ病によるものでありまして、お話のありました樹木活力剤は、他県の公的試験機関などの実証試験では、マツノザイセンチュウ病には効果が認められないとの報告がなされております。また、農薬登録もされていないということから、現段階での対応は困難であると考えております。 なお、特別名勝松島地域については、国において全国のモデル地区に指定し、昨年度から被害対策の処方せんづくりに入ったところでありまして、県としては、この処方せんに基づき、松自体に抵抗力を高める実証試験などを行っているところであります。 四番目の論点として、ダイオキシン、環境ホルモン対策についてお答えをいたします。 まず初めに、ダイオキシン、環境ホルモンに関する所見と、全国に先駆けた対策を県として実施する決意があるのかとのお尋ねでございます。 これらの化学物質による環境汚染問題は、ごく微量であっても生物や人に影響を及ぼすおそれがあるということでありまして、今まで予見されていなかった健康影響が指摘されているものであります。このことについてはいまだ未解明な点が多く残されてはおりますが、問題が人の健康や生態系に取り返しのつかない重大な影響を及ぼす危険性をはらんだものでありますので、早急に取り組むべき重要な課題であると認識をしております。こういったことから、県といたしましては、全国に先駆けて、独自に宮城県ダイオキシン総合対策を策定いたしましたし、また宮城県環境ホルモン対策連絡会議を設置いたしました。全庁的に連携し、対策に取り組んでいるところでございます。 次に、一般廃棄物焼却施設の恒久対策基準値の見直しについての御質問でございます。 厚生省では、ガイドラインの中で、緊急対策基準と恒久対策基準とを示しておりまして、そのうち、緊急対策基準については、耐容一日摂取量をもとに、施設周辺住民への健康影響の観点から定めたものであります。もう一方の恒久対策基準については、耐容一日摂取量の観点とは別に、最新の技術で達成可能な排出抑制水準を定めたものでございます。したがって、今後処理技術の進歩に応じながら、見直しが図られていくものと理解をしております。 次に、既設の焼却炉の恒久対策基準の達成に向けた対応についての御質問でございます。 現在策定中のごみ処理広域化計画に従い、将来は各ブロックごとに大型の焼却炉に集約することとなります。それまでの間は、既設の焼却炉において適正に対応しなければなりませんので、県といたしましては、市町村及び一部事務組合に対し、施設の改良、改修や、適正な燃焼管理の徹底などにより、平成十四年を待たずに、できるだけ早い時期に恒久対策基準を達成するよう指導をしてまいりたいと考えております。 次に、産業廃棄物焼却施設についての基準達成状況についてでございます。 産業廃棄物の焼却施設を設置している事業者に対しては、昨年十月に県内各地で説明会を実施し、規制基準の強化の内容と今後必要となる改善内容について周知を図りました。その後、廃止予定を除いた五十以上の焼却施設に対して随時立ち入りを行って、施設の改善方策を指導してまいったところでありますが、その結果、現在のところ、ことしの十二月一日から適用される基準のうち、ダイオキシンの抑制にかかわりの深い項目については、おおむね達成されつつある状況と認められます。また、排ガス中のダイオキシン濃度については、現在事業者による測定状況を調査中でありますが、今まで把握した中では、排出基準値を上回っているものはございません。今後については、すべての焼却施設が所定の期日までに基準を達成できますよう、一層強力に立り入り指導を継続してまいりたいと考えております。 次に、農業用廃プラスチック、漁網、建築廃材などの処理の現状はどうかということでございますので、それぞれお答えをしたいと思います。 まず、農業用廃プラスチックでありますが、この使用状況年々増加しております。平成九年の排出量は三千四百五十トン、処理の内訳は、六〇%が焼却処理、二七%が埋め立て処理、その他一三%となっております。 県では、野焼きなどの焼却防止徹底のチラシを全農家に配布するなど、啓発活動に取り組んでおりますが、更に、塩化ビニールからポリオレフィン系や耐用年数の長い代替フィルムへの転換を促進しております。また、農業用廃プラスチック適正処理モデル事業の推進により、市町村や広域農協レベルでの回収処理への取り組みが増加してきております。こういったことから、平成十年の排出量は調査中ではありますが、不適正な処理が着実に減少しているものと認識しております。 漁網等の処理については、漁網店の下取り、処理場での処分のほか、一部では野積みされている現状にございます。県といたしましては、現在系統団体が策定中の漁業系廃棄物の適正処理基本計画とあわせて、漁業者みずからによる適正処置について引き続き指導、支援してまいります。 次に、建築廃材の処理の現状でございますが、木造建築の廃材や廃プラスチックなど、焼却されればダイオキシンを発生する可能性のある建築廃材については、県発注の公共工事から発注するものについては、全量最終処分場に埋め立て処分しております。 次に、小型焼却炉の回収をすべきではないかとのお尋ねについてお答えをいたします。 簡易な小型焼却炉からのダイオキシンの排出実態については、今のところ科学的に解明されていない部分がありますが、リスクの回避をするという観点から、当面は使用自粛を含めた慎重な取り扱いが必要と考えております。 そこで、家庭や事業所において、使用を停止して不要となった焼却炉が出てくるわけでございますが、その回収については、地域の実情に応じ、各市町村及び一部事務組合において対処すべきものと考えております。 次に、埋め立て処分場の浸出水の測定結果の公表と周辺住民の血液中濃度の測定についてであります。 昨年度、県では、焼却灰を埋め立てているすべての最終処分場について、その浸出水の処理水について、ダイオキシン類濃度の測定を行い、その結果を公表したところでございます。今年度以降は、各施設管理者において、当分の間、定期的な調査を継続するよう指導しておりまして、県は、この調査に要する経費を補助することといたしております。各施設管理者が実施した測定結果については、県で取りまとめの上、定期的に公表してまいりたいと考えております。 また、周辺住民の血液中濃度調査についてでありますが、現在、国で測定体制の整備、測定方法の標準化、精度管理について検討しているところでありまして、県といたしましては、今年度厚生省と共同で母乳中のダイオキシン類調査を行うことを予定をしております。更に、国では、ダイオキシン発生源付近住民等についての血液中ダイオキシン濃度調査を今年度中に実施することを検討しているようでありまして、県といたしましても、この調査に積極的に参加し、科学的知見の集積に努めてまいりたいと考えております。 次に、環境ホルモンに関してでありますが、そのうち学校給食のポリカーボネート製容器については教育長から答弁をいたします。 私からは、環境ホルモンに関して、肉類への包装ラップの使用自粛又は禁止を関係業界に対し要請すべきと思うがどうかというお尋ねにお答えをいたします。 食品の容器包装の安全性については、ことし三月に開催された厚生省の食品衛生調査会毒性・器具容器包装合同部会において審議検討されておりまして、この中で包装ラップを含む食品容器包装について、現行の規制に加えて更に環境ホルモンとして緊急に規制する状況にはないとされておりますので、御理解願います。 なお、現在国において、更に内分泌撹乱化学物質に関する調査研究が進められておりますので、その推移を見守りたいと考えております。 次に、水道の水質基準項目に除草剤のアトラジンも加えるべきとのお尋ねでございます。 水道の水質基準項目は、厚生大臣が生活環境審議会の答申を受けて省令で定めておりまして、現在のところ、四十六項目となっております。厚生省では、水道の水質に関する基準の見直しを行っておりますが、アトラジンについては、現在のところ、その対象とはなっていないと伺っておるところでございます。 環境ホルモン対策についての国への働きかけについてでございますが、現在国では、ことしの五月に策定した環境ホルモン戦略計画、SPEED98に基づいて、全国的な環境汚染の実態調査を実施し、その結果に基づいた環境リスク評価、環境リスク管理及び情報提供を推進することとしておりまして、またPRTR、すなわち化学物質の排出・移動登録制度についても早期の法制化を目指しているところと認識をしております。 県といたしましては、こういった国の取り組みが強力に推し進められるべきと考えておりまして、既にさまざまな機会に国に対して要望をしておりまして、今後とも積極的な働きかけをしてまいりたいと考えております。 五番目の論点として、聴覚障害者対策について何点かお尋ねがございました。 難聴者、中途失聴者の方々に対する取り組みについてでございます。 まず、耳のシンボルマークについてお尋ねがございました。 現在、要約筆記通訳せんだいの方々を初めとするボランティアグループの活動によって、この耳のシンボルマークが一部の病院に掲示されて、その普及啓発が図られていると承知をしております。県といたしましても、当面、重点的に市町村や病院といった公共的な場所で、耳のシンボルマークの普及に努めてまいりたいと考えております。また、広報紙などを通して県民の皆様にも耳のシンボルマークのことを周知をし、聴覚に障害のある方々が受付や窓口を利用する際に対応が円滑に行われますよう努めてまいります。 また、県庁舎内への公衆ファクシミリの設置についてでありますが、これについては、今後関係機関にも働きかけを行って、設置するという方向で検討をしてまいります。 次に、字幕放送についてでありますが、現在、地震、津波といった緊急情報については、字幕による放送が行われております。聴覚に障害のある方々だけではなくて、年をとることによって難聴になる方がふえておりますことから、字幕放送は、こういった方々が情報を入手するために不可欠なものであると考えております。その意味で、できるだけ多くの番組について字幕放送の普及を今後促進する必要があると考えております。国でも、字幕放送普及のための具体的な指針を策定し、取り組んでいると承知しておりますので、県といたしましても、その早期実現に向けて関係機関に働きかけてまいりたいと存じます。 次に、病院窓口などでの対応についてであります。 耳の不自由な方々にとっては、病院などでの呼び出しに不便を感じるという声を聞いておりますが、現在、一部ではございますが、一部の病院の窓口では、番号電光表示式が採用されております。今後は、この番号電光表示式に加えて、呼び出しに対応するために、無線振動呼び出し機などもモデル的に導入をすることも考えられております。また、要約筆記奉仕員を活用して医師などとのコミュニケーションを円滑にするなど、受診時における不便の解消が図られますよう配慮してまいりたいと考えております。 次に、要約筆記奉仕員の確保と派遣事業の拡大についてであります。 これまでも要約筆記奉仕員の養成に努めてきたところでありますが、特に、平成十三年に本県で開催されます全国障害者スポーツ大会でも多くの要約筆記奉仕員が必要とされるわけでありますので、今後更に積極的に要約筆記奉仕員の養成に努めてまいりますし、また、その派遣についても拡充をしてまいりたいと考えております。 次に、聴覚障害者の生活相談の場、情報提供の機能をあわせ持つ施設の整備についての御質問にお答えをいたします。 聴覚障害者に対する施策については、現在、要約筆記奉仕員養成そして派遣事業を実施しておりますが、これに加えて、手話通訳相談員や字幕入りビデオカセットライブラリーの設置、ろうあ者日曜教室の開催、こういったことを通じて、生活相談及び情報提供を行っているところであります。こういったことを統合した生活相談や情報提供の機能をあわせ持つ聴覚障害者情報提供施設の整備については、みやぎ障害者プランに盛り込んでおるところであります。今後関係団体との協議を踏まえた上で、そのあり方について具体的に検討を進めてまいりたいと考えております。 次に、ローマ県との交流について幾つかお尋ねがございました。 去る六月七日にローマ県知事が急逝されました。そこで今後の交流について懸念をしていたわけでありますが、七月には柿崎総務部長がローマを訪問し、ローマ県、ローマ商工会議所などとの協議を通じて、新しく選出される予定の新知事の御了解を得た上で今後とも相互交流を進めることでお互いに意思の確認がされました。また、その際に、ローマ側の宮城県との交流への強い熱意を感じたという報告を総務部長から受けております。 県といたしましては、民間交流団体や経済団体との連携を一層深めながら、具体の事業についてどういった支援が可能なのか検討を進めてまいりたいと考えております。こういった取り組みの中で、私自身ローマ県訪問が必要な状況になってくれば、ぜひ実現したいものと考えております。 また、両県の友好協定の締結に関しては、ことしの五月にローマ県の文化局長を団長とする訪問団が宮城県に来られましたが、その際に今後の両県における経済交流と文化交流の推進について、総務部長とローマ県文化局長の間で覚書が締結されたところでありますので、当面は民間レベルによる経済、文化交流事業の進展を見守りながら、県内の機運が熟した段階で友好協定の締結を検討したいと考えております。 次に、暴走族の違法行為対策について警察本部長からも答弁いたしますが、私からもお答えをしたいと思います。 初めに、私自身パトロールカーに乗車し、暴走の実態を把握してはどうかとのお尋ねでございますが、暴走族対策といたしましては、これまでも宮城県交通安全県民運動の中で、暴走族追放実施要領を定めて、暴走族根絶のための追放機運の醸成に努めてまいりました。しかし、残念なことではありますが、暴走族の違法行為は依然として根絶されていないわけでありまして、今後とも警察との緊密な連携を図りながら、その対策に取り組んでまいります。 私自身がパトロールカーに乗車して実態把握をということでございますが、取り締まりの邪魔になったりすることがないかなということもちょっと心配はあります。考えさせていただきたいと思います。 次に、安心できる生活環境を目指す県民の総意としてこれに関する条例を制定すべきと思うがということでございますが、お話のように、暴走族の根絶には、家庭、地域、そして学校による暴走族追放機運の醸成が大切であります。地域に密着した積極的な施策が不可欠でありますので、そういったことから、現在、本県でも、亘理町を初め五町において条例を制定し、地域が一体となって暴走族の追放に取り組んでいるところでございます。 県としての条例の制定については、こういった自治体の動きとともに、交通安全県民運動の成果も見ながら、今後の研究課題とさせていただきたいと考えております。 暴走族の実態及び被害の実情、違法行為者の取り締まりの状況と今後の対策については、警察本部長から答弁いたさせます。 私からは、以上でございます。 ○議長(佐々木久壽君) 教育長遠藤嘉彬君。  〔教育長 遠藤嘉彬君登壇〕 ◎教育長(遠藤嘉彬君) 小野寺初正議員の学校給食でのポリカーボネート製容器の切りかえについての御質問にお答えいたします。 県教育委員会といたしましては、これまで保護者や児童生徒の不安を解消するため、できるだけ食器の更新時期を早め、他の材質の食器に切りかえるよう、市町村教育委員会に働きかけてきたところであります。現時点では、八市町で切りかえを終えているところでありますが、引き続き働きかけを強めてまいりたいと考えております。 なお、県立の夜間高校と特殊教育諸学校につきましても、切りかえの準備を進めており、今月中には切りかえを終える予定になっております。 以上でございます。
    ○議長(佐々木久壽君) 警察本部長佐野智則君。  〔警察本部長 佐野智則君登壇〕 ◎警察本部長(佐野智則君) 暴走族の実態等の御質問にお答えいたします。 県内における暴走族は、本年九月末現在で十九グループ二百四十五名を確認しております。そのほとんどは十六歳から十七歳の無職少年でありまして、暴力団構成員を後ろ盾として連合組織化しており、週末等の深夜、集団で暴走行為を敢行しております。 暴走行為の状態といたしまして、御指摘のように、鉄パイプ等を振り回して蛇行運転、信号無視、道路いっぱいの広がり走行、あるいは著しい低速走行等によりまして、他の一般通行車両に著しい迷惑、危険を与えているほか、爆音により沿線道路の住民の安眠を妨害している状況にあります。 なお、最近は、暴力団員が四輪車に乗車して集団の中に紛れ込んで指揮をしている状況も出てきております。ちなみに本年四月に行った暴走族に対する意識調査によりますと、本県において暴力団とつき合いがあると認める暴走族が一五%、そのうちの約八四%が暴走族に入ってからつき合いを持つようになったとしております。また、暴走族構成員は、集団による暴走行為を行っているのはもちろんですけれども、暴走行為に使用する自動二輪車を盗むなどの窃盗や、暴行、障害、恐喝など多くの凶悪犯罪を敢行している状況にあります。 私どもといたしましても、交通部門のみならず、生活安全、刑事等、各部門が有機的に連携して総合的な対策を強力に推進しているところであります。また、いわゆるギャラリーが多数蝟集して暴走行為を助長する面も強く、また、非行の契機ともなっておりますことから、これらに対する大量補導等の策も講じているところであります。本年九月末現在、共同危険行為等禁止違犯事件による検挙者数は百九名、昨年比でプラス五十七名、このうち逮捕者数については六十四名、昨年比プラス三十五名という数字になっております。また、少年補導については、二百九十九名、改造二輪車については二百二十一台押収しております。 次に、暴走族に対する取り締まり体制ということでありますけれども、昨年の三月、県警の交通部に暴走族対策官以下十九名の暴走族対策専従の組織を新設いたしました。それ以外に、毎週末には機動隊、交通機動隊等約百名の取り締まり体制を編成して集中的な取り締まりを行っているところであります。 また、暴走族グループ根絶のための地域対策として、お話にございました暴走族車両への給油の自粛や中学校等における暴走族加入阻止教室の開催等、世代交代をしながら存続している暴走族グループの根絶機運を醸成するための諸対策を強力に推進しているところであります。 更に、お話ございました本年九月には暴走行為の頻発する地域と申しますか、全国に先駆けて亘理町等五町で暴走族根絶運動推進条例の制定を見たところであります。また、それ以外に暴走族根絶を含めた交通安全条例につきましては、大衡村等九町一村で制定を見ているところであります。条例が制定された地域におきましては、暴走族根絶の機運が高まっております。その他の地域においても、条例制定の要望も強いところでございまして、市町村のみならず、県条例も含めて県下の広い地域において条例が制定されることが望ましいと考えております。 ○議長(佐々木久壽君) 十二番。 ◆十二番(小野寺初正君) 一点だけ再質問させていただきたいと思います。 最後の、暴走族の違法行為に対する対策の中で、県条例の制定についてお伺いをしました。知事の方からは、確かに県民の意識の醸成、こういうやっぱり環境条件もあるんだろうと思います。その中で、研究課題という表現で終えられたわけですが、私は、現実問題として、実際にその現場を見た、あるいはそこに遭遇した人の状況がまことに厳しい状況であります。したがいまして、とても研究課題という、そういう状況ではないんじゃないかな。そういう意味で、先ほど県警本部長の方から、県条例も含めてとありました。私は、これ以上県民がこうした行為に巻き込まれることのないようにするのがやっぱり県の立場ではないかな、このように思います。そうした視点で、やはり研究課題ではなくて、条例の制定に向けて検討していく、こういう立場が私は妥当ではないかな、そうすべきではないかな、そのように思いますが、知事の御答弁をお願いしたいと思います。 ○議長(佐々木久壽君) 知事浅野史郎君。  〔知事 浅野史郎君登壇〕 ◎知事(浅野史郎君) 暴走族の実態、私もパトロールカーに乗ってまず見ろということでございますが、その認識は、大変な状況であるというのは認識しているつもりであります。 県条例については、県の条例になじむのかどうかという、若干中央レベルでも議論があるというふうに聞いておりますが、これはその意味で研究と言おうが検討と言おうが、必要があれば考えていかなければならない。また、条例になじむかどうかの検討もしなければならない。警察とも十分相談をしながら、必要な対応をしてまいりたい、このように考えております。 ○議長(佐々木久壽君) 暫時休憩いたします。  午後零時十四分休憩---------------------------------------  午後一時一分再開 ○副議長(黒須光男君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑、質問を継続いたします。十七番中村功君。  〔十七番 中村 功君登壇〕 ◆十七番(中村功君) 通告に従いまして大綱二点について、順次質問をいたします。 質問に入ります前に、収穫の秋を目前にいたしまして、八月下旬の集中豪雨、それに続いて台風により、県内は大変な災害に見舞われました。県としても、復旧に対するきめ細かなさまざまな施策と、特に被害の大きかった農業、漁業関係の復旧と来年の再生産に向けての支援、指導を改めて万全を期するように望むところであります。 それでは、大綱一点目、産業振興部構想についてお尋ねをいたします。 この件につきましては、九月二十一日の知事説明に続いて、二十四日に行われました第二回の行革検討委員会において、我が会派の伊藤康志議員を初め、多くの委員からの質疑があり、また、十月一日、二日の代表質問にもございました。一部、同様の部分もあるかと思いますが、改めて知事のお考えをお伺いいたします。 本議会の大きなポイントとして、景気浮揚対策に伴う補正予算は当然でありますが、更に、産業振興部構想の問題がありますことは御案内のとおりであります。そのような中で、二十一日、県は、一連の行政改革の目玉として、現在の農政部、水産林業部、更に商工労働部の三部を統合して、産業振興部を創設する考えを提示されました。私にとりましては、なぜ、今、この時期なのかとの思いを強くいたしているところであります。また、何を目的としているのか納得できる説明もなく、理解をいたしかねております。そのような状況の中で、議会に対する説明のかなり以前の段階から、独自に知事自身が、業界関係団体あるいは自治体首長と、直接、事前説明という名目で説得に動いていると耳にしております。しかし、知事は説得と思っても、相手は圧力と感じておる方も大勢であります。特に説明会に出席した複数の関係者は、知事が一方的に話し、詳しい資料もなく、意見を申す雰囲気ではなかった。それをもって各関係団体は理解を示した、あるいは理解を得たと判断するのは、県政の将来において大きな禍根を残すものと危惧しております。特に、第一次産業である農林水産業は体力的にかなり衰弱している状態で、三部統合という大外科手術に耐えられるのかどうか甚だ疑問であり、輸血を必要としている患者に、型の違う血液を輸血しようとしているようなもので、助かる者も殺してしまう誤った処方であります。 以下、その理由を申し述べ、知事に再考を求めるものであります。 まず第一点目として、平成六年のUR農業合意関連対策大綱を受け、さまざまな関連施策が本県においても展開され、農政部、関係団体、そして農家が協力して事業の推進をしてきたことは、知事にも十分認識をいただいておるものと思っておりましたが、その最中にあって、農政部関係の地方機関について、行政運営の効率化、開かれた県政の推進、地方分権への対応との名目で、平成八年四月より、農林事務所、地域農業改良普及センター、家畜保健所、土地改良事務所を再編整備し、農林振興事務所と改めました。以来、三年が経過した今日でも、当初の期待した効果があらわれているとは言いがたいのが現実でありますが、まず、知事の現状認識をお伺いいたします。 更に、各市町村、JA、土地改良区、農家の声を聞くと、行政サービスの低下、特に所内各部との横の連携がほとんどなく、各部をたらい回しという声が大きく聞かれます。農林振興事務所構想をスタートさせるときは、稲作、園芸、畜産の各振興を担うセクションを設け、スタッフの充実を図り、農家、農業団体からの要望に的確に対応できる総合的な窓口機能を持たせるとの説明を受けましたが、現在、どこでその機能を果たしているとお考えであるかお伺いをいたします。 次に、農林振興事務所という名称である以上、地域農業振興を総合的に調整するべきであると思いますが、現状は旧公所ごとの縦割り行政の色彩が大変強く残っておるように感じてなりません。知事はお気づきになっておられるか、お伺いをいたします。 また、地方分権を踏まえ、各種補助事業の採択権限を地方事務所に移行するとの説明もあったはずですが、現在、どの事業の移行があったのか、その件数も含め、具体的にお伺いをいたします。 また、農業改良普及センターについてお尋ねをいたします。 再編整備によりまして、県内十四の普及センターが九つに統合されました。説明では、普及員の事務軽減を図り、純粋な普及活動を専念させ、農家と接する時間を増加させるとありましたが、実際は全く逆の結果が出ており、職員定数の削減、あるいは受け持ち区域の拡大によって、普及の質、特に技術、経営指導の面の低下、農家との情報交換の場の減少など、本県の農政の再重要課題であります園芸振興あるいは農用地の利用集積の推進にも支障を来すおそれが十分に考えられるところでありますが、所見をお伺いいたします。 このように農林部門一つを見ても、二年半を経過した今をもってしても解決できていない問題が数多くあります。農林振興部でさえこのような状態でありますから、今回の産業振興部構想を強行されれば、一次、二次、三次産業とも大変な混乱と、現在進行中の事業の停滞を招くことは必至であり、このような広範囲な統合計画は全くの無謀としか考えられないところであります。 また、第二点は、今、我が国は、産業政策全体が、以前の規制、保護、育成から、競争、自立、支援へと政策転換が図られており、その典型的であった農林水産業、いわゆる一次産業についても同様の取り組みが求められていることは十分理解をしているつもりであります。しかし、農林水産業につきましては、私の持論でもあり信念でもありますが、食料の安定供給だけでなく、洪水防止、水資源の涵養、いわゆる治山治水の役割、あるいは景観の保全など、多面的な機能を有しており、多くの国民に対し、安全で安心な憩いの場を提供してきており、今後、その国民的ニーズはますます高くなるものと考えられ、単に産業政策の基本である経済効率性だけでは議論できない面を多く有しているはずであります。私も設置構想案を何度も読み返してみましたが、読めば読むほど、農林振興事務所の二の舞を演ずる気がしてなりません。 以下、この構想案を見て、今後必ず問題になるであろうと思われる点を拾い上げ、知事の考えをお伺いいたします。 まず、現在、農業関係機関、団体、農家が全力を挙げて、UR対策期間である平成十二年度を目標に農業の構造改革に取り組んでいる最中であり、しかも、そのUR対策期間が三年を切った今、事業完成に向けて一番大事な時期であります。そのような中にあって、今回の新部構想は、対策の円滑な実施に大きな支障を来し、事業の後退につながるおそれが十分に考えられますが、知事の所見をお伺いいたします。 また、第一次産業については、景観の保全、水資源の涵養、自然空間の提供など、多面的かつ公共的な機能の発揮により国民生活に大きく貢献しており、第二次、第三次産業のような効率性だけで議論できない部分が多く含まれており、特に商工業は、経済効率優先の産業であります。商工業に比較すれば経済効率性の低い農林水産業は、おろそかにされる危険性があります。また、商工業は、開発優先の論理になりがちであり、優良農地の確保などに確実に支障を来すおそれが考えられますが、知事の所見をお伺いいたします。 更に、本庁及び地方機関を合わせて三割の職員を有する巨大な部をつくることは、産業振興又は県民サービスの向上を図る県組織とは言いがたく、このような大幅な、しかも性急な再編は、いたずらに混乱を来すだけであり、現に農林振興事務所を見ても、十分に機能しているとは思えません。私は、国の省庁再編の実施を踏まえた段階的なスケジュールの中で行うべきと考えております。例えば、農政部と水産林業部を第一次統合とした上で、その機能が定着した段階で、更に必要があれば、時間をかけ、第二次として商工労働部と統合することも可能であると思いますが、そのことを提案するものであります。 知事は、二十四日の特別委員会の答弁の中で、こだわりを捨て、柔軟な姿勢で臨む旨、表明されましたが、その考えに今も変化はないのか、改めてはっきりとした答弁をいただきたいと思います。 次に、大綱二点目、宮城県における産業廃棄物処理施設、焼却処分場の建設許可について、県の考えをお伺いいたします。 現在、我が県には二十四の産廃業者があり、三十八基の炉を所有しており、大きいものは毎時三千七百五十キログラム、小さいものでも毎時百キログラムの処理能力を持ち、県内全体を合計すると、毎時三十トンを処理できる計算であります。そして、年間三百六十五日操業を続けており、それでも処分し切れなかった廃棄物は、埋め立て処分場へ運ばれており、その量は日を追うごとに増加の一途をたどっていることは、だれもがおわかりのとおりであります。経済の発展とともにごみの量がふえることはごく当たり前とされ、それを地方に持っていって捨てるということも、だれも取り立てて問題にしてこなかった歴史があります。 しかし、近年、さまざまな情報の公開、あるいは情報ネットワークの発達により、特にダイオキシン、環境ホルモンなど、有害と言うより猛毒な物質が多量に含まれている、そして発生しているということをだれもが知るようになり、一気に大きな社会問題となってまいりました。特にダイオキシンはサリンの二倍の猛毒性があり、一グラムで一万人を殺すことができるとさえ言われております。今、県内では、連日、二百トンを超えるごみが焼却されており、これまでの焼却量の総量は膨大な量となり、百万トン焼却すると四百グラムのダイオキシンが発生するという、これまでの研究結果から試算すると、二百三十万県民が一回は死んでいるということも考えられる数字であります。 ごみを焼却することによってダイオキシンが発生することが証明されてから、かなりの年月が経過いたしました。残念ながら、国も県も、排出の数値の基準を年々厳しく規制するものの、根本的なごみの減量化、そして、発生源である焼却場の設置については、申請基準を満たせば認めざるを得ない現実であり、地域の意向は考慮されず、全くの野放し状態にあります。県と業者の書類のキャッチボールの末、あっという間に施設ができ、操業が開始されておるのが現実であります。そして、一番先に被害を受けるのは地域の住民であります。二百三十万県民の健康と福祉について人一倍造詣の深い知事は、この事実についてどのような認識をお持ちであるのか、まずお伺いいたします。 県内で同じような処理施設がある自治体、地域住民は、共通の悩みを持ち、また、県行政に対し強い不信感を募らせている事実を踏まえ、以下、実例を挙げて質問いたします。 私の住む涌谷町は、農業が基幹産業であり、自然に恵まれたのどかな地域でありましたが、平成四年五月に、町内の建設業者が突然、産業廃棄物焼却施設の建設計画を県に申請をして、受理され、翌五年五月より操業を開始し、現在に至っております。開始当時は、排出ガス、排煙の規制もかなり緩やかなものであり、また、住民のダイオキシンに対する知識も今ほど高くはなく、県が許可したものだから安全であると、今考えると、とんでもない思い違いをしておりました。素朴な住民の知識としては、県が安全を担保したと思っていたわけであります。また、県の指導により、涌谷町、地元行政区、業者の三者で、生活環境の保全に関する協定をも締結いたしました。しかし、五年余りの操業の実態は、先ごろ知事にも提出しました陳情書にも示してあるように、環境の破壊、汚染、そして廃棄物の処理及び清掃に関する法律、条例、各種規則違反と、違反同様の不適正操業は目に余るものがあり、明らかに三者協定違反であります。 一例を挙げますと、無煙無臭がうたい文句であった焼却炉からは、周囲の樹木を枯らすほどの黒煙が連日出ており、その面積は年々拡大し、臭気については、隣接する国道三百四十六号を通る車は、皆、窓を閉めるありさまであります。また、処理基準で禁止されている野積み、野焼きも公然と行われております。規制に従って焼却すると、それだけ設備費用がかさみ、業者の利益は減っていき、したがって、野焼きをするのが最ももうけが大きく、一年間野焼きをするとロールスロイスが買えるのが、業界の常識とも耳にしております。このように、法を無視して営利一辺倒な業者の姿勢が、一年間に二回も火災事故を起こした原因であり、管理の不備は明白であります。それにもかかわらず、県は地域住民に安全、安心を与えるような指導あるいは処分もしておらず、住民からは、県は業者の方にばかり目を向けている、官と業の癒着ではないのかと、厳しい目もあることをお伝えしておきます。 県に言わせますと、この五年間で六十五回の立入検査、指導を実施したと主張しております。その努力は認めますものの、何ら業者に反省の色が見えず、改善の跡がない以上、指導する側として、また、操業を許可した側として、操業停止あるいは廃業を含む強い措置をなぜとれなかったのか、また、効果のない行政指導を繰り返すだけの県の姿勢は、ますます県民の行政不信を助長するものと考えますが、あわせて知事の見解をお伺いいたします。 次に、この業者が、去る六月十五日、県に対し、焼却炉の更新の申請をいたしました。六月十七日からの改正産廃処理法の施行直前をねらった、こそくな駆け込み申請であります。その理由は、十二月からのダイオキシンの排出規制の強化に対応するためと聞いております。しかし、焼却炉は、七月十一日に発生した二度目の火災で全焼しており、現在は稼働しておりません。常識的に考えるとき、申請時は更新として受理したそうでありますが、書類に不備な点が数多くあったと聞いており、私は、預かりとするべきであると思います。そして、現在、火災により、施設はすべて撤去されており、その状態はなくなったわけでありますから、私は新設として申請し直すように指導するのが妥当であると考えますが、知事の考えをお伺いいたします。 また、県は、改正廃棄物処理法の施行後、廃棄物処理施設の設置手続を定めた県の指導要綱を見直しました。しかし、その内容は全国の流れとは逆に、住民同意規定を廃止し、それにかわるものとして、申請後の住民説明会の義務化、申請前からの設置計画の公開を業者に求める、生活環境保全協定の締結が許可の条件と、以上、三点を定めておりますが、要綱であり、違反した場合のペナルティーがないわけであります。悪質な業者に対しどのような対応をされるのか。更に、違反した業者にはきちんとペナルティーを与えられる条例を設け、対応し、県民に安全と安心を与えるべきと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。 次に、許認可権の解釈についてお尋ねをいたします。 私は、施設設置の許認可権は県にあるわけでありますから、万一の場合、当然、県にもその責任は生じてくるものと考えており、三者協定と言われる生活環境保全協定の中に積極的に県も参加し、また、炉のメーカーにも入ることを義務づけ、業者、町、県、地域住民、炉のメーカーの五者で互いに協定が守られているか監視すべきであり、そのことが住民の安全を担保するものと考えております。したがって、五者による生活環境保全協定が必要と改めるべきであります。しかし、県の考えは、あくまで設置の許認可は国の委任事務であり、法を上回る内容の協定に県が参加するのはなじまないのではないかと、まことに消極的な考えでありますが、法は守るべき最低の基準であり、改めて、県民本位の県政に取り組んでおられる知事の一歩踏み込んだ考えをお尋ねいたします。 また、委任事務であるからといって、地域の実情、県民の実情を考えず、書類に不備がなければと、無責任にめくら判を押して、結果的に県民に迷惑をかけるより、責任が持てませんと、国に権限を返上することも、よほど県民のための県政と思いますが、あわせてお尋ねをいたします。 次に、私は、この質問をするに当たり、担当課に何回となく地元の事情を説明し、また、県の説明も受けました。その親切な対応には感謝いたしておりますが、その都度感じましたことは、これからの時代の焼却場の必要性、そして今の炉には安全のためのセンサーが数多くついており、いかに安全であるかの話ばかりであり、設置される地域の人々の思いに触れる言葉は一つもありませんでした。 今、都市の快適で便利な生活は、水、エネルギー、食料、労働力、すべて地方からの供給によって成り立っております。しかし、そのお返しがごみと失業者であり、余りにも寂しい思いがいたします。また、迷惑施設と言われる原発、廃棄物処理施設など、すべて安全として、地方が望んでいないにもかかわらず、押しつけられてまいりました。そのことが、将来、地方の住民にどのような負の遺産、そして災いを残すか解明されておらず、大きな不安と不満を残しております。 そこで、逆の発想で、知事に提案をいたします。 知事は、二十五日の本会議で、勾当台会館の新築白紙撤回を表明されました。県民の意見を配慮した結果など、知事の判断に理解を示す評価が多いものの、問題はその後始末であります。その一つに、予定地の問題がございます。恐らくこれまで東北財務局とは相当具体的な話し合いをしてきたはずであります。それを一方的にキャンセルでは、法的には問題なしとしても、信義上、本県のマイナスイメージは避けられないところであります。 そこで、一つの案として、予定地を仙台市と共同で購入し、県と市、共同のモデル焼却処分場を建設してはいかがでしょうか。先日、県内七つの圏域に処理場建設計画が示されましたが、仙台圏に一番初めに建設をし、県が安全を証明すれば、今後引き受ける地域もどんどん出てくるでありましょうし、ごみ処理の問題は全国的な課題でありますから、福祉だけでなく、廃棄物処理の先進県として、宮城県のイメージアップにもつながるでしょう。また、近くに施設があれば、常に市民の目に触れるわけで、ごみに対する関心も高まり、減量化、分別化も進むことが期待されます。また、更に、何か問題が起きたとしても、常に人の目に触れるところであり、県の対応も素早いでしょうし、やればできるということを証明されるはずであります。市民にとっても、いかに今まで自分たちの快適さ、便利さを求めるために迷惑施設を地方に押しつけてきたか、反省と教育の場にもなるはずであります。極論と言われるかもしれませんが、これからのごみ処理行政の方向は、地方に運んで捨てる方法は限界であり、根本的な解決は前段の手法をも十分視野に入れた政策が必要と考え、提言いたします。 以上、知事の前向きなお答えを期待し、質問を終了いたします。 御清聴ありがとうございました。 ○副議長(黒須光男君) 知事浅野史郎君。  〔知事 浅野史郎君登壇〕 ◎知事(浅野史郎君) 中村功議員の御質問にお答えをいたします。大綱二点ございました。 その一点目、産業振興部構想について何点か御質問がございました。 まず初めに、平成八年度に組織再編いたしました農林振興事務所の現状についてでございます。 この農政部、地方機関の組織再編については、農業を取り巻く情勢の急激な変化や新しい政策課題に的確に対応しようということで、農政の総合事務所化による組織の一体性の確保や、有機的な連携を深めることによって、地域の農業振興に総合的に取り組むということを趣旨として行ったものでございます。これは相当に大規模な組織改正であったわけでございまして、この再編直後には、県民の方々から、事務所機能がわかりにくいとかいった御意見も寄せられたことは事実でございます。しかし、この再編も三年目を迎えました。三年目を迎える今日、農林振興事務所、市町村、JAが共同して、各地域の特性に応じた農業振興計画を策定しているという例もございます。その計画に基づく各種の事業、例えばみやぎ田園新時代創造事業といったものを実施する中で、市町村などからも前向きの評価をいただいているところでございます。その意味で、着実に地域農業の振興に寄与しているということと認識をしております。 次に、農林振興事務所での農業振興についての窓口機能、総合的な窓口機能はどこかというお尋ねがございましたが、この担当部署は農業振興部でございます。この農業振興部で、農家や農業団体の方々からのさまざまな相談に応じておりますし、また、より高度で専門的な問題については、これを直接担当するセクションの方に誘導をしております。そういう意味で、県民サービスの低下を来さないように努めております。これは、組織はやはり生き物でありまして、これを使う側の職員一人一人の意識というものが変わらなければ、これを生かすことができないという意味で、まだまだ、この組織の改編の意味を最大限に生かすという意味では、課題があろうと思っておりますが、そういう意味で、今回の再編の目的が十分達成されるように、更に努力をしていく必要があると考えております。 そういう中で、この再編が縦割りの色彩が強く残っているのではないかというお尋ねがございました。 先ほど申し上げましたように、平成八年度、この組織再編がされた直後には、やはり一部に、一体的な取り組みという意味でいかがかという事例が見受けられたことも事実でございます。その意味では、組織改編だけですべてオーケーということではございません。組織は生き物であるということを改めて認識をしておりますが、そういった中で、現在は、園芸振興のための産地の形成でありますとか、担い手育成のための農地利用集積の推進といった面において、地域における共通課題に対して、事務所として一体的に取り組んでいるわけでございます。 また、特に今回の豪雨による災害への対応についてでございますけれども、これは農林振興事務所が持つ一体性、機動性が大いに発揮されて、情報収集でありますとか、災害復旧という面において大いに力を発揮したというふうに考えております。今後もこれは、農林振興事務所としての機能を最大限に発揮するように努力を続けていかなければなりません。市町村、関係団体との連携を密にして、地域の農業振興の中核的役割を果たすよう努めてまいりたいと考えております。 次に、地方分権という観点から各種補助事業の採択権限を事務所に移行すると説明されたが、その移行した件数、事業名についてどうかというお尋ねでございます。 具体的に申しますと、これまでに二つの補助事業、みやぎ未来型農業農村創造事業と宮城ふれあい旬の市推進事業、この二つの補助事業を農林振興事務所に委譲いたしました。また、補助金の採択権限以外のものでございますが、平成八年度に、お米、米穀の小売販売業の登録など、四十項目を委譲いたしました。これまでに合わせて五十三項目の権限を農林振興事務所長などに委譲いたしました。今後とも地域重視型の施策を推進するために、こういった権限の委譲を可能な限り行ってまいりたいと考えております。 次に、地域農業改良普及センターについてのお尋ねでございます。 平成八年四月の再編整備は、産業として自立していける宮城の農業を確立するために、農業改良普及活動の、総合的でかつ効果的な展開をしていきたいということ、そして、指導水準を向上させたいということ、更には、ほかのセクションとの連携強化を図ると、こういったことをねらいとして実施したものでございます。 お話がございました技術、経営指導でございますけれども、これについては、専門担当普及員を複数配置いたしましたり、また、高度な技術対応研修の受講機会などをふやしたわけでございますが、こういったことによって、指導水準はむしろ向上したものと受けとめております。また、農家の方々が気軽に相談できるようなオープンラボの設置、定例巡回日の設定、各種の調査業務のスリム化、こういったことを実施することによって、普及員数は減少いたしましたが、農家と接するための活動時間の方は、むしろしっかりと確保されているのではないかと考えております。特に認定農業者の方々に対しては、従前よりもより多くの活動時間が確保されていると考えております。 園芸振興についてでありますが、平成十年度からは、専門担当普及員を十三人増加させまして、指導体制の強化を図ってまいりました。これによって養液栽培などの先進技術の普及、野菜の指定産地化や花卉の新規栽培者の掘り起こし活動、こういったものに取り組んでいるところでございます。 農用地の利用集積については、涌谷町出来川右岸地区を初めとする県内二十三地区を重点課題として取り上げておりまして、圃場整備を契機とした園芸団地への誘導、整備などにおいて、農林関連セクションが一体となって推進をしております。今後更に、園芸振興でありますとか、農地の集積などの重点課題に対応した活動が展開できますように、活動の対象を認定農業者など自立的な農家に比重を置いて、JAの営農部門との連携も強めながら、農家や地域ニーズに的確にこたえられる、効率的で効果の上がる普及活動を展開してまいります。 次に、新部構想、産業振興部構想によって、むしろ農業構造改革の円滑な実施に支障を来すのではないかというお尋ねがございましたので、お答えをいたします。 今回の組織改編は、意欲のある担い手農家に農地を集積をして、経営規模の拡大を進めていくといったことなど、農業構造改革はもとよりでございますが、生産から加工、販売、流通に至るまでの技術開発による競争力を強化し、付加価値を高くつけることを進める。更に、一次、二次、三次産業の融合化を図ることによって、いわゆるアグリビジネスなどの新しい産業をつくり出すということによって、宮城県の産業の根幹をなす第一次産業を更に次の段階に発展させていくということをねらって行うものでございます。そういう意味で、UR対策事業などの円滑な推進に支障を来すというものではないというふうに考えております。 次に、産業振興部構想についての懸念についてでございます。 農林水産業というのは、確かに、食糧の安定的な供給でありますとかだけではなくて、国土の保全、水資源の涵養といった公益的な役割を担っているわけでございまして、その意味では、単に経済原則のみでとらえるということはできない面があることは当然でございます。したがって、こういったことへの対応については、三部統合後においても、当然ながら、引き続いて担当セクションを置いて、強力に施策展開を推進していく必要がございます。また、商工サイドの開発と農地との土地利用の調整が出てくるということでございますが、これまでも、各種の地域計画や法律に基づいて適切に調整を行ってきております。三部統合後においても、優良農地の確保といった面で支障を来すものではないと考えております。 次に、段階的なスケジュールでの組織の統合ということで、第一次的に農政部と水産林業部を統合をし、その後に新しい方向を考えてはどうかといった御提案をちょうだいいたしました。産業振興部構想のねらいは、ますます厳しくなる経済環境に適切に対応して、農業も含め、本県産業の発展を図るために、現在の三つの部の垣根を低くするということによって、人材、情報、経営ノウハウの共有化を図り、各産業の間での共通的な課題を総合的に手がけるということによって、突破口を開いていこうという組織的な対応でございます。したがって、そういう意味では、まず初めに農政部と水産林業部、しかる後にということは、今回の組織再編の趣旨とはいささか異なるのではないかと考えております。 なお、先日の行政改革検討委員会での私の答弁で、こだわりを捨て、柔軟な姿勢で臨むということは変わりないのか。当然でございます。この趣旨は今も変わっておりません。その意味で、議会においても多くの意見を賜ればというふうに考えております。 次に、大きな項目の二番目といたしまして、産業廃棄物対策についての御質問にお答えをいたします。 まず、焼却施設の設置許可と地域住民との関係についてでございます。 産業廃棄物処理施設は社会的に不可欠な施設ではありますが、それによって地域の生活環境に支障を来すということになってはならないわけでありまして、施設を設置するに当たっては、その地域の住民の方々の意向は十分尊重されなければなりません。このため、県といたしましては、平成二年以来、廃棄物処理法を補完するという形と、また、その趣旨を実際に生かしていくということから、宮城県独自の指導要綱を制定いたしまして、地域住民の意向を踏まえながら、慎重に許可事務を行ってまいりました。今後ともこの方向は変わりません。産業廃棄物焼却施設の設置許可に当たっては、地域の意向というものを十分に考慮して、生活環境の保全に万全を期してまいりたいと考えております。 次に、具体的に、涌谷町にあります産業廃棄物焼却施設に対しての県の指導についてのお尋ねがございました。 県としては、これまで定期的に立入検査を実施してまいりまして、この施設の操業状況を確認し、監視してまいりました。また、周辺住民の方々や地元の自治体から苦情の通報があるたびごとに、速やかに立ち入りを実施いたしまして、事業者に対して適正処理をきめ細かく指導してまいったところでございます。事業者は、県の指導に従って、不適正処理を是正すべく対応してまいりましたので、操業停止といった強力な監督権の発動までには至らなかったというところでございます。県としては、こういった立ち入りによる指導に加えまして、必要に応じて、法律に基づく改善命令をも発するなどの努力を重ねながら、事業者の指導監督を続けておりますので、御理解を賜りたいと存じます。 次に、この業者からの焼却施設の設置許可申請書の扱いについてのお尋ねでございます。 去る六月十五日付で、この業者から県に設置許可申請書が提出されたわけでありますが、その時点において形式的な申請書の要件は整っておりましたので、県では、同日付、六月十五日付で受理はしておるところでございます。この申請書は、その意味では適法に提出され、受理されたというものでありますので、その後、火災があったわけでありますが、その火災発生というその後の事情によって、この取り扱いを変更するということは、法律上はなじまないというふうに考えております。そういったことでありますので、県といたしましては、今後、廃棄物処理法に従って、許可が相当かどうかということを厳正に審査していくという立場にございます。 次に、県の指導要綱の有効性に関してのお尋ねでございます。 県の指導要綱というのは、性格上、行政指導というものでございます。そういった性格から申しますと、その指導要綱の内容に従わない場合に、これをもって罰則などの強制力をもっての制裁を科すということはできないわけでございます。しかし、この指導要綱に基づく行政指導は、産業廃棄物処理施設の設置に際しての事業者と地域住民との利害関係の調整を図るという高い公益性を持つものでございます。その意味で、事業者に対しては、これに定められた手続を履行するように強力に指導してきたところでございまして、また実際上、今まで、ほぼすべての事業者が県の指導要綱に従ってきたところでございます。 また、この行政のような機関委任事務でございますが、機関委任事務に関連して、独自に条例をつくって罰則を定めるということは、現行法の制度上はなじまないという解釈が一般的でございます。したがって、議員お話しのような条例を制定するということは考えておりません。 次に、生活環境保全協定についてのお尋ねがございました。生活環境保全協定に県も参加してはどうかということでございます。 生活環境保全協定の位置づけというか役割といたしましては、施設の運営、維持管理に関して、法律上の基準でカバーできる範囲を超えた取り決めを行うということによって、事業者に対する住民や地元自治体の監視体制を補強するという性格を持つものでございます。一方において、県でございますが、県の立場は、施設設置の許可でありますとか、事業者の指導監督に関する法律上の権限を持つという、そういった立場でございますので、こういった権限でありますとか、立場の違いというものを考えますと、県として協定の仲介には必要に応じて関与してまいりたいと考えておりますが、この協定の一方の当事者として参加をするということは適当ではないのではないかと考えております。 また、産業廃棄物処理施設の設置許可事務でございますが、これは国の機関委任事務ということになっております。このことが適当であるかどうかという大きな次元での議論というものは一方でございますが、現在のところ、これは機関委任事務として整理されているものでございます。県としては、法律上の許可要件の確認ということにとどまらないで、独自に宮城県としての指導要綱を制定いたしまして、地域の実情でありますとか、地元住民の意向を反映させるという努力をしてきたところでございます。そういう意味で、機関委任事務を実際に執行する立場の地方自治体として、できる限りの努力をしてきたというつもりでございます。 なお、そういった機関委任事務は国に返上したらどうかということでございますが、これは今の法制度上はできないというふうに考えております。 最後になりますけれども、モデル的な廃棄物焼却施設を、市民の目につきやすい都心部に建設してはどうかということで、具体的な場所の提示もいただいての御提案をちょうだいいたしました。 廃棄物処理施設の設置場所をどうするかということを考える場合の要素がいろいろございますが、一般的には、施設周辺の生活環境への影響の程度でありますとか、廃棄物を運び込むに当たっての交通上の問題、また、その施設を維持し運営していく際の経済性など、さまざまあるわけでございますが、そういったものを比較検討をした上で、都市部に適地があるということも、これは、そういった施設もあろうかと思います。ごみに対する市民の関心を高めるということでの御提案だと思いますが、そのことを通じて減量化を進めるべきという、この御提案の趣旨は十分に理解するものでございますが、そういったことを念頭に置いて、今後の廃棄物行政に当たってまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○副議長(黒須光男君) 十七番中村功君。 ◆十七番(中村功君) 改めて再質問をさせていただきます。 まず、産業振興部構想でございますけれども、大変わかったような、わからないようなお答えをいただきました。ただ、私、一つ疑問な点はですね、改めてお聞きしますけれども、農林振興事務所、知事の今のお答えを聞いておりますと、目的を達した、あるいは順調に進んでいるというようなお答えが、何か、常に何か奥歯に物が挟まったような、失敗している部分も大分わかっているんじゃないかなというような考えもします。ですから、更にそういう状態を上回る産業振興部構想というものですね、果たして本当にできるのか、順調にこれから計画どおりやれるのかという危惧がいたします。その点、まず第一点。 しかも、UR対策が十二年度で終わり、終了します。その間に、その対策事業もすべて敢行でき、また、新しい産業に向けての創造育成というもの、果たして同時進行でできるのかどうか、その点、お尋ねしたいと思います。 それから、産業廃棄物の県の許認可の件なんですけれども、私は、委任事務であろうと、県が実質的に許可したもんですから、恐らく許可したものには、当然その責任も生じてくるというふうに理解しておるんです。その点、知事の考えは、ただ、国の委任事務であるから、県としては責任がないんだというようなお答えにとれますけれども、その辺、もう一遍お答え願います。 ○副議長(黒須光男君) 知事浅野史郎君。  〔知事 浅野史郎君登壇〕 ◎知事(浅野史郎君) 中村議員からの再質問にお答えをいたします。二点でございます。 まず一点目、産業振興部構想に関連いたしまして、現在の農林振興事務所体制の問題点というものについて、奥歯に物が挟まったような回答だったということでございますが、問題点は、現在ございます。それはですね、例えば、組織が、担当部所がわかりづらいというような苦情というか、そういったことも挙げられておりますし、また、これはいたし方ない部分ですが、組織の名称が長過ぎて覚えるのが大変というようなものもございます。また、実際に、部ごとに執務フロアが分かれているということから来る御不便というものもあるようでございます。また、実際に職員の連帯意識がまだ希薄なのではないかというようなことがございます。こういったことは、確かに現状としてあるわけでございますけれども、これは組織運営していく中での職員の取り組み姿勢の問題として、当然、克服されていかなければならないし、また、そういった方向で今対応をしているということでございます。そういう意味で、三年目ももうなっているではないかということでございますが、これについては、今後もですね、組織は生き物であり、職員が生かしていくんだということで、改めて対応を十分にしてまいりたいということでございます。 それから、二番目の産業廃棄物処理について、処理施設の許認可についてでございますが、これは機関委任事務で、当然、知事権限として許可をするわけでございますが、責任はないということではございません。もちろん知事の責任があるわけでございます。これを、例えば返上するというのはできないというようなことは、お答えいたしましたが、許可をするに当たってはですね、十分に住民の方々、地域の方々の与える影響なども考えながら、適切に対応していく。そしてまた、許可した後もですね、それをフォローしていく。この責任は一にかかって県にあるわけでございます。その責任を十分全うしていくべきであるというのは、いささかも、機関委任事務であるなしにかかわらず、変わりございませんので、今後とも、そういう意味で的確に対応してまいりたいと思っております。(「答弁漏れ、UR対策」と呼ぶ者あり) 失礼しました。UR対策、これも締め切りのある話でございます。これは、産業振興部構想をやるやらないにかかわらずというか、当然、ポリシーとして、農業問題の重要な中核的な問題として対応していくということでございます。産業振興部をつくり、それによって三部の間の垣根を低くするということが、そのこと自体がUR対策の対応をしていくのに大きな問題になるということではございませんという私の見解を述べたものでございます。 ○副議長(黒須光男君) 二十三番内海太君。  〔二十三番 内海 太登壇〕 ◆二十三番(内海太君) 私は通告をいたしておりました大綱三点について、知事及び教育長、警察本部長に所信をお尋ねいたします。 質問の第一は、産業振興についてであります。 その一つ、産業振興部構想についてお尋ねいたします。 さきの行革検討委員会でも申し述べましたとおり、第一次産業から第三次産業まで、大きな時代の変化に対応し、国内外において競争力を高め、宮城の産業全体のレベルアップを図るとともに、新しい産業の創造を目指す上で時宜を得たもので、推進すべきと考えます。しかしながら、第一次産業に携わる人々や一部市町村長などから、第一次産業が冷遇されるのではといった疑問が寄せられており、議会でも論議されております。これは、第一次産業に対する具体的な政策や、これを推進する組織体制や改革の手順を明確に示さなかったためと思われますので、早急に取りまとめすべきと考えます。また、デメリットだけが強調されますが、論点を整理し、改革の必要性を明確にすべきと考えますが、いかがでありましょうか、お伺いいたします。 その二は、水産業の振興についてであります。 本県の水産業は、漁業生産と水産加工業を合わせ七千億円を超え、農業生産に匹敵し、宮城の第一次産業の重要な位置を占め、名実ともに全国有数の水産県であります。しかしながら、平成八年度の生産量と生産額は、五年前の平成三年度に比べますと、ともに二二・三%、三一・一%と低下しております。国際的な漁業規制の強化、漁業生産の減少、魚価の低迷、輸入水産物の増大、漁業就業者の減少、高齢化など、漁業経営、漁村地域を取り巻く環境は一段と厳しさを増しております。こうした状況の中で、昨年一月一日より新海洋法の発効により実施されたTAC制により、漁業秩序の確立と栽培漁業や漁場の整備開発などによる、つくり育てる漁業を積極的に推進し、環境にも配慮した周辺水域の総合的な資源管理を進めていくことが重要となっております。 一方、漁港修築事業などの公共投資の縮減や長期計画の延長など、水産業をめぐる状況はまことに厳しい局面に立たされております。宮城の重要な地場産業であり、日本でも有数な食料産業である本県水産業の現状をどのように認識し、どのように位置づけ、施策を推進されるのか、お伺いいたします。 また、今年度策定を予定している宮城県水産振興ビジョンにどのように生かしていくのか。その際、各業種ごとに数値目標を掲げるべきと考えますが、いかがでありましょうか。更に、このビジョンに水産業に携わる人々や漁村、とりわけ若い人に、夢と希望の持てる特徴的な政策を期待しているのですが、どう位置づけされるか。漁業地域の活性化と生産基盤の整備、高度技術開発及び情報交流の三つの点についてお伺いいたします。 その三は、十一月以降に輸入解禁となる韓国産カキの対応についてであります。 広島県に次ぎ全国第二位の本県産の養殖カキの出荷が、ことしも去る二十九日から始まりました。こうした中で、厚生省はことし四月に、韓国産生食用カキの輸入解禁を決め、十一月以降に国内で流通することになります。問題は、産地表示の義務がないため、混入販売されるおそれがあること、また韓国産は賞味期限が国内基準に比べて甘いとの指摘もあり、もし混入販売された生食用カキで食中毒が起きた場合、宮城県産が原因でないとしたら、どうしてそれを裏づけるのかということです。どうして生鮮食料品に産地表示の義務づけをしなかったのか、大きな問題です。関係者は、強力なライバルの出現以上に、この問題に頭を抱え、不安が拡大しております。それはひとり生産者のみの問題ではなく、基幹事業である宮城県の水産業全体の問題であります。県としても見過ごしできない問題であります。県当局は、この問題をどのように認識し、対応策を検討してきたのか、お伺いいたします。 宮城県産カキは、これまでも品質がよく、生食用として市場でも高い評価を得ております。この機会に、更に衛生管理に万全を期し、品質のすぐれたカキの生産を図り、宮城県産カキのブランド化のために一層の努力が必要と思われます。そのために県の積極的な支援と指導が必要と考えますが、いかがでありましょうか、お伺いいたします。 四点目は、密漁対策についてであります。 県密漁防止対策本部によれば、平成九年度の密漁による摘発者は四十一件で、前年度の倍近くに達し、発見された密漁船、不審船も百二十九隻に上っていると地元紙は報道しております。私は、これまでも本議会や委員会などでこの問題を取り上げ、磯根資源、とりわけ値の張るアワビやウニの密漁対策について提言や取り締まりの充実を訴えてまいりました。残念ながら、その規模も大型化し、手口も巧妙になり、ますます広域化する傾向にあります。暴力団の資金源にもなっているとも言われております。密漁事件の解明なしに、浜に不審が募るばかりです。密漁防止対策協議会を構成するメンバーが、緊密な連携のもとに密漁防止、取り締まりの徹底を期されることを望んでやまないのであります。県においては、取り締まり船の高速化計画がありますが、いつごろ配置の予定でおりますか、まずお尋ねいたします。 漁協を通じて、一層の漁民に対する指導を徹底されることと、警察においても組織力を生かし、流通ルートを解明し、海上保安部との連携を密にして、水際作戦で成果を上げることが大切と思われます。このことについては、岩手県では大きな成果が上がっていると聞き及んでおりますが、いかがですか。最近の密漁の実態と今後の対応策について、県当局並びに県警本部長の所信をお尋ねいたします。 その三は、森林保全と林業の活性化対策についてであります。 本県林業は、長期化する産業経済の低迷に加え、輸入材の拡大による価格の低迷、後継者不足問題に直面し、非常に厳しい状況に置かれており、林業経営は、今や産業として自立できなくなり、山村の過疎化に一層拍車をかけております。一方、近年森林の持つ公益的機能が改めて見直されるなど、森林に対する県民世論が高まっております。こうした状況の中で、県においては「海洋(うみ)と森林(もり)が織りなす夢、未来、みやぎ」を理念として、環境と共生する豊かで活力のある林業の構築を目指すとされ、各般の施策を推進すると説明しております。 そこで、四つの点についてお尋ねいたします。 まず、松枯れ対策についてであります。 国有林、県有林、市町村有林、民有林が一丸となって被害木を一本も残さず、マダラカミキリの羽化前に駆除することが大切と考えます。私の見方では、市町村の取り組みのアンバランスが被害を拡大させているのでは、また国有林の取り組みにも問題があるのではと思います。県際地域では隣接県との情報交換も大切と考えますが、いかがでありましょうか。 更に、伐期齢に達した松林の樹種転換の促進を図ることも、被害を未然に防止し、拡大させない方法の一つと考えますが、いかがでありますか、お伺いいたします。 二つ目は、県産材の利用拡大なくして、宮城の林業は振興しません。今世紀末から来世紀にかけて県産材の時代とPRされました。しかし、現実には安い外材に押され、県産材は現在の住宅建築の中でマッチしないのか、普及が今一つの感があります。そのためには、何といっても良質材の確保と加工技術の向上による付加価値の高いみやぎ材の製品の生産、流通を促進するとともに、内装材への利用を積極的に推進するみやぎ材のブランド化を官民一体となって促進すべきと考えますが、その方策について、更に学校などの公共施設の木質化を促進、地域の木材利用のモデル施設の整備などをして、木材利用の一層の拡大を図ることが大切と考えますが、いかがでありましょうか。 三つ目は、森林の持つ多面的な価値が見直され、都市の住民が環境問題の勉強のために山村の人々と交流し、林業を体験学習したり、漁民が山と川と海のかかわりを重視し、山村の人たちと一緒になって山に木を植える運動、森は海の恋人の運動が全国的な盛り上がりを見せております。これらの新しい社会の動きは、宮城の森林の保全と林業の活性化に近い将来必ずや大きな影響を与えてくれるに違いありません。県民運動として大いに推進すべきと考えますが、いかがでありましょうか。 四つ目としては、学校教育の中で環境教育を充実する観点から、学校林や演習林の積極的な活用を図るべきと提言してまいりました。林業地域の学校では、既に多くの成果を上げている例が報告されております。すべての公立学校とは言えませんが、県森連や各自治体と相談して、学校林や演習林の普及を図るべきと考えます。また、学校林のない都市の学校には、体験交流学習の充実を図ってはどうかと思いますが、お尋ねいたします。 質問の第二は、県土の均衡ある発展についてであります。 私は、五年半前から県政で仕事をさせていただいております。この間、何回となく本会議場や各種委員会において、均衡ある県土の発展を願い、仙台都市圏への一極集中を抑制し、個性的で表情豊かで誇りに満ちた地域の創造を推進し、多極分散型県土づくりを訴えてまいりました。同僚議員からも、毎議会必ず一般質問のテーマとして取り上げられてまいりました。恐らくこのテーマは、ずうっと以前から取り上げられてきたものと思われます。永遠のテーマの一つかもしれません。社会資本の整備は着実に進みつつあるものの、特に平成元年四月に仙台市が政令指定都市に指定されて以来、仙台都市圏への人、物、金の一極集中が進む一方、仙台市など都市的利便性を享受しにくい地域において人口減少、高齢化が顕著に進行しており、地域社会の存立さえ危ぶまれるような状態になっており、これらの地域の活性化が今県政の緊急かつ重要な課題の一つになっているからであります。同時に、その地域に住む人々の率直な訴えでもあります。事あるごとに県土の均衡ある発展を声高に叫ばれておりますが、しかし、その実効がなかなか上がらないのが現実であります。来年四月、政令都市施行十周年を迎える仙台市は、そのころちょうど百万人を超えると予想されております。昨年六月に発表された七十七銀行調査部の宮城県七十一市町村の将来推計人口によりますと、本県の総人口は、平成七年二百三十二万九千人から平成二十七年に二百五十四万九千人に増加いたします。その中で、仙台都市圏のみが一貫して人口が増加し百六十九万五千人余で、総人口の六六・五%を占め、一極集中が一層加速されると推計されております。そのほかの六つの圏域は、古川市のある大崎圏も、石巻市のある石巻圏もその例外に漏れず、すべて人口減少と推計されております。無論、この推計は、政策の展開による社会的増減の大きな変動は予測しておらず、過去五年間のデータに基づく統計によるものであります。しかし、これまでの調査実績には、官民を問わず高い評価を得ており、大いに参考になると考えます。過疎と過密の同時進行、過疎は少子・高齢化の急速な進展、過密は車の渋滞、排ガスなどの公害の問題について、改めて深く認識した次第であります。 そこで、次の二点についてお尋ねいたします。 一つは、この状態はやむを得ないと考えるのか、好ましくないと考えますか。また、今後どのような政策を打ち出し、推進を図るのか。二つ目は、仙台都市圏に対する政策はどうか。六圏域については、特に農山漁村の過疎地域の政策誘導を充実すべきと考えますが、いかがでありましょうか、お伺いいたします。 その三は、三陸縦貫道の整備促進についてであります。これまでも事あるごとに訴えてまいりましたが、種々の動きが伝わってまいりましたので、若干申し述べます。 三陸道は、ことし三月二十日、石巻河南インターまで開通し、県下第二の都市石巻市と仙台市は一時間内に縮まりました。それにより半島部分も一時間内となりました。県内で二時間を超えるところは、いよいよ本吉町、気仙沼市、唐桑町の三市町となりました。栗駒山の山腹、いわかがみ平より四十分も遠いのが本地域であります。既に、河南から桃生にかけて着手しております。その北の登米、志津川、気仙沼は見えてきません。幸い本年度の予算の中において、唐桑道路三・二キロが着工準備箇所として一億円予算化され、既に調査に入っている朗報もありました。しかし、志津川以北が基本計画区間として認められてから既に五年過ぎている現状を見ますときに、大きな焦りを感じております。去る八月、かねてより提案しておりました首都圏での促進大会が、東京の赤坂プリンスホテルに関係者千三百人が集い、リアスハイウエーの実現に熱きエールを送り、大成功をおさめました。そのように沿岸住民と首都圏の人々がスクラムを組んで、一日も早い三陸道全線開通に向けて確認し合ったことは特筆されるべきであり、大きなインパクトを与えたものと思われます。このような中で、去る二十四日、志津川町議会の一般質問で、議員の質問に答えて阿部町長は、現在進められている登米 志津川間の環境アセスメントの実施状況からして、志津川町内のインターは小森地区と推定されると答弁したと地元紙は伝えております。これは地元町長が推定し得るほどルートやインターの予定地が絞り込まれたと理解してよろしいのか、まずお尋ねいたします。 次に、河南から河北まで、河北から桃生まで、唐桑道の今後のスケジュールはどうなっているのか、お尋ねいたします。 その四は、大島架橋の建設促進についてであります。 去る四月十九日、浅野知事は、ツバキ花咲く春らんまんの大島で、潮風を一杯に受け、沿道の人たちの声援を背に二十キロをステップ軽やかに完走いたしました。沿道ではいつにない声援だったことでしょう。そして、早く大島に橋をかけてくださいとの声もこれまでより多く強力だったことでしょう。この日は、なるほど午後から気仙沼大島の架橋促進大会が予定され、知事も出席して祝辞を述べることになっていたからです。これより少し前、四国に鳴門 淡路ルートの二本目の橋がかかりました。来春には、尾道-今治ルートが開通し、四国に三本もの橋がかかることになるという背景もあったからであります。当日、私も参加し、あいさつをいたしましたが、知事のあいさつは議会の答弁みたいで、大島の人々の熱意に若干水を差したのではないかと思いました。あの熱き思い、悲痛な叫びを知事はどのように受けとめましたか、まずお伺いいたします。 これまで何回も言ってきましたが、この大会以降、地元同僚議員と相談して、交代交代で取り上げることにいたしました。陸地とわずか三百四十メートル、四千二百人も住む島に橋のかからない島は、恐らく全国に一カ所もないと思われます。県が島民に約束して三十年、そろそろ何かしら形があらわれてもいいのではないですか。難しかった半島部のアクセス道の改良も着手されます。この命の橋は、夢のかけ橋に終わらせないでください。大島の人々の悲痛な叫びは、まだ耳に残っていませんか。橋をかけるのは、事業主体の県で、知事自身の決断です。今年度から来年度にかけて、夢に一歩でも近づけるよう一段の決意を望んでやみません。来年のつばきマラソンにもまた参加してください。大島の人たちはみんなで歓迎し、大きな声援を送るでしょう。そのとき、いつごろかけっからしゃと言えるような対応を求めるのでありますが、知事の決意をお尋ねするものであります。 次に、地方中心都市の再生に向けた取り組みについて、五点お伺いいたします。 地域の発展を考える場合、地域全体に高度で多様な都市的なサービスと雇用の場を提供する地方中心都市の役割は大変大きなものがあります。これまでの地域の歩みを振り返ってみますと、地方中心都市の盛衰は、地域全体の盛衰にもつながってきたということがわかります。港町として発展してきた石巻、気仙沼を例にとりますと、基幹産業の隆盛が極めたときは、多くの人、物がこの地に集まり、活力にあふれ、周辺地域の人々に就業の場や都市的サービスを提供することを通じて、地域全体の経済を支えてまいりました。仙南の商都であった白石も同様であります。今これらの都市のいずれもが、活力を急速に失い、それに呼応するかのように周辺の町村を含む地域全体も活力を失いつつあります。 この背景として、さまざまな要因が考えられますが、まず都市の成長を支えてきた基幹産業の衰退が挙げられます。次に、サービス産業への移行という歴史的な産業構造の転換の流れ、高度な都市的サービスへの高まりに対応できない、都市基盤の整備のおくれが挙げられます。わけても、地方中心都市ほど庁舎や公共施設が分散配置され、施設相互の連携を図る交通網も未整備で、また商業施設も大型店舗の郊外立地が進み、中心の商店街が衰退するなど、地域に住む人々にとっては大変非効率でサービスの悪い都市構造になっていることも、活力が低下する大きな理由と考えられるのであります。県政の最大の課題の一つであります県土の均衡ある発展を図るためには、地域の発展を牽引する地方中心都市の再生は急務の課題であります。知事は、さきの政策ビジョンにおいて、地域発展のために、地方中心都市の育成に積極的に取り組む考えを示されました。この知事の姿勢は、高く評価できるものでありますが、同時に、県が強力なリーダーシップを発揮し、思い切った県の取り組みがなければ単なるペーパーに終わります。地方中心都市の再生にかける知事の決意を改めてお伺いしますとともに、この具体化に向けて今後どのような政策を展開されますか、まず基本的な考え方をお伺いいたします。 地方中心都市の再生のためには、中心市街地の活性化が重要であり、国においても中心市街地活性化法を制定し、七月から施行し、基盤整備を積極的に支援することとしております。既に、石巻、気仙沼では、活性化基本計画の策定に着手し、名取、古川市でも準備が進められております。これまでのさまざまな取り組みにもかかわらず、何ゆえ実を結ばなかったのか、その経緯を踏まえ、資金的にもノウハウの面でも強力なリーダーシップを発揮できる県が、地域任せという姿勢ではなく、その中心的な役割を担うべきであります。知事の中心市街地の再生に向けた決意をお伺いいたします。 三点目は、推進体制の整備についてであります。 現在の宮城県中心市街地活性化推進会議は十分とは言いがたく、更に総合的視点から推進するために、知事を本部長とする、仮称宮城県中心市街地活性化推進本部の設置が必要と考えられます。また、国のように専属組織の設置をするとともに、総合的な施策指針の策定を急ぐべきと考えますが、いかがでありますか、お伺いいたします。 四点目は、中心商店街の空洞化の一因として、集客力のある県市の行政庁舎、公共施設が市街地以外に分散配置されていることが挙げられます。市街地活性化のためには、これらの施設を市街地の核として整備すべきであります。県は積極的にイニシアチブをとるべきだと思いますがお伺いいたし、五点目に入ります。 とりわけ、県合同庁舎は、集客力や施設規模から、市街地の核づくりに極めて重要な役割を担うことが期待されます。建設後相当期間を経過した石巻、気仙沼合同庁舎については、中心部に再配置するといった思い切った対応が必要であります。いわば政治的な決断なくして、決して中心市街地の整備が進むことのないことは、これまでの経過からも明らかであります。知事の明確な答弁を期待いたします。 質問の第三は、県民の安全の確保でございます。 先ほど小野寺初正議員からも出ましたが、飲食物に混入された毒物の特定は、非常に困難であるとも聞き及んでおります。毒物の特定がおくれることは、捜査への影響ばかりでなく、被害者の救命救急医療上も大変重要になると思います。和歌山県の毒入りカレーは、当初青酸化合物とされましたが、十日目にしてようやく亜砒酸と特定するなど、毒物特定において混乱し、初期治療や捜査に大きく影響したとの指摘が報道されていることから見れば明らかであります。 そこで、このような事件が発生した場合、宮城県警察の毒物鑑定体制、人的な面及び設備の面で十分であるのかどうか。保健所、医療機関その他の機関との連携は十分でありますか。また、このような事件が発生した場合、類似模倣事件の連続発生防止対策をどのように行っておりますか、警察本部長にお伺いします。 その二点目は、去る九月十五日に発生した仙台市青葉区付近に発生した地震の余震と見られる微動が続いていると聞いておりますが、これに対してどのように把握されておりますか、お伺いいたします。 次に、津波対策でありますが、防潮堤の改修とともに、新たな対応の段階に差しかかっております。湾口部はほとんど整備されておりますが、大きな港湾都市の湾奥部防潮堤の整備がおくれております。津波の種類によって引き波と押し波が増幅されて、湾奥部に大きな被害を及ぼすと予想されているので心配でなりません。仙台、塩竃、石巻、女川、志津川と気仙沼の対策はどのようになっているか、お伺いいたします。 最後に、自治体で行っております自動潮位観測システム設置の…… ○副議長(黒須光男君) 簡明に願います。 ◆二十三番(内海太君) (続)促進をお願いするとともに未設置のところに、更に一層促進されますとともに、そのネットワークを広げ、更に三陸沿岸の自治体とのネットワークを図ることが津波対策の迅速化を図る上で最も大切なことだと思われます。 時間をオーバーして、大変恐縮です。私の質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。 ○副議長(黒須光男君) 知事浅野史郎君。  〔知事 浅野史郎君登壇〕 ◎知事(浅野史郎君) 内海太議員の御質問にお答えをいたします。 まず初めに、産業振興について何点かお尋ねがございました。 初めに、産業振興部構想についての具体的政策、推進組織、体制、改革の手順、改革の必要性についてでございます。 この構想の中では、第一次産業は本県の基幹産業として食料の安定供給や国土の保全、水資源の涵養といった公益的な役割を担う重要な産業として位置づけております。今後とも、その振興のためのセクションを組織の中に明確化し、生産振興や農山漁村の整備に力を尽くしてまいりたいと考えております。更に、市場競争が厳しさを増す中で、これまでの第一次産業の生産振興に傾斜しがちな組織体制では、環境の変化への対応が困難な面も見受けられますので、農山漁村の豊かな資源を活用した地域産業の創造、第一次、第二次、第三次産業の連携によるさまざまなビジネスチャンスの拡大などへの組織面からの対応を強化することで、ある意味で壁に突き当たっている第一次産業の突破口を切り開いてまいりたいと考えております。そのために、産業三部の垣根を低くし、人材、情報、経営ノウハウを共有化した横断的な組織体制を整備し、本県産業全体のレベルアップを図るのが産業振興部構想の目指すところであります。改革の手順については、議論の推移を見守りながらお示しをしてまいりたいと考えております。 次に、本県水産業の現状認識と位置づけについてのお尋ねでございます。 本県は、漁獲量、水産加工生産量ともに全国屈指の水産県として、今後とも、我が国の安定的な食料供給基地として重要な役割を担っていかなければならないと考えております。しかしながら、国際的な漁業規制の強化や漁業生産の減少など、多くの課題を抱え、更に、食品に対する衛生志向の高まりなど、新しい県民ニーズへの早急な対応が必要となるなど、水産業を取り巻く現状は依然として厳しいものと認識をしております。 県といたしましては、こういったさまざまな課題に的確に対応をして、生産者が意欲と自信を持って取り組むことができるような安定した水産業を構築するために、今後とも各種漁業及び流通加工業の振興を積極的に推進してまいりたいと考えております。 次に、宮城県水産振興ビジョンについてのお尋ねでございます。 この水産振興ビジョンは、水産業の現状と役割を踏まえて、かつまた、新しい潮流の変化に対応して、中期的、長期的な視野に立った施策を提示するために、現在取りまとめを行っているところでございます。この水産振興ビジョンの策定に当たっては、水産業に直接携わる方々などからの御意見も伺いながら進めているところでありまして、生業としての水産業の振興だけではなく、生産や生活の場、余暇活動の場としての漁村のあり方などについても検討をしているところでございます。今後、戦略的な事業として提示してまいりたいと考えております。また、業種ごとの数値目標についてでありますが、この数値目標についても可能な限り提示してまいりたいと考えております。 次に、本県産のカキと韓国産カキとの混入販売などの問題についてのお尋ねでございます。 今後、韓国産生食用カキが輸入見込まれるわけでございますが、本県産の生食用のカキとを混合して、本県産生食用カキとして販売するということ自体、これだけで直ちに食品衛生法違反ということにはなりませんが、仮に食中毒が発生をしたというような場合には、一体どの海域からとれたものかという原因を特定することは、甚だ困難でございまして、その意味で再発の防止に支障を来すのではないかといった懸念があるわけでございます。したがって、ことしの七月二十八日に、我々としては、広島県、岡山県と一緒に国に対してカキの採捕海域、カキをとった海域を表示をする義務化について要望をしたところでございまして、現在、厚生省ではその方向で食品衛生法に基づく省令の改正について検討をしているところと承知をしておりますので、その推移を見守ってまいりたいと考えております。 次に、宮城県産のカキのブランド化についてでございます。 安全で品質の高いカキを供給するために、近代的な処理場や浄化機器などの整備に対して、県として引き続き支援をしていきたいと考えております。それに加えて、今年度からスタートさせました地域水産物マーケティング促進事業においては、小売店でのキャンペーンでありますとか、外食店で宮城フェアを開催をいたしまして、消費者へのより積極的なPRを行い、産地ブランド化を促進してまいりたいと考えております。 次に、密漁対策について、後ほど警察本部長からも答弁いたしますが、私からもお答えをしたいと思います。 密漁対策として計画しております高速取り締まり船への切りかえ時期についてでございますが、現在二隻所有しておりますけれども、そのうち「うみわし」については大分老朽化が進んでまいりました。速力の面でも高速化する密漁船に対処するというのは難しくなってきております。このため、高速でかつ最新の性能を備えた新しい船の建造を計画しているところでありまして、本年度に基本設計に着手いたしました。なお、設計完了後、速やかにその建造に着手したいと考えております。 次に、最近の密漁の実態と対応策でございますが、一時、磯根資源の密漁というのは陰をひそめていたわけでありますけれども、最近再び増加傾向にございます。密漁物を海中に隠したり、高馬力のエンジンを搭載して夜間に出没をして、高速で逃走するといった事例もございまして、より一層悪質で巧妙化しているという実態でございます。また、一部においては、漁民みずからが規格外アワビの採捕などもしている状況にございます。 こういった現状を踏まえまして、県といたしましては、漁業取り締まり船二隻を配備して夜間・休日を問わず、沿岸域の監視、取り締まりに努めております。また、沿岸漁業協同組合の自主監視船及び陸上監視所との連絡を密にして、県警当局及び海上保安部との連携も強化しながら、不審船の発見、追跡に取り組んでおります。更に、県密漁防止対策本部と連携して、アワビ漁開口時における指導の徹底や研修会なども通じて、密漁防止に対する漁民の意識向上にも努めながら、密漁撲滅を図ってまいりたいと考えております。 次に、松枯れ対策への取り組みについてでございます。 お話がありましたように、各市町村間でこの松枯れ対策についての意識が違ってきているということから、その取り組みにも差が見られたという実態があったわけでございますけれども、例えば松島地域でございますが、こちらでは関係の市町が一体となって対策に当たっているわけでございまして、県でも、全県的に同じような歩調でこの問題に取り組むように指導をしてまいりたいと考えております。 国有林についても同じでございまして、何とか民有林と同一に歩調をとって対応をしてもらいたいとお願いをしているわけでございますが、いろいろな事情から、必ずしも同じレベルで実施をされていないという状況にございます。 また、県と県の境目、県際地域の被害対策でございますが、これまでも連絡調整を行ってまいりましたが、今後は国有林ともども一層連絡を密にしてまいりたいと考えております。 また、樹種の転換についてでありますけれども、従来から重要松林の周辺区域において実施をしてまいりましたけれども、今年度からは更にこれを拡充強化いたしまして、三陸海岸地域を初めとして積極的に樹種転換を推進していくこととしております。今後とも関係市町村や営林署、近隣の県と連携を保ちながら、総力を挙げて被害対策に取り組んでまいりたいと存じます。 次に、みやぎ材のブランド化を官民一体となって促進すべきとのお尋ねでございます。 これまで、木材の乾燥度合いや強度など品質管理基準の策定を主体に、業界と連携して進めてまいったところでございます。今年度からは、その推進母体を木材業団体に移しまして、みやぎ材ブランド化推進協議会が発足いたしました。ブランド材の出荷体制の確立やブランドマークの作成といった具体的な取り組みを行うこととしております。 内装材への利用拡大でございますけれども、これについては設計コンペを実施をして、デザイン、施工性にすぐれた内装木質化の手法を確立をして、これを県民に広くPRすることといたしております。 また、公共施設の木質化でございますけれども、これまで県民の森の学習館など、県の施設の木質化を進めてまいりましたし、また一方において、市町村への働きかけを行ってまいりました。平成四年以降、気仙沼市水梨小学校や一迫小学校、田尻町幼稚園や岩出山保育所など、公共施設の木造及び木質化が徐々に推進されているところでございます。児童生徒の情緒安定に効果があるなど好評を得ておるところでございます。今後、県産材の利用の拡大と安らぎのある公共空間を創造するという観点から、公共施設を初めとして民間施設の木質化を積極的に推進をしてまいりたいと考えております。 次に、森林の価値を見直す運動を県民運動として推進すべきではないかというお尋ねでございます。 このことについては、既に県内の漁業関係者やみどり十字軍が山に植林をするということなどを通じて、着実に森林の重要性ということについての理解が深まってきております。県においては、こういった活動を促進する一環といたしまして、昨年度から、山村と都市や漁村の交流を通じて、森林の保全や林業の重要性への理解を深める森と海との架け橋事業を県内六地区で展開をしております。これに加えまして、宮城みどりの祭典やみどりの少年団活動などを助長をし、交流の輪を広げながら県民運動として定着させていきたいと考えております。 なお、学校林については教育長から答弁をいたします。 大きな二番目の項目といたしまして、県土の均衡ある発展ということについて何点かお尋ねがございました。 まず、仙台都市圏への人口集中でございますが、これはやむを得ないのか、好ましくないのか、また今後の政策はどうかというお尋ねがございました。 県土の均衡ある発展、繰り返し叫ばれ続けてきたわけでございますが、実際上は、仙台都市圏とそれ以外の地域の経済的格差が縮まらずに、過疎化、高齢化の進行や、農林漁業の低迷などによって、多くの市町村が活力をなくしている現状にあるということは御指摘のとおりでございます。大変厳しく受けとめております。二十一世紀の初めには、我が国全体が人口減少局面を迎えようとしているわけでありまして、各地方ブロックの発展を牽引する地方中枢・中核都市や各圏域の中心都市においては、都市機能の集積、高度化が今後とも必要とされるわけであります。そういったことから、その他の地域では人口の減少が更に進むということも見込まれるわけでございます。 しかし、県といたしましては、今後とも県土の均衡ある発展を目指して県政を推進してまいりますことから、仙台都市圏以外の地域においては、都市部では失われがちな暮らしやすさや生きがい、伝統文化といった多面的な機能を総合的に評価しながら、若者の定住促進を図る施策を積極的に展開をしてまいりたいと考えております。それと同時に、広域的な視点に立って地域連携や交流人口の増加を促す施策を講ずることなどによって、県内のそれぞれの地域がその特色を生かしながら自立的に成長できますように、県と市町村とが一体となって取り組んでまいります。 次に、仙台都市圏に対する政策はどうかというお尋ねでございます。 仙台都市圏には、ほくとう日本の発展を牽引する中枢拠点としての役割も期待されているわけでありまして、その意味で国や仙台市との役割分担と連携とを図りながら、中枢管理、研究開発、情報、国際交流といった高次の都市機能の充実を今後とも推進する必要があると考えております。同時に、仙台都市圏に集積された都市機能や経済力、雇用吸収力を県土全体に波及させるということが均衡ある地域の発展にとって重要でございます。そういったことで、今後とも道路網や公共交通機関などの整備拡充を図ってまいりたいと考えております。 また、仙台都市圏以外の六つの圏域の農山漁村の過疎地域への政策の充実という点についてのお尋ねにお答えをいたします。 こういった地域では、今なお若者の流出が続いているわけでありまして、基幹産業が低迷する中で、高齢化が急速に進展してきております。その意味で、環境は年々厳しさを増しつつありまして、定住という面からはもとよりでありますが、地域が持つ環境保全や保健休養、食料生産といったさまざまな公益的な機能を維持していくという面からも、決して揺るがせにできない問題となりつつあります。 県では、これまで、定住環境の整備を初めとして、地域の活性化に積極的に取り組んでまいりまして、その点では一定の成果は上げてまいりましたが、こういった地域の現状を踏まえますと、今やいわゆる従来型ではない新しい視点に立った対応が求められているのではないかと考えております。ここで発想を転換をして、これまでのように仙台都市圏のような都市部に追いつき追い越すということではなくて、時代の潮流というものを見詰め、地域資源の隠れた可能性を改めて評価をするという中で、地域みずからが二十一世紀の新しいライフスタイルや産業をつくり出し、そして外に向かって発信をしていく、そういった自立的な地域づくりこそが新しい今後の方向ではないかと考えているところでございます。 こういった観点から、県では、今年度、例えば気仙沼市の大島において、地域情報化の先進的なモデル事業--大島モデル事業というふうに言っておりますが、こういったモデル事業に着手したところでございます。今後とも、環境問題や健康ニーズの高まりに対応した新しい産業おこしを初めとして時代を先導するような地域づくりを、こういった地域から発信していきたいと考えているところでございます。 次に、三陸縦貫自動車道に関する御質問にお答えをいたします。 三陸縦貫道路は、本県の沿岸部の高速交通体系の骨格をなすものでありまして、その早期完成はかねてからの県政の最優先課題として取り組んできたところであります。 志津川町内のインターチェンジ予定箇所についてのお尋ねでございますけれども、この件については、現在のところ建設省において各種調査を実施中ということでございますので、まだルートなどの具体的な内容は決定はしていないと伺っております。 また、スケジュールについてのお尋ねでございますが、今後とも石巻河南インターチェンジ以北の整備の促進と志津川以北の早期に事業が図られるよう、建設省を初め関係機関に強く要望してまいりたいと考えております。 次に、大島架橋に関するお尋ねでございます。 四月、大島総合開発センターで架橋促進大会が開催されました。私も出席したわけでございますが、その場で地域の皆様方の架橋にかける熱い思いというものはしっかりと受けとめさせていただいたところでございます。 架橋への取り組み状況でございますけれども、現在アクセス道路の整備と架橋に関する諸調査を進めているところでございます。架橋関連の島内道路そして半島側道路について一部用地が難航している状況にございますけれども、今後とも、地元の皆様の御理解を得ながら、架橋を前提としてアクセス道路の整備促進に向けて鋭意努力してまいりたいと考えております。 次に、地方中心都市の再生ということについて、何点かお尋ねがございました。 まず、地方中心都市の再生にかける決意と今後の基本的な政策展開についてでございます。 御指摘ありましたとおり、地域の発展を考える上で、その牽引役とも言うべき地方中心都市の盛衰は、地域全体の盛衰にもつながるわけでありまして、また、ひいては県全体の発展にも大きな影響を与えるものでございます。このため、県では地方中心都市の整備を県政の重要課題に位置づけて、これまで高速交通体系や産業基盤の整備を初め地方拠点都市地域整備推進事業、広域圏活性化プロジェクト推進事業などを実施し、拠点性の向上に努めてきたところでございます。しかしながら、三陸沿岸地域の発展を担う石巻市や気仙沼市などでは、基幹産業の衰退や都市基盤整備のおくれなどから活力の低下が見られるというのも実態でありまして、現状のままでは、今後更に都市機能が弱体していくということも予想されるわけで、まことに憂慮しているところでございます。こういった状況を踏まえて、県としては、地方中心都市の再生に向けて都市構造の抜本的な見直しも念頭に置きながら、中心市街地の整備、公共施設の配置、誘導、成長産業の育成などに全力で取り組んでまいりたいと考えております。 次に、中心市街地の再生に向けた決意についてでございます。 中心市街地の再生については、県内商工業の振興方策について取りまとめた宮城県産業振興アクションプランの中でも大きく位置づけておりまして、空洞化の問題が深刻化している商店街の活性化に向けて、商店街創成総合支援事業でありますとか空き店舗活用推進事業を実施するなど積極的に取り組んできたところでございます。県といたしましては、このたび施行されました中心市街地活性化法に基づいて、国や市町村、商工団体などとの連携を図りながら、中心市街地の再生に向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 次に、仮称宮城県中心市街地活性化推進本部を設置すべきではないかというお尋ねでございます。 中心市街地の活性化を推進するために、ことしの二月に、商工労働部長を会長とする宮城県中心市街地活性化推進会議を庁内に設置をいたしまして、相談窓口の一本化や関係部局との連絡調整を図ってきているところでございます。具体的に申しますと、市町村や商工会議所などに対し、中心市街地活性化に向けての各種事業に関する相談や研修会の開催などを通じ助言などを行ってきたところであります。現在、多くの市町村において中心市街地活性化への取り組みが検討されておりまして、今年度は、気仙沼市を含む八つの市や町で中心市街地活性化基本計画を策定する予定でございます。こういった市町村の計画策定状況などを踏まえながら、御提言ありました推進本部などの推進体制の整備については前向きに取り組んでまいりたいと考えております。また、中心市街地の再生に向けた総合的な政策指針の策定については、関係部局の連携を図りながら、今後検討してまいりたいと考えております。 次に、中心市街地活性化のための行政庁舎や公共施設の整備についてのお尋ねでございます。 御指摘ありましたように、空洞化が進んでいる中心市街地に公共施設を整備をしていくということは、中心市街地の活性化を図る上で有効な手法の一つであると認識をしております。中心市街地は、街の顔であるわけでございまして、この街の顔を活性化させることについては、まず市町村がそれぞれのイニシアチブのもとで、地元のコンセンサスを形成しながら、地域の特性を生かした個性と魅力のある街づくりを進めていくことが必要であると考えております。中心市街地活性化のための核となる施設の整備については、県と市町村が連携協力しながら推進していくことが重要であると考えております。 それに関連して、石巻、気仙沼合同庁舎の中心市街地への再配置についてお尋ねがございました。 県の合同庁舎の建設に当たっては、御指摘があったような視点も考慮すべきであると思いますけれども、具体的な場所の選定に当たっては、近年の行政需要の増大と多様化への対応でありますとか、地域の防災拠点としての安全性の確保でありますとか、県の合同庁舎を利用する県民の皆様の利便性、こういった点にも配慮をしていく必要がございます。また、中心市街地との連携、更には公共交通機関や道路などによる交通アクセスが確保できるといったことなどを総合的に考えて検討してきたところでございます。 なお、気仙沼合同庁合については、昭和五十七年に建設したものでありまして、当面は建てかえの計画はございません。 次に、県民の安全確保ということについて何点かお尋ねがございましたが、そのうち毒物混入事件に関しては、警察本部長から答弁をいたします。 私からは、九月の十五日に仙台市青葉区愛子付近で発生した地震についてお答えをいたします。 この震源地でございますけれども、仙台管区気象台によりますと、愛子断層付近であると発表しているところでございます。その後、東北大学の地震関係の専門家の見解として、長町 利府線断層との関係も指摘されているわけであります。なお、仙台管区気象台によりますと、一時期無感地震は多かったわけでございますが、これも徐々におさまりつつあるということでございまして、宮城県沖地震で多くの被害を受けた本県といたしましては、被害が少なかったことにほっとしているところでございます。県では平成八年度から、学識経験者で構成しております宮城県地域活断層調査委員会を設置をして、長町 利府線断層の調査を実施しております。これまでの調査においては、長町 利府線断層の位置及び長さ、更に千年当たりの平均的なずれの量が五十センチから八十センチであるということが確認されたところでございます。今年度は、更に活動の間隔及び最近の活動はいつなのかを調査することといたしておりまして、現在ボーリング調査を行っているところであります。県としては、こういった調査結果を踏まえて、今回の地震と長町 利府線断層との関係も含め、地域活断層調査委員会の意見も伺いながら、今後必要な対応を検討してまいりたいと考えております。 次に、津波対策についてでございます。 本県海岸の総延長、約八百五十キロメートルでございます。そのうち高潮や津波などからの災害に対して防護を要する延長--保全区域延長と申しておりますが、この保全区域延長は約二百二十七キロメートルに及んでおります。このうち、護岸や胸壁といった有施設延長は約百四十七キロメートルでありますので、六五%整備されておるということになるわけであります。県内の主な漁港、港湾の港奥部の整備については、志津川、女川では、チリ地震津波規模対応の事業として既に整備を終えているわけでありますが、また一方、塩竃、石巻、気仙沼では、継続的に整備が進められているところでございます。一方、この事業を進めるに当たって、港の利用者でありますとか近隣住民の方々から必ずしも理解が得られていないという状況がございまして、事業の進捗が図られていないところもあるわけでございます。この事業の趣旨を更に理解していただいて、引き続き整備を進めてまいりたいと考えております。 次に、潮位観測のネットワーク化についてでございます。 本県での津波予警報伝達については、仙台管区気象台が発表すると同時に、県の総合防災情報システムを通じて沿岸の二十三の市町に自動送信し、市町では同報無線などを活用して住民に対して周知しているところであります。お尋ねのありました自動潮位観測システムの未設置自治体への設置についてでありますが、現在県内では四つの市町が設置をし、津波避難対策などに活用されているわけでありますが、住民の安全確保に寄与しているということから、今後とも設置の促進を働きかけてまいりたいと考えております。また、県内の設置自治体及び岩手県など三陸沿岸都市でのネットワーク化については、広域ネットワーク化することによって津波情報の早期把握が可能となり、住民の避難対策の一助となるなどのメリットが考えられます。 一方、気象庁においては、来年四月から津波の到達時刻、波高などを詳細に示す新しい予報システムが運用開始される予定でありますことから、その運用状況を十分見きわめるとともに、ネットワーク化の費用対効果などを含め今後十分検討してまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。 ○副議長(黒須光男君) 教育長遠藤嘉彬君。  〔教育長 遠藤嘉彬君登壇〕 ◎教育長(遠藤嘉彬君) 内海議員の御質問にお答えいたします。 議員から学校林及び演習林の普及やこれらを活用した体験交流学習の充実についての御提言をいただきました。県教育委員会といたしましては、児童生徒に自然愛護や環境保全の意識の醸成を図る観点から、学校林のほかに地域の身近な自然林や、今年度より新たに県が実施しております自然観察教育林等整備促進事業なども活用し、体験交流学習を含めた環境教育を一層推進してまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○副議長(黒須光男君) 警察本部長佐野智則君。  〔警察本部長 佐野智則君登壇〕 ◎警察本部長(佐野智則君) 内海議員の御質問にお答えいたします。 まず、最近の密漁の実態と対応策という御質問でございますけれども、アワビ等の密漁事犯につきましては、沿岸漁民の生活基盤の確保と、御指摘ありましたように暴力団の資金源の封圧といった観点から、関係機関、団体と連携をとりまして、警戒監視、取り締まりを推進してきたところであります。平成九年中は、八事犯十六人、うち逮捕九名でございますけれども--を検挙いたしまして、アワビ約七十七キログラムを押収いたしますとともに、密漁に使用しました船舶一隻、潜水用具等多数の証拠品を押収しております。更に、突き上げ捜査によりまして、石巻市内及び東京築地の水産会社等の販売ルートを解明したところであります。また、ことしは現在まで五事犯で五人を検挙しておりまして、アワビ約十キログラムを押収しております。 御指摘のとおり、最近の密漁事犯は夜間に高速艇を使用し、密漁海域も大変広範囲に及んでおります。その手口も悪質、巧妙化あるいは広域化しているところでありますけれども、青森、岩手両県警察との情報交換を初め、漁業関係団体等とも緊密な連携を図りながら、水際での取り締まりをより一層強化するとともに、密売先や密売ルートの解明にも努めてまいりたいと考えております。 次に、県警察の毒物鑑定体制等についての御質問がございました。 本県警察では、科学捜査研究所において毒物の鑑定検査を行っているところでありますけれども、毒物検査の専門家としては現在五人の職員が、二十四時間いつでも鑑定に対応できるような体制で臨んでいるところであります。また、警察庁の科学警察研究所とも緊密な連携をとりまして遺漏のないよう対処しております。なお、鑑定の迅速化を図るために新しい機器の導入を図るなど、引き続き体制の強化に努めてまいることとしております。 次に、毒物関係で、保健所や医療機関との連携について申し上げます。 鑑定の迅速化のためには被害者の症状等が極めて有力な情報ともなりますので、事件発生時においては、患者の収容先病院に捜査員を派遣いたしまして速やかに鑑定に必要な情報の入手を図り、その情報に基づき所要の鑑定を行って、その結果を当該病院にフィードバックするなど緊密な連携を図ることとしております。 保健所等との関係につきましても、管轄の警察署において常時緊密な連携をとって対応することとしております。 次に、この種事案の再発防止対策についてでありますが、コンビニエンスストアやスーパーマーケット等の食品販売者はもとより、いわゆる芋煮会等のイベント会場周辺や自動販売機の設置場所等に対し、立ち寄り警戒あるいは警ら等を強化しているところであります。更に、地域安全ニュースや交番速報といいました媒体をも活用いたしまして、地域住民に対して注意を喚起いたしますとともに、不安の解消に努めているところであります。 関係業者に対する対策といたしましては、青酸ソーダ等の毒物、劇物を取り扱っている業者は、現在県内に千七百七十六ございますけれども、それらの業者に対し警察官を立ち寄らせまして、保管設備の維持管理の徹底、販売時の身元確認の徹底、盗難・紛失時の警察への通報等の指導等を行いまして、あわせて書簡を出しましてその徹底を図っているところでございます。また、県コンビニエンスストア等防犯連絡協議会というのがございます。県内に八百五十店舗を抱えておりますけれども、自主警戒の強化、商品管理及び点検の徹底という要請を行っておりますし、あるいは警備業協会に対しまして、警備業務を通じた不審者発見時の通報及び協力等を要請するといったようなことでございまして、関係機関等と一体となりまして毒物等混入事件の再発防止に万全を期しているところであります。 以上です。 ○副議長(黒須光男君) 二十三番内海太君。 ◆二十三番(内海太君) おおむね答えはよろしいんですけれども、ちょっと答弁漏れの点がありましたので、お尋ねします。 水産振興ビジョンの具体的な施策の中で、漁業地域の活性化と生産基盤の整備、高度技術開発と情報交流、この点についての答弁がなかったようでございますので、お尋ねします。 次に、高速艇の配置ですが、もちろん大事なことでございますけれども、配置の時期は、大体十二年度あたりを考えているのか、その点についてお尋ねいたします。 更に、志津川の町長の議会での答弁ですが、答弁については地元町長のアセスメント調査の状況から推定してと、推定してという断りつきですけれども、かなりこれは発言としては、私たちは受けとめているんです。県の方では、全く担当部で書いた答弁書なんでしょうけれども、さらっとその辺を流したように思われるんですけれども、その点の具体的な調査の状況などがございましたら、更にお聞きしたいというふうに思います。 以上、三点。 ○副議長(黒須光男君) 知事浅野史郎君。  〔知事 浅野史郎君登壇〕 ◎知事(浅野史郎君) 内海議員の再質問にお答えをいたします。 まず初めに、宮城県水産振興ビジョンの策定に関連してでございますが、漁業地域の活性化、生産基盤の整備、高度技術開発、情報交流といったことでございますが、そういった項目についても、この水産振興ビジョンの中では十分に位置づけていきたいというふうに考えております。 それから、密猟に関しての高速取り締まり船への切りかえ時期でございますけれども、先ほど申し上げましたが、今年度は基本設計でございます。これが終了した時点で建造に着手をしたいということでございますので、これはどのぐらいそれにかかるかということにかかっているわけでございます。具体的な年次については、まだお答えできませんが、できるだけ早くこれが供用できますように努力をしていきたいと考えております。 三点目の、三陸縦貫自動車道路に関しての志津川町長の御発言でございますが、私どもその経緯については承知をしておりません。つまり、具体的な計画ということについては私ども示されておりませんので、これについて私どもの方から申し上げることは現在のところないという実情であることを繰り返させていただきます。 以上でございます。 ○副議長(黒須光男君) 残余の質疑、質問は、明日に継続することにいたします。--------------------------------------- △散会 ○副議長(黒須光男君) 以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 明日の議事日程は、追って配布いたします。 本日は、これをもって散会いたします。  午後三時十分散会...