平成10年 9月 定例会(第274回) 第二百七十四回宮城県議会(定例会)会議録 (第四号)平成十年十月五日(月曜日) 午前十時一分開議 午後三時十分散会 議長 佐々木久壽君 副議長 黒須光男君出席議員(六十一名) 第一番 遊佐美由紀君 第二番 横田有史君 第三番 藤原範典君 第四番 秋葉賢也君 第五番 安住政之君 第六番 池田憲彦君 第七番 村井嘉浩君 第八番 菊地文博君 第九番 安藤俊威君 第十番 熊谷義彦君 第十一番 岩渕義教君 第十二番 小野寺初正君 第十三番 菅間 進君 第十四番 袋 正君 第十五番 安達 豊君 第十六番 森 信之君 第十七番 中村 功君 第十八番 渥美 巖君 第十九番 柏 佑整君 第二十番 菊地健次郎君 第二十一番 畠山和純君 第二十二番 安住宣孝君 第二十三番 内海 太君 第二十四番 坂下康子君 第二十五番 木村洸也君 第二十六番 本多祐一朗君 第二十七番 石橋信勝君 第二十八番 伊東 憲君 第二十九番 萱場正美君 第三十番 長谷川 章君 第三十一番 渡辺栄一君 第三十二番 土井 亨君 第三十三番 藤倉知格君 第三十四番 遊佐雅宣君 第三十五番 千葉 達君 第三十六番 高橋浩一君 第三十七番 佐藤勝彦君 第三十八番 菊地 浩君 第三十九番 高橋長偉君 第四十番 大沼迪義君 第四十二番 佐々木ひろし君 第四十三番 菅野信男君 第四十四番 長谷川 正君 第四十五番 坂下清賢君 第四十六番 長島秀道君 第四十七番 錦戸弦一君 第四十八番 庄子 守君 第四十九番 根深善雄君 第五十番 斎藤栄夫君 第五十一番 黒須光男君 第五十二番 高橋健輔君 第五十三番 文屋 公君 第五十四番 高橋俊也君 第五十五番 伊藤康志君 第五十六番 相沢光哉君 第五十七番 斎藤正美君 第五十八番 渡辺和喜君 第五十九番 今野隆吉君 第六十番 大沼謙一君 第六十二番 佐藤 勇君 第六十三番 佐々木久壽君欠席議員(一名) 第六十一番 千葉正美君欠員(一名) 第四十一番
---------------------------------------説明のため出席した者 知事 浅野史郎君 副知事 丹野諒二君 副知事 東尾 正君 出納長 今里寅男君
公営企業管理者 松木伸一郎君 総務部長 事務吏員 柿崎征英君 企画部長 事務吏員 熊谷 繁君
環境生活部長 事務吏員 石附成二君
保健福祉部長 事務吏員 寺島英毅君
商工労働部長 事務吏員 吉田協一君 農政部長 事務吏員 菅原清毅君
水産林業部長 事務吏員 千葉眞弘君 土木部長 技術吏員 渋谷 恒君
国体推進局長 事務吏員 佐藤健一君 出納局長 事務吏員 鈴木信夫君 企業局長 事務吏員 高橋 渉君 総務部次長 事務吏員 加藤正人君 兼秘書課長 総務部参事 事務吏員 三浦秀一君 兼財政課長 教育委員会
委員長職務代行 大場恒一君 教育長 遠藤嘉彬君 教育次長 斎藤 進君
選挙管理委員会 委員長 郷古康郎君 事務局長 米澤 健君 人事委員会 委員長 武田武男君 事務局長 熊谷弘康君 公安委員会 委員長 早川二郎君 警察本部長 佐野智則君 総務室長 佐々木 学君
地方労働委員会 事務局長 山田洋治郎君 監査委員 委員 渡邊達夫君 事務局長 徳江武志君
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総務課長補佐 高橋久美君
議事課長補佐 伊東教夫君
調査課長補佐 氏家 修君 上席主幹兼記録係長 佐藤 昭君 上席主幹兼議事係長 森屋 清君 主幹兼委員会係長 菅原 清君 主査 布田惠子君
--------------------------------------- 議事日程 第四号 平成十年十月五日(月)午前十時開議第一
会議録署名議員の指名第二 議第九十四号議案ないし議第百二十号議案並びに報告第八号第三 一般質問 〔菊地文博君、小野寺初正君、中村 功君、内海 太君〕
--------------------------------------- 会議に付した事件一 日程第一
会議録署名議員の指名二 日程第二 議第九十四号議案ないし議第百二十号議案並びに報告第八号三 日程第三 一般質問 〔菊地文博君、小野寺初正君、中村 功君、内海 太君〕
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△開議(午前十時一分)
○議長(佐々木久壽君) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は、お手元に配布のとおりであります。
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△
会議録署名議員の指名
○議長(佐々木久壽君) 日程第一、
会議録署名議員の指名を行います。
会議録署名議員に、二十六番本多祐一朗君、二十七番石橋信勝君を指名いたします。
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△議第九十四号議案ないし議第百二十号議案・報告第八号・一般質問
○議長(佐々木久壽君) 日程第二、議第九十四号議案ないし議第百二十号議案並びに報告第八号を議題とし、これらについての質疑と日程第三、一般質問とをあわせて行います。 十月二日に引き続き、質疑、質問を継続いたします。八番菊地文博君。 〔八番 菊地文博君登壇〕
◆八番(菊地文博君) 「私は信念と
リーダーシップの政治家であり、
コンセンサスの政治家ではない」--いみじくも英国病で病む
イギリス経済をよみがえらせた元
英国首相マーガレット・
サッチャー女史の言葉であります。ドイツの歴史的な戦略家でもあるクラウゼビッツも、その名著「戦争論」において、「一頭のライオンが指揮する百頭の羊は、一頭の羊が指揮する百頭のライオンにまさる」と、すぐれたリーダー性の必要性を指摘いたしました。しかし、残念ながら日本の現状は、百一頭の羊の彷徨という状況になっております。日本は、今、新たな世紀を迎えようとする中で、あらゆる分野で
リーダーシップが必要であると言われております。群れを守って戦い、群れを安全な方向に導くリーダーを持たない羊の群れ、それが現在の日本の姿をあらわしているような、そんな感じがいたします。 個人預金一千二百兆円という
世界最大規模の金融資産を持ちながらも、長期化する経済不況と財政破綻の暗やみを逃げ惑い、多くの国民が方向感を失い、国全体が閉塞感に覆われているのであります。リーダーとは、すぐれた先見力を発揮し、進むべき道を示し、勇気と決断を持って指導力を発揮していく。そして、その結果に、みずからがすべての責任を負うというのが本来の姿であります。 今や、企業倒産も失業者の数も戦後最大級となりつつある景気の低迷、深刻化する金融機関の不良債権問題など、我が国に起こりつつある問題は、決して予期されなかったものではなく、またその処方せんも提示されていなかったというわけでもないのであります。政治、経済界のトップに位置する方々が、現実を直視せず、みずから困難を切り開くという気概を持たず、問題を先送りしてきたことが最大の原因であります。とりわけ顕著なのは、リーダーに不可欠な責任感の欠如であります。現在、本県の経済苦境の大きな要因となった徳陽シティ銀行を初めとして、昨今、経営破綻した金融機関においても、いずれの役員が退職金の返還や私財の提供を行ったというのでしょうか。そして、だれもがその責任を追及することさえないのであります。今回、国家的な問題となった長銀でも、経営破綻を引き起こした当時の頭取に、約十億円もの退職金が支払われ、再建計画の一環として自主的な返還を求めたものの、いまだ返還を明言していない状況にあります。また、このような事態を引き起こした
護送船団方式、裁量行政をつかさどってきた大蔵省の官僚の中で、だれが責任を問われたでしょうか。 政治も同様であります。今回の長期化する経済不況は、全くの政策ミスが原因であったにもかかわらず、時の最高責任者がどのような責任をとったというのでしょうか。巨額の経済損失が発生する中で、多くの国民が失業という災禍に見舞われ、その回復のために更に多額の公費が投入される。この責任は、単に職を辞するというだけでは決して済まされないはずであります。また、国民に、国政運営の非を認め、謝罪したことが一度たりともあったでしょうか。県政も同様であります。国際ゆめ交流博覧会の赤字補てんのために、二億六百万円の県費が投入されましたが、果たしてだれが、その公費の重みを感じ、具体の責任を明らかにしたのでしょうか。国、地方を問わず、我が国の多くの分野で、リーダーの責任感の欠如、これが社会全体の
モラルハザードを引き起こしている面は否定できないのであります。信なくば立たず、トップが責任感とその表裏にある決断力、指導力を示してくれない。このことが、国民の信頼を失わせたということになるのではないでしょうか。 本来、リーダーとは、みずから決断し、強力な指導力を発揮していかなければなりませんが、実態はこれと大きく乖離している実情にあります。指導力のあり方について、ボトムアップかトップダウンかの議論や、組織内の
コンセンサスを得てという議論もありますが、最終責任者であるトップが、それを補佐し、仕える役割でしかない組織と調整し、
コンセンサスを得るというようなことなど、本来、ありようがないのであります。この背景には、責任を負わない官僚組織が実質的な政策決定権限を行使し、それにまた政治も寄りかかるという、いわば、政と官との歪んだ主客転倒の構造がありました。経済も右肩上がりでパイが拡大しつつあった時代、あるいは冷戦構造の中で、日本一国主義が認められていた時代状況もあったと思います。しかしながら、もはや歴史的とも言うべき大きな転換期を迎え、思い切った
社会経済改革を進めなければならない時代にあっては、リーダーが果たす役割はとてつもなく大きなものがありますし、これは時代の要請でもあります。責任も決断もあいまいのままでは、日本の未来はないのであります。このことを、私たちは現在の日本の姿から大いに学んだわけであります。 このような観点に立ってみれば、国政や本県の行政改革で課題となっているように、行政組織のあり方が議論の俎上に上ること自体が問題なのであります。執行に当たっての補助機関をどうするかというような内部的な問題は、トップである総理大臣や知事が決定すれば済むことであります。現に民間企業において、どのような内部組織にするか、事業本部制をしくべきか、
プロジェクト推進室を新たに設けるべきかどうかは、株主総会の議決事項ではなく、すべて取締役会で決定します。また、大統領制のアメリカでも、それは大統領の専任事項であります。これはトップと補助機関との関係を考えれば、当然過ぎるほど当然の対応なのであります。 ただいま申し上げましたとおり、リーダーの役割の重要性は、かつてないほど高まりつつあります。宮城のあすは、知事が
リーダーシップをどう発揮していくか、それにかかっていると言っても過言ではないのであります。しかし、具体の施策の取り組みを見てみますと、これほど時代が恐ろしい勢いで急速に変化しつつあるにもかかわらず、二十一世紀の宮城をどうするか、新しい時代に対応した県政をどう進めていくか、ビジョンも明確ではなく、時代を先取りした改革にどう取り組もうとしているのか、二年もかけて総合計画を策定する手法は、従来型の域を出ていないような感じがいたします。また、今回の勾当台会館に見られるように、なぜ決断までにこれまでの期間を要したのか、当初予算の審議の場で取り下げればよかったのではないかと思うのであります。 今回、県の行政改革第三次中間報告素案を見ても、強力な
リーダーシップの発揮を支えるための官房機能の強化なり、国際化戦略に対応した組織体制をどう整備していくかも明確ではありません。三重県では、この四月から、知事官房として部長クラスの秘書室長を設置し、強力な布陣をしきつつあります。いずれにしても、旧来型の発想から転換を求められているにもかかわらず、知事は時代の要請にこたえた
リーダーシップを発揮していないのではないか。この変化の時代におけるリーダーのあり方についてどうお考えなのか。そして、どのようにして強力な
リーダーシップを発揮されようとしているのか。組織体制の整備とあわせて、その具体策についてお伺いをいたします。 この変化の時代を乗り越え、新しい宮城の創造に向けて、早急に今後の本県の歩むべき方向、取り組むべき課題を県民に明らかにするのが、リーダーとしての知事の責務であると考えます。既に、国では有識者を参集させた
国家経済戦略会議を発足させ、二十一世紀の創造をするために、国政が取り組む課題、政策について検討を進めておりますが、本県でも内外の有識者から成る宮城県
経済戦略会議を発足させ、その英知と情熱を結集し、社会構造の改革を含む思い切った検討を進める時期に来ていると考えますが、いかがでしょうか。更に、み
やぎ夢大使制度と同様に、政策面を補佐する外部の人材を積極的に活用する
政策補佐官制度を創設してはいかがと思いますが、お伺いをいたします。 このように、我が国は、名実ともにまことに大規模な構造変動を迎えつつあります。日本を取り巻く時代環境を冷静に直視すれば、これまでのさまざまな発想、制度、仕組みがそのままであり続けることは到底望むべくもないのであります。市場原理が浸透し、急速に競争が激化していくことが避けられない時代にあっては、農業も、建設業も、中小企業も、産業としていずれも生き延びていくためには、その技術力を向上させ、市場競争力を高めていく道しかないのであります。金融分野においても、
護送船団方式が昔日のものとなり、さまざまな商品開発を通した競争が激化する中で、その資金効果を高めるための行動に出ることも明らかであります。県財政においても、既に一兆円を超す赤字を抱え、もはや倒産状態とも言うべき中で、抜本的なリストラや大幅な税収増に向けた地域開発、産業経済の振興策に取り組まなければならないことも明らかであります。 これだけの条件がそろっているにもかかわらず、政治も行政も産業界も甚だ危機感が乏しいのはなぜか。それはひとえに、現実を直視せず、旧来の発想なり姿勢に安住し、だれかが何とかしてくれるというあなた任せの意識と、いつかは株や地価も上がるといった神風的な意識がその根底にあるのではないかと考えるのであります。このような発想なり意識がもはや通用しないことは、ここ数年のさまざまな出来事を通して学んだはずであります。変化を先取りし、先手を打つ者だけが勝者となることは、歴史の教訓であります。今こそ、起こりつつある時代の変化を直視する勇気を持ち、新しい県土づくりに県民の総力を結集するときが来ていると思います。宮城が衰退の道をたどるのか、更に繁栄するのか、今、その分岐点に立っているのであります。 次に、地方財政についてであります。 「ここまで厳しい数字を前にすると、どう予算を組めるのか、だれにも経験のない作業である」--一九九〇年度
予算編成方針説明会での神奈川県知事の言葉であります。本県の財政もまた年々悪化の一途をたどり、もはや非常事態とも言える危機的状況にあると言っても過言ではないのであります。県債残高は年々増加し、先月現在で一兆一千五百億円に達しました。他の財政指標を見ても、その悪化は顕著で、平成八年度ベースでは、経常収支比率が八四・四%、
公債費負担比率が一四・七%、起債制限比率は一二%と、いずれの指標も年々増加する傾向にあります。人件費などの義務的経費である経常的経費が増加するという財政構造が硬直化する中にあって、
公債費負担比率も警戒ラインとされる一五%を超えようとしているのであります。また、歳入全体に占める県債比率も年々依存度が高まり、現在、一七・八%にも達しているのであります。県債残高の規模は、県の年間予算を超える巨額に達しており、
民間企業会計に例えれば、
有利子負債残高が年間売上高を超えている状況なのであります。これは、不良債権の負担と景気の低迷で、今や大変な苦境にあえぐ、金融機関の支援がなければいつ破綻してもおかしくない企業と比べても、決して遜色のない経営内容だということを厳しく受けとめなければならないのであります。 また、今後の県財政の見通しも、決して楽観視できるものではないのであります。長引く景気の低迷の中で、国、地方経済も急激に悪化の一途をたどりつつあります。既に今年度の我が国の経済成長はマイナスとなることが明らかであります。次年度の経済成長もマイナスか、プラスとしても極めて低いものとなることが予想され、また、県内の企業倒産は戦後最大規模に達するなど、経済の低迷を受け、今年度も来年度の地方税収も、大幅に落ち込むことは確実な情勢にあります。加えて、来年度からは恒久的減税が実施され、地方交付税や地方税が削減されることも確実なのであります。 しかしながら、県庁全体に、このような県財政を取り巻く環境が大変な厳しさを増しているとの危機感があると言えば、甚だ疑問なのであります。今回の行政改革の内容にも、そのことが如実にあらわれております。県財政打開のための一環として実施した事務事業の総点検でも、一般的、政策的経費のうち、
事業費ベースで七十九億円、
一般財源ベースで五十四億円の削減規模にとどまり、また、県歳出全体の約三割を占める人件費への対応も、明らかになっていないのであります。県財政の現状と今後の推移を直視してはいないのではないか、そう感ずるのでありますが、いかがでしょうか。あえて厳しい表現をすれば、困っても、国が何とかしてくれる、そのような、あなた任せの姿勢があるのではないかと思うのであります。総額二百四十兆円もの赤字を抱える国に、果たして、これまでのような地方支援を期待し続けることができるのでしょうか。 また、地方財政にも、市場原理の波が押し寄せつつあります。これまでは、自治体の公募債は、東京都債をベースとして、ほぼ一定の利率で発行されておりましたが、自治体の財政力に応じて格差が生じる、あるいは発行債券が、市場での消化さえ危ぶまれる自治体も出るなど、
地方債券市場でも、地方自治体の経営努力を市場ベースで評価する動きも急であります。これに呼応するかのように、地方自治体の経営の格付を行う動きもあらわれつつあります。国、地方相互の財政制度が急激に変わらないとしても、地方みずからがみずからの判断で経営努力をし、思い切った財政改革を取り組むことは、もはや避けては通れない時代の要請なのであります。繰り返し申し上げているとおり、今や旧来の制度やシステムを変革する構造的な変動が起こりつつあり、意識を変え、新たな発想で対処しなければならないのであります。そこで、県財政の再建に取り組む知事の決意を伺いますとともに、以上の基本的な視点に立って、県財政の再建に関連し、数点、御質問いたします。 第一点目は、時代認識、大局観についてであります。 経営を行う上で最も大切なことは、経営を取り巻く時代環境がどうなっているのか、どう変化しようとしているのか、正しく認識することであります。現在の日本の社会経済の制度、システムは、いずれもすべて右肩上がりの経済成長、いわばインフレをベースとしたものであります。このような経済運営に当たって、国民の大多数もまた、価格も給与も年々上がるのが当然であり、それが善であるという意識も定着しました。県財政も同様の考えに立ち、給与も予算総額も、対前年度比で増額するのが善であるとの基本姿勢で編成を続け、今日に至っております。しかしながら、このようなインフレをベースとした発想なり考えが、果たして妥当なのでしょうか。世界の商品市場では、今や農産物、原油、金属を含め、第一次産品の下落傾向は顕著であります。これが今回のロシア、中南米の経済危機を招いている大きな原因の一つとなっているのであります。単に世界規模の経済不況に伴う需要減退による一時的な現象ととらえるべきではないと思うのであります。 二十世紀は紛争と戦争の時代であり、この時代の特質として、経済はインフレが基調でありました。しかし、冷戦終結を境として、平和の時代になったことを考えれば、デフレが今後の経済の基調となり、すべての価格が下落か、よくては横ばいと考えるのが適切ではないかと思うのであります。デフレ経済は、かつて私たちが経験したことのない全く未知の社会であります。それを認識し、その変化に合わせた社会改革を実践しようとすれば、大きな痛みと摩擦を生じるのは明らかであります。かつて、十九世紀末のイギリスのビクトリア王朝時代が同様の変化に見舞われました。しかし、技術革新で繁栄をきわめたことは大いに参考になると思います。このような経済の基本的な変化を知事はどのように認識されているのか。どのような時代認識のもとに県財政を運営されようとしているのか。そして、これまでのように、対前年度比で増額が当たり前という予算の姿勢を改めるべきと考えますが、いかがでしょうか。 第二点は、昨今の厳しい財政状況を踏まえた、思い切った人件費の抑制措置についてであります。 財政構造の硬直化の大きな原因である人件費の抑制なくしては、財政改革を推進することは到底不可能であります。既に、東京都では早期退職制度の導入に踏み切り、神奈川県では、知事以下部局長のボーナスカットを実施いたしました。本県でも人件費の問題を決してタブー視することなく、知事の率先垂範のもと、思い切った削減措置を講ずるべきではないかと思うのでありますが、いかがでしょうか。 また、これに関連して、国では、人事院の勧告を受け、〇・七六%のベースアップを完全実施するとの方針を決定したところであります。非常事態とも言える県財政の状況を考えれば、県としては、当面、凍結すべきものと考えますが、いかがでしょうか。 第三点目は、財政改革推進に向けた思い切った人材の登用であります。 改革がなぜ必要なのか。それは、これまでの組織や制度がその役割を終えようとしているか、従来の運営では組織や制度そのものが維持できなくなっているということにほかならないのであります。このような観点からすれば、改革の任に当たる者としての資格は、まず、その組織に対してしがらみを持たない人物でなければならないのであります。大胆な改革ゆえに多くの摩擦が予想されることから、強い信念と情熱を持った者でなければならないのであります。そして、このように登用した者に思い切った権限を付与し任せるということでなければ、改革は到底おぼつかないと考えるのであります。今回の行政改革のように、行政内部の職員にゆだねるという手法では、やはりおのずと限界があるのではないでしょうか。幕末に、財政破綻に陥っていた備中松山藩を再建した山田方谷の抜てきの例を大いに学ぶときではないかと思います。財政再建に向けて思い切った外部人材の登用を図るとともに、その推進のための知事直属の財政再建室を設置してはどうかと考えますが、いかがでしょうか。 第四点目は、税収増に向けた積極的な政策の取り組みについてであります。 財政の要諦は、入るを図って出るを講ずと言われるように、再建のためには徹底したコスト削減とともに、それ以上に税収増が不可欠であります。このためには、積極的な経済振興策が必要であります。今回の地価調査結果に見られるように、県内の地価は全般的に下落傾向にありますが、とりわけ仙台市中心部を初めとして都市部の下落傾向が顕著であることは、今般の景気の低迷という要因ではなく、県内の経済活動が全般にわたって低迷していることのあらわれであります。世界がボーダレス化の中で、今や経済活動は国や地域の枠を越え、より自由な活動が保障される地域に人、物、金も流れつつあります。本県も決してこの世界的な流れと無縁ではなく、昨今の県内の経済低迷は、構造転換が進まない地域経済のおくれにあるとも言えます。このまま推移すれば、県内の経済が更に低迷し、地方税の減収はより大きくなるのは明らかであります。この打開のためには、これまでの発想を変え、世界の変化の潮流に沿った思い切った経済対策を講じていく必要があります。その観点から、内外の企業が自由に活動できる、自由経済圏みやぎを宣言し、その実現を目指し、経済振興方針を策定するとともに、すべての行政施策をその方向に集中させていくことが必要であると思いますが、いかがでしょうか。とりわけ重要な対策は、長年、秩序ある土地利用の大義のもとに、自由な経済活動を規制してきた土地利用規制の緩和であります。本県独自の対応を確立するとともに、積極的にその緩和を国に働きかけていくことが今求められていると考えますが、いかがでしょうか。 次に、産業振興についてであります。 一次、二次、三次、いずれの産業分野を問わず、その基盤を強化していくためには、生産、商品、流通分野の技術力の強化向上が不可欠であります。この技術向上をどう推進していくか、これは積年の県の産業政策の大きな課題であります。県の研究開発機関を整備する、それを通して技術指導を徹底するという県の技術指導力の強化も大変重要な対応でありますが、それ以上に重要なことは、高度な技術力を有する人材を確保することにあります。産業基盤が弱体であることと人材が少ないことは、表裏の関係にあるのであります。かつての藩政時代、さまざまな特産品を開発するために、各藩はすぐれた技術者を誘致することに全力を挙げましたし、明治政府もまた我が国の近代化を推し進めるため、欧米からすぐれた技術者を積極的に招聘し、新たな産業興しに取り組みました。この結果、各地で産業が興隆し、また我が国も近代国家への道を歩むことができたのであります。本県もまた、この歴史に大いに学ぶべきであり、今、全国的な規模で進むリストラにより、大企業から多くのすぐれた技術者が放出されつつあります。これは、本県の産業の技術基盤を強化する上でまたとない好機であると思います。 昨年十二月の本会議において、ビッグバンを見越した財政と金融対策の強化策として、経済・金融の専門監の登用を提言いたしましたところ、本年四月より、民間から二名の人材を職員として採用されました。このような対応を全県規模で実施してはどうかと考えるのであります。県庁職員としての採用はもちろんのこと、県内の建設業、商業、工業分野での人材確保を積極的に進めるべきであります。このような形で人材の流動化が進み、雇用の受け皿が整備されれば、大変大きな不況対策にもなるのではないかと思うのであります。今こそ人材確保に向けて、本県が率先して人件費助成などの思い切った措置を講ずるべきであると考えますし、国にも積極的に政策提言を働きかけていくべきと考えますが、いかがでしょうか、お伺いいたします。 次に、国際化に対応した経済基盤の整備についてであります。 既に経済のグローバル化は急速に進展しつつあり、地方といえども、これまでのように東京経由で経済振興を語る時代ではなくなりました。地方みずからが国際経済戦略を立案し、具体の行動に移らざるを得ない、そのような時代となりつつあります。また、そのような国際的な対応がなければ、今後、本県の産業や経済が飛躍していくということは、なかなか困難なことであります。幸いにも本県の場合、仙台国際空港が三千メートルに延長され、また、塩釜、石巻港の整備も着実に進展しつつあります。 そこで、お伺いいたしますが、塩釜、石巻両重要港湾の整備計画はどんな進捗状況にあるのでしょうか。また、仙台塩釜港という新しい名称で、特定重要港湾への昇格を目指しておりますが、見通しもあわせてお伺いをいたします。 国際競争力をつける、このためには地方みずからがメリットを示し、PRすることが不可欠であります。横浜港ですら、この秋には、定期航路便や総重量に合わせて岸壁使用料の値下げを図ろうとしておりますし、隣の小名浜港では、十二時間、一トン当たり二円、荷さばき地や野積み場の使用料もかなりの低料金を設定し、港湾利用のメリットをPRしております。本県の港湾におきましても、これらソフト部門の対応が早急に求められております。宮城の産業振興策においてこれらは大変重要なことでありますので、お考えがありましたらお聞かせいただきたいと思います。 これらの国際化のためのインフラ基盤を活用して、海外から、物、人、投資を誘致する、その戦略と具体の政策が求められております。知事は、さきの政策ビジョンにおいて、仙台湾岸地域に国際経済の拠点を整備していくことを公約いたしましたが、方向としては正しいと思います。今後、この具体化に向けて、早急に国際化戦略を打ち立て実施していくべきと考えますが、いかがでしょうか。そして、このためにも外部の専門家を交えたプロジェクトチームなり専門組織を設置してはどうか、あるいはそのような人材を登用してはどうかと考えますが、いかがでしょうか、お伺いいたします。更に、このような視点に立った国際流通の一大集積地、流通団地を整備し、海外との交易を活発化してはどうかと考えますが、いかがでしょうか。 以上、お伺いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。 御清聴まことにありがとうございました。
○議長(佐々木久壽君) 知事浅野史郎君。 〔知事 浅野史郎君登壇〕
◎知事(浅野史郎君) 菊地文博議員の御質問にお答えをいたします。 まず初めに、
リーダーシップ論でございますが、菊地議員の歴史認識を踏まえた格調の高い
リーダーシップ論に叱咤されましたし、また同時に、激励もされたわけでございます。お答えをいたします。 社会は大きな変革期にあるというのは、同じ認識でございます。そういった中で、個人も、組織も、また地域も、みずからのことはみずからの責任で解決をするという、自己責任と自立が強く求められております。こういった中で、県政においても、旧来の発想でありますとか慣行にとらわれることなく、県政の重点をどこに置くべきかということを正面から見詰めて判断し、みずから戦略を立てて、断固として実行に移す強いリーダーが求められているということ、ただいま御指摘のあったとおりでございます。その意味で、知事は県行政組織のトップであると同時に、県民から直接選ばれた政治家という存在でもあるわけであります。組織みずからの痛みを伴う決断については、政治家としての知事の立場に立って判断していかなければならない場面もあるというふうに認識をしております。こういった自覚のもとに、私はこれまでも本県の一連の不祥事の解決に当たってまいりました。また、情報公開の徹底、福祉・医療の充実強化、産業経済の活性化、県土基盤の整備などに全力を投入してまいりました。また現在は、新しい県政創造運動-宮城の行政改革-を初めとして、県政の重要課題に対して、みずから先頭に立って取り組みを進めているところであります。 また、
リーダーシップの発揮に関して、具体的に、知事官房的な組織の設置を含めた体制の整備について御提言がございました。まずは、ことしの四月に設置したばかりでありますが、政策調整監、わずか三人ではありますけれども、この機能を十全に使いこなすということが大事であります。また、関係幹部職員による戦略課題に対応する政策会議という場も機動的に運営をしていくことによって、強い
リーダーシップを発揮してまいりたいと考えているところでございます。 次に、宮城県
経済戦略会議といったものを発足させてはどうかという御提言でございました。お話しいたしましたように、時代は大きな転換期であります。どういった社会を目指すべきか、どういった分野に力を入れていくべきかの方向性を指し示すことが、大変重要な課題であると認識をしております。そういったことからも、県といたしましては、新しい世紀を切り開くビジョンとして、新しい総合計画の策定に着手をしたところであります。御提言では、こういった課題に早急に対応するためということで、宮城県
経済戦略会議を発足させてはどうかということでありますが、そのことは、とりもなおさず長期的な展望に立って、地域のあるべき姿、それを実現するための県政運営の基本方向をしっかりと示すということであります。こういったためには、条例によって、各界各層の有識者で構成される宮城県総合計画審議会というものがあるわけでありまして、この総合計画審議会を設置をして十分に意見を聞くということにされているわけであります。したがって、今後速やかにこの宮城県総合計画審議会を発足させて、新しい宮城をどうつくり上げていくかということに向けて、社会構造改革を含め、十分に検討、審議を尽くしてまいりたいと考えております。 一方、昨今の経済情勢の急激な変化に伴って、金融対策や雇用対策など緊急に対応すべき課題が山積しております。県といたしましては、こういった状況に対応するために、これまでも緊急経済対策など機動的な対策を講じてきたところであります。今後とも、国の
経済戦略会議を含め国の動向にも十分配慮しながら、迅速かつ的確に対応してまいりたいと考えております。 次に、外部の人材をこの際積極的に活用するために、
政策補佐官制度を創設してはどうかという御提案でございます。先ほど申し上げましたように、ことしの四月から、知事の政策スタッフとして、わずか三名ではありますが、特命事項を担当する政策調整監の設置をしたところでございます。現在、これを使いこなしつつ、拡充強化ということはどうかということについて、今走りながら考えているという段階でございます。御提案の趣旨、これは今後検討していくべき課題というふうに受けとめさせていただきたいと思います。 二番目の大きな課題として、地方財政の今後の考え方について、何点かお尋ねがございました。 まず初めに、県財政の再建に取り組む決意についてお尋ねでございます。 御指摘ありましたように、先日、東京都では、事実上の財政危機宣言を行いました。ほかの幾つかの県でも同様な状況でございまして、本県だけではなくて、地方財政を取り巻く環境というのは大変厳しい、また深刻なものとなってきております。県といたしましては、こういった危機的な状況を、我々にとってもみずからの問題として正面から受けとめているところであります。そのために、予算システムの改革を行政改革推進計画の大きな柱として位置づけているわけでありまして、現在、本県の財政健全化に向けた具体的計画の策定作業を進めているところでございます。この計画では、従来の事務事業の徹底した見直し、予算の効果的、効率的運用というのはもちろんでございますが、加えて、官と民、国と県、市町村の役割、社会構造や県民ニーズの変化、こういった視点にも踏み込んで、本県の歳出構造そのものを根本的に見直す内容としてまいりたいと考えております。こういった取り組みと実践がなければ、二十一世紀における本県地域経済の発展と県民福祉の向上というものはなし得ないものと考えておりまして、その意味で、本県財政の健全化に向けて不退転の覚悟で取り組む決意であります。 また、現在の経済の基本的な変化や時代認識についてのお尋ねでございますが、お話がありましたとおり、経済のグローバル化、相互依存関係の深まりの中で、右肩上がりの経済成長というものを、もう当たり前のことだというふうに考えてきた日本の社会経済の制度、システムが、この面では崩れつつあるということを十分認識をしております。また、我が国経済についても、低成長どころではないマイナス成長というものも、もはや現実のものとなっているということ、御指摘のとおりでございます。こういったことを踏まえて、我々が次の世代のために行うべきことが幾つかございます。この世界経済の危機を、効率的で正しく機能する市場、効率的な経済構造、国際的な協力及び連帯のシステム、こういったことによって乗り越えることでありまして、そのための努力を惜しんではならないと考えております。県の財政は、こういった劇的な変革と大きな困難に立ち向かっていかなければなりません。しかしながら、本県の財政健全化に向けた取り組みは、単に現在の経済状況に対応するというだけではなくて、将来の県民の福祉の向上と地域経済の発展につながる面があるということを信じて努力してまいりたいと考えております。 次に、こういった中で、思い切った人件費の削減措置を講ずるべきではないかという御質問でございます。 職員の給与については、これまでも、例えば、寒冷地手当の見直しでありますとか、特殊勤務手当の廃止、時間外勤務の上限設定といったことによって手当額の削減を図ってまいりました。今後とも、給与の適正化を一層進めてまいりますし、また、定員適正化計画を策定して、職員数の縮減にも努めてまいります。これらを通じて、人件費についてもタブー視するということではなくて、その抑制に努めてまいりたいと考えております。 また、具体的に、今年度の職員給与のベースアップでございますが、国では、人事院の勧告どおり完全実施をするということが閣議決定されております。本県でどうするかということでありますが、今の段階で人事委員会の給与勧告、まだ出ておりません。人事委員会から勧告が出された時点で、その内容を十分に検討をし、他の都道府県の動向もございますし、また財政状況などをも十分に勘案した上で、適切に対応したいと考えております。 次に、財政再建に向けた人材の外部登用と財政再建室の設置ということについて御提言がございました。 現在進めております新しい県政創造運動は、県民福祉向上のために、職員みずからが手がけ、職員みずからで改革を行っていくというもので、いわば終わりのない改革というものを目指しております。財政再建については、現在の厳しい財政状況を十分に踏まえて、各職場においても事務事業総点検による事業の見直しを行っております。こういったことを通じて、県職員が一丸となって財政健全化に向けた取り組みを進めていくこととしております。財政再建に向けた外部人材の登用や財政再建室の設置、こういったことについて御提言をちょうだいしたわけでありますが、これらは改革に向けての重要な方法論の一つということで、貴重な御提言と受けとめさせていただいております。 次に、税収増を図るための経済対策として、自由経済圏みやぎということを考えてはどうかという御提言がございましたので、お答えをいたします。 昨年十一月に国が実施を決定いたしました、二十一世紀を切り開く緊急経済対策の中でも、経済のグローバル化を背景に、企業が国を選ぶ時代になったということで、我が国が企業の活動拠点として選ばれるように、企業にとって魅力のある事業環境を整備することが重要であると、こういった指摘がなされているところであります。内外の企業の自由な経済活動を促進するために幾つか制度がありますが、その中では、貿易に関する制限、規制等を緩和し、企業の集積を図るフリートレードゾーン--自由貿易地域という制度がありまして、米国などで、その成功例が見られております。また、我が国でも沖縄県において実施をされております。この制度の実施については、関税法の改正など国政上の課題もございますことから、御提案の自由経済圏みやぎの一環としての本県への制度の導入について、沖縄県における現況なども見定めながら、今後の研究課題とさせていただきます。 また、本県の今後の経済振興については、新しい宮城県総合計画の策定を通じて、社会潮流の変化に的確に対応してまいりたいと考えております。 更に、企業の立地環境を充実するために、交通、情報通信、物流などの社会資本整備に加えて、大学を含む学術研究機関とも連携した高度な技術支援体制のネットワーク化など、本県が国際的にも魅力ある企業活動の場となりますよう施策を進めてまいりたいと考えております。 次に、土地利用規制の緩和についてでありますが、より合理的な土地利用規制を実現して、あわせて自由な経済活動を促進するために、これまでも国において都市計画法や建築基準法の改正が行われております。県においては、こういった制度改正の趣旨を生かして、適切な運用を行うべく努力しているところであります。今後とも地域ニーズに沿った合理的な土地利用規制を実現するために、機会をとらえて、必要に応じ制度改正について国に働きかけてまいります。 次に、大きな論点として、産業振興の問題について何点かお尋ねがございました。 まず、リストラなどで離職した人材の県内企業での採用を積極的に進めるべきであるというお尋ねでございます。本県の人材確保対策といたしましては、平成二年度から東京都内と仙台市内に情報センターを設置をして、人材を求めている企業についての情報の提供や、あわせて人材のあっせんも行う、ふるさと宮城人材ネットワーク事業を推進しております。この事業を通じて県内への人材還流を図り、県内産業の振興に寄与しているところでございます。 また、人件費助成などの措置についてでありますが、国の制度としては、出向や再就職あっせんにより雇用機会の確保を図った事業主に対し、賃金などの一部を助成する労働移動雇用安定助成金制度や、就職が容易でない四十五歳以上の求職者を雇用した事業主に対して賃金の一部の助成する特定求職者雇用開発助成金制度がございます。更に、県の単独事業といたしましては、企業整備離職者を雇い入れた事業主に対し助成する再就職促進奨励金制度などを実施しておりまして、こういった助成制度を有効に活用しながら人材の確保に努めているところであります。 次に、塩釜港、石巻港の整備の進捗状況についてお尋ねがございました。 塩釜港仙台港区は、これまでも東北地方の広域物流拠点として大きな役割を果たしてきたところでありますが、近年の物流需要の増大に伴う船舶の大型化やコンテナ化に代表される輸送革新に対応するため、現在、水深十四メートル岸壁を国の直轄事業として、その整備を進めているところであります。また、岸壁背後のコンテナターミナルについては、県の事業として、平成十三年度初頭の供用を目指し、鋭意整備を進めております。一方、塩釜港区についてでありますが、港奥部の再開発に向けた調査を現在進めているところであります。また、石巻港については、県北部地域の開発拠点として、船舶の大型化、不足する工業用地の確保を目的に、平成三年九月の着工以来、鋭意その整備を進めてきたところでありまして、県内初の水深十三メートル岸壁一バースが国の直轄事業として完成し、去る七月に供用されたところであります。また、防波堤や用地造成についても、早期に完成するよう整備に努めているところであります。塩釜港、石巻港の整備は、県の重点施策として位置づけておりますので、その機能が発揮されますよう一日も早い完成を目指し、今後とも一層努力してまいりたいと考えております。 次に、塩釜港の特定重要港湾昇格への見通しでございますが、これまでも外国貿易貨物取扱量の増大に努めた結果、昇格に必要な要件はすべて満たしたわけであります。そういったことから、県議会を初めとする関係者の御支援、御協力を得て、国に対して強力に要望してまいったところであります。しかしながら、運輸省では、昨今の厳しい経済情勢の中で、今後の取扱貨物の推移を更に見きわめる必要があると判断されまして、平成十一年度の運輸省の概算要求には盛り込まれなかったものであります。今後も、この点については厳しい状況にはありますけれども、引き続き関係者の御支援を得ながら、特定重要港湾昇格の実現を目指して国に働きかけてまいりたいと考えております。 次に、港湾の利用促進や国際競争力をつけるための対応についてのお尋ねでございます。お話がありましたように、その意味では、ハード面だけではなくてソフト面の整備というのも、港湾の利用促進のためには重要であると認識をしております。県といたしましては、昨年の九月、港湾施設使用料の一部を値下げいたしまして、港の利用促進に努めてまいったところであります。今後とも、港湾施設使用料については他港港の状況や、また本県の財政的事情もございますが、こういったことを考慮しながら、適切に対応してまいりたいと考えております。更に、国の内外の船主や荷主の方々などへの積極的なポートセールスも展開していかなければならないと考えておりますし、また情報化による入港手続の簡素化もしていかなければならないと考えておりまして、こういったことを通じて、港湾の利用促進を更に図ってまいります。 次に、仙台湾岸地域における国際化戦略についてでございます。現在、仙台空港周辺地域及び仙台港背後地を中心とした地域での国際化に対応した都市機能の整備を行っておりますが、それに加えて、宮城県地域輸入促進計画--FAZに基づいて、国際ビジネスサポートセンターや輸入貨物ターミナルの整備を進めているところであります。更に、これらの地域とほかの圏域とを連絡する高規格幹線道路、仙台空港アクセス鉄道などの基盤整備を進めてまいりますし、仙台空港の運用時間の延長、CIQ体制の充実など、ソフト面での改善も努力しているところでございます。ポートセールスとあわせ、今後とも国際交流機能の充実、拡大に向けた各種事業を推進してまいります。 なお、インフラを活用し、海外からの人、物、投資を誘導するための外部の専門家を交えた推進組織の設置や人材の登用及び国際流通団地の整備については、今後検討していくべき課題として考えておるところでございます。 以上でございます。
○議長(佐々木久壽君) 八番。
◆八番(菊地文博君) 再質問をさせていただきたいと思います。
リーダーシップと地方財政の今後のあり方についてと、両方にまたがるわけですけれども、私の手元に、ことしの八月十三日付でですね、六つの道県と政令市の二市にあてられた、いわゆる起債引受団体の証券団体から地方自治体に、今までは右肩上がりの経済成長の中で、地方も景気が悪いと地方債を発行してそれを財源に充ててきた、これが今までの財政の取り組み方だったわけですね。ところが、本年四月からビッグバンになって、信用リスクの不安が増大してきて、証券市場では、かけ離れた地方債の発行条件では著しく、販売ができないと、来年からは、東京債と同一条件での発行はできませんよというようなことで、六つの道県と二市にこういう要望書が手渡されたわけであります。宮城県でも、景気が悪くて税収が伸びなくなってきた。それを本格的にどうするんだと。それをさっき、政策調整監の中で、県庁全体としていろんな検討をして取り組んでいきたいということですけれども、現実には市場原理がもうここまで来ている。それに対しての今の知事の答弁は、ちょっと余り感じなかったものですから、その辺を、しっかりとした認識も含めて、これからどう取り組んでいくのか。 それと、産業の振興についてということで、私は、雇用対策ということじゃなくて、リストラで首が切られた--まあ、首が切られたという表現は適切でないんですけれども、優秀な人材がいらっしゃるわけですね。例えば、有名な証券会社が破綻したと。その中では、大変金融に精通された方もたくさんおられた。そういう方々を本県に招いて、宮城県独自の発想のもとで、新しいものをつくっていくことができないのかというような質問をさせていただいたわけでございまして、ちょっと項目としては
リーダーシップ、地方財政、産業振興ということで分けましたけれども、実はトータル的に御質問したわけでありまして、そこをもう一度、知事の率直な認識も含めて具体策がありましたら、御答弁いただきたいと思います。
○議長(佐々木久壽君) 知事浅野史郎君。 〔知事 浅野史郎君登壇〕
◎知事(浅野史郎君) 菊地文博議員からの再質問にお答えをいたします。 今の再質問で、それぞれただいま御質問いただいたことに関連性があるということで、改めてお聞きをいたしますと、そういった面でお答えをすべきであったというふうに考えておりますので、改めて答弁をさせていただきます。 まず、起債引受団体からの話でございますが、率直に言って、あの話を私も、えらいことになったというふうに受けとめました。ただ、えらいことになったということを、また改めて考えますと当然と言えば当然、引受団体とすれば全く同じ条件で、地方債の発行条件同じもので引き受けるという方が本当は不自然であったということもあるわけでございます。私どもとすれば、我々がいわば品定めをされている状況でありまして、一つの行政でありながらも、借金をする団体として、より有利な条件で引き受けていただけるような体制を整えていくということは、今後、新しい課題として、今さらのようでございますけれども考えていかなければならないと、改めてそういった認識をしたわけでございます。御指摘の点、まことにもっともであるというふうに受けとめております。 それから、先ほど優秀な人材の外部の登用、やや御質問の趣旨に合わないような答弁をしてしまったわけでございますが、この点については、私どももリストラなどでいわば使い得る人材を、本県の足らざる面を補ってもらうためにもぜひ使いたいというか、雇いたいという思いは、実はあったわけでございます。率直に申し上げまして、そのときの大きな問題点は給与の問題でございまして、一番いい時期と比べますと、多分三倍ぐらいの給与差があったということがあるので、これは、そういう条件で折り合うかという問題がまず一番最初に念頭に浮かんだところでございます。ただ、これについては御指摘もあったように、金融専門監という形で、新たに採用させていただきました。そういう意味で、これは一つの突破口として、現に今この県庁内で働いているわけでございますので、人材源としては、いろいろな意味で条件が折り合えば採用していくということは、これからも前向きに考えていきたいと、このように思っております。
○議長(佐々木久壽君) 十二番小野寺初正君。 〔十二番 小野寺初正登壇〕
◆十二番(小野寺初正君) IMFは、世界経済見通しの中で、本年の日本の実質GDP伸び率をマイナス二・五%とし、本年四月公表のゼロ成長予測から大幅な下方修正をいたしました。日本政府がマイナス一%台の後半と認識していることを思えば、その乖離は著しい。今、一部の企業を除き、有名どころの企業が赤字決算に追い込まれ、リストラを余儀なくされ、そして中小企業の多くは、資金繰りが日増しに厳しくなり、あえいでおります。このまま金融システムが安定せず、株価の低迷が続けば、やがて世界は、日本発の同時不況に陥ることは必至となるでありましょう。さきに発表された国内のGDP統計でも、昨年の十月ー十二月期から三・四半期連続でマイナス成長となり、これだけマイナス成長を続けたことは、かつてなかったことであります。IMFは、日本が金融問題の解決、持続的景気回復の実現に向けて断固たる行動をとることが重要であると述べております。今、国会レベルで、公明は、冷え切った消費を活気させるため、国会で十兆円減税の中で商品券による戻し減税四兆円の実施を訴えております。いずれ減税の議論は国会で始まりますが、国あるいは地方自治体において、景気回復に向け、より一層の断固たる経済対策が必要であると思いますが、知事の所見を伺います。 第二は、普通建設事業費の拡大についてであります。 経済不況対策のキーワードである公共投資について、普通会計ベースによる普通建設事業費の内訳を本年九月現在の東北六県別に見ますと、福島三千八百五十二億五千九百万円、岩手三千四百七十四億八千五百万円、秋田三千三百十六億七千七百万円、青森三千二百二十三億三千九百万円、宮城三千二百二十一億八千八百万円、山形二千八百八十二億七百万円となっております。東北六県の中で東北の中枢県宮城が五位と、低い位置に甘んじております。東北の発展をリードする宮城がこのままの現状でいては、本県経済の活力は生まれてこないと思います。今後、単独事業費の拡大、国への予算の獲得など普通建設事業費の拡大についてどう取り組むのか、所見を伺います。 第三は、制度融資の充実、拡大への取り組みについてであります。 制度融資全体を見ますと、八月末の実績は、金額ベースで対前年度比で一五八・二%と著しい伸びを示しており、このまま推移しますと、平成十年度末には八百四十億円は突破することとなります。一方、金融機関との協調融資分と合わせた現在の設定融資額は一千二百十一億円でありますが、景気対策上この資金を現実に使えるようにするためには、借り手にもっと条件のよい金融制度を設定する必要があると思います。 そこで、一つには、環境変化対策資金の見込み実績はどの程度と見ているかについてであります。この二カ月での実績は、貸し出し件数九十一件、総額二十一億七千余万円と、余りに低い消化率であります。去る六月の予算特別委員会で私が述べましたように、実態調査では、中小企業の要注意先対象企業は四百二十七先、総額は五百六十九億円で、そのうち、一億円未満の借り受け先三百三十八、借り受け総額八十億円、そして、一億円以上の借り受け先は不動産、製造、建設業が多く、八十九先、総額四百八十九億円であります。要注意先企業が一億円以上の融資を受けることの借りかえが成立するためには担保力、そして借りかえ後の運転資金が大丈夫か等のハードルを越えなければなりません。それには、かなりの困難が伴います。ただいま申し述べましたことから、百億円程度と見込まれます。資金の貸出額をどのように見込んでいるのか、伺います。 二つには、中小企業緊急景気対策資金の創設についてであります。 本県の中小企業は、かつてない経営局面にあり、今後年末へ向かう中で、資金需要が逼迫していくことは、目に見えて明らかなことであります。本県経済をこれ以上後退させないためには、もう一歩踏み込んで、全部の中小企業に行き渡るような金融制度を創設する必要があります。 そこで、環境変化対策資金に加え、新しい制度融資として中小企業緊急景気対策資金を創設すべきと思います。長崎県においては、八月に中小企業緊急サポート資金を創設しております。貸し出し条件は、中小企業を対象に、運転資金として最高限度額二千万円を貸し付けており、年利一・四%と低利、しかも償還七年以内という好条件もあって申し込みが殺到、八月末の申し込み金額が百七億五千五百万円にも上り、わずか一カ月間で当初予定していた融資枠の六十億円を大幅に上回り、現在は金融機関の協調融資分を合わせ二百四十億円に融資枠を拡大することにしたそうであります。本県の景気対策にあっては、これくらいの思い切った取り組みこそが必要なのであります。その実施について知事の所見を伺います。 四つには、県保証協会における審査基準の弾力的運用、積極的保証への取り組みについて伺います。 国においては、総額四十兆円にも上る中小企業等貸し渋り対策大綱を既に発表しておりますが、今こそ関係機関が連携して中小企業における資金調達の円滑化を促進しなければなりません。金融機関へは、保証つき融資の積極的活用を要請すべきでありますが、県保証協会にあっては、もっと金融機関が安心して融資ができるように、審査基準の弾力化、保証枠の拡大に一層取り組むべきと思いますが、所見を伺います。 五つには、県保証協会の財政基盤の強化についてどう取り組むのか、伺います。 県保証協会の経営内容は平成九年度において黒字となっています。しかし、景気動向が一段と悪化している現状では、事故件数が増加し、代位弁済数も増加の傾向にあり、加えて金利水準の低下により、このままでは収支が均衡し、赤字という事態も予想されます。 そこで、平成十年度の財政見通しを踏まえ、国に対して、保証協会が中小企業にかわって金融機関に支払う代位弁済のうち保険でカバーする補てん率の引き上げを更に強く要請すべきであります。その取り組みを含め、財政基盤の強化について伺います。 次に、毒物への危機管理体制の整備についてであります。 和歌山市内の毒物カレー事件以来、全国各地で毒物混入事件が相次ぎ、また、薬品の誤った使用による被害も発生していることは御案内のとおりであります。こうした被害にどう対応し、県民の健康、生命を守っていくのか、緊急の課題と言えます。被害に遭遇したとうとい人命を救う上で、関係機関の緊密な連携による救急医療は不可欠であります。 和歌山県での毒物カレー事件を振り返り、医学博士、薬剤師でもある財団法人日本中毒情報センターの後藤京子次長は、私どもにもっと詳細な情報が入っていれば、原因物質の絞り込みもいち早くできたし、早い段階での患者ヘの適切な処置方法を伝えることができたと述べております。同次長は、事件発生から六日後に和歌山県から依頼を受け、インターネットで世界保健機構の先進国中毒センター連合ネット、INTOXに、原因毒物の絞り込みを頼んだそうであります。送った情報は、犠牲者三人に見られた汎血球減少--白血球、赤血球等が著しく減少している傾向についてで、事件発生当時は、青酸化合物との疑いが持たれており、青酸化合物が原因で果たして汎血球減少があらわれるのかと問い合せたそうであります。しばらくしてWHOから詳しい患者のデータを送ってほしいとのメッセージが届いたが、センターではデータの掌握ができず、返答をあきらめたそうであります。ところが、インターネットでこのメッセージのやりとりを見ていた米国コロラド大学中毒センターの医師、アラン・ホール博士は、WHOに対し、原因物質は青酸化合物ではなく砒素ではないかと回答を寄せていたそうであります。こうした事実から、関係医療機関による詳細な情報のやり取りあれば、それにより原因物質の絞り込みや適切な処置が可能であることがうかがい知れるのであります。 そこで、一つには、本県における毒物事件発生の初期段階における検査体制及び救急医療体制の現状と対策について。また、日本毒物情報センターや関係機関とのネットワーク化が必要と思うがどうか。 二つには、毒物を取り扱っている施設に対する検査、指導体制について。 三つには、想定されるさまざまな事態に備えた危機管理マニュアルを策定すべきと思うが、どうか。 四つには、中毒の大きな原因の一つである医薬品は、年に四千種ずつふえている。また、農薬も年に二百種類ほど新製品が出されていると言われている。そうした中で、中毒原因物質別の処置方法の確立についてどのような現状にあり、今後どう取り組むのか。 以上、四点について伺います。 次に、松くい虫防除事業について伺います。 松枯れの原因は、マツノマダラカミキリが運ぶ、体長一ミリにも満たないマツノザイセンチュウが樹木に入ることにより、松は枯れ、死に至る。一方、戦後四十数年たって、開発が進み、大気も汚染され、松を取り巻く生育環境は年々悪化しております。そうした生育環境の変化に対する研究も近年は行われており、松枯れの原因を松くい虫よりも大気汚染が大きく影響しているとの発表が行われております。松が枯れる原因は、松くい虫も一部にはあるが、むしろ大気の汚染等が大きな要因であるという説の方が的を得ているように思われます。鹿児島県の屋久島では、大量の松が枯れたこともあり、大気汚染の調査を行った結果、汚染が進んでいることが証明されております。関係者は、松枯れの要因は大気の汚染であることに農林省が早く気づくことが大事だと話しているのであります。今日まで二十年間、一千億円を費やし、松枯れの原因は、松くい虫ということで、農林省は、殺虫剤による樹間注入や地上散布、空中散布等の予防事業や被害木の駆除事業を実施してきておりますが、一向に被害量が減少しておらず、結果として松が著しく減少し、名勝地においてはとうとう松が一本もなくなったという現象が起きてきているのであります。本県においても、平成九年度実績で五万七千四百五十二本の松が伐倒され、近年増加傾向にあるのであります。 そこで伺う第一は、松くい虫防除事業についてであります。 一つには、松くい虫防除事業について効果は上がっていないと見るがどうか。 二つには、松が減少し続けており、被害量が減らない原因をどう見ているのか。 三つには、国に追従するのではなく、事業を見直しすべきであると思うがどうか。 以上、三点について伺います。 第二は、特別名勝松島の松蘇生事業の実施についてであります。 特別名勝松島地域では、松くい虫防除事業の実施により年々松の減少が進んでいることから、このままでは松がなくなると、将来の景観保全に大変な危機感を抱いております。松島の松は樹齢二百年から三百年と言われ、自然がつくり上げたその景観は、だれもが万代にわたって保全したいと思うところであります。しかしながら、現実には、伐倒駆除により松のない島、更には切り倒され、野積みされた状態が目につく状況など、まことに痛々しい光景が見られるようになってきました。現在の松くい虫防除事業では、こうした光景に歯どめはかけられず、この事業が継続していく限り、島々の松は減少し続け、将来は松のない雑木島となるのでありましょう。 地元の松島町では、松があっての松島であり、景観のすばらしい松島の松を何とか蘇生させることができないものかとの思いから、これまで林野庁の指導に基づいて行ってきた松くい虫防除対策とは別に、新たに樹木活力剤の使用による効果実験を昨年十二月町内の新富山など二カ所で赤茶けた松に行い、結果は、一カ月で松の緑が見事に蘇生したのであります。全国的にも各地でこうした取り組みが行われ、東京都、福島市等で松枯れが進行した松を生き生きと復活させることに成功した事例が数多く報道されております。松島の現地からは、県有地となっている松島の観覧亭の松も葉の数が減少し、赤茶色が目立ってきているとの報告もあります。 こうした現状に対し、土壌改良等という手法で松を蘇生させることは可能でありますことから、世界遺産を保護するような思いで松を守るべきと思います。観光にすべてを託す関係者の声をストレートに受けとめ、特別名勝松島の松蘇生事業を新たに実施すべきと思いますが、所見を伺います。 次に、ダイオキシン、環境ホルモン対策について伺います。 日本におけるダイオキシン、環境ホルモン対策は、先進諸国に比べ十年はおくれたと言えます。その原因は、人命にかかわるようなことが起こらない限り重い腰を上げないといった国の姿勢にあると言えます。一九八三年に日本で初めて焼却灰からダイオキシンが発見されました。にもかかわらず、翌年厚生省は、専門家の会議で、そのくらいの量なら問題がないと片づけてしまい、十年以上野放しにされてきました。昨年、WHOの動きに連動し、ようやくごみの焼却規制であるダイオキシン類発生防止ガイドラインが発表されました。 一方、環境ホルモンは、一九七二年WHOがIPCS、国際化学物質安全計画の中で、人工的な化学物質が人間のホルモン系に作用してしまう危険性を指摘しました。WHOと密接な関係のある厚生省がこのことを知らないはずはあり得ません。一九九一年には、人及び野性生物の性発達に及ぼされる化学物質の影響についてのウイングスプレッド会議が開かれ、以後、九六年の開催で六回の会議が開かれています。九六年になってようやく厚生省は、農薬、食品添加物等のエストロゲン様作用等の検出と認可に関する研究に着手しました。 こうした経緯もあり、ダイオキシン、環境ホルモン問題は、長期にわたり野放しにされ、その弊害により、今や日本列島は化学物質による汚染大国となり、住民生活における健康被害が危惧され、ごみ処理施設等をめぐって、さまざまの問題が全国の各地で起こってきております。今後抜本的な対応、対策をとらなければ、いずれエイズ薬害事件と同様の悲劇を繰り返すことになるやもしれません。こうした現状に対し、知事はどのような所見をお持ちでしょうか。 また、ダイオキシン、環境ホルモン対策について、国が始めなくても、県民の健康、生命を守っていくために、全国に先駆けた対策を実施していく御決意があるのかないのか、まずお伺いしたいと思います。 第二に、ダイオキシン削減対策等について伺います。 日本におけるダイオキシンの耐容一日摂取量は一〇ピコグラムであります。WHOは、本年の五月二十九日、専門家会議で、耐容一日摂取量、TDIを一〇ピコグラムから、一から四ピコグラムに引き下げるとの結論をまとめました。厚生省も、ガイドラインの見直しが迫られており、日本のあるべき姿として、住民への健康の影響を考慮し、積極的な削減努力が期待されます。 そこで、一つには、既設の一般ごみ焼却施設の恒久対策基準値〇・五から五ナノグラムを、〇・五から一ナノグラムに設定し対応すべきと思いますがどうか。 二つには、既設焼却炉の恒久対策基準の達成年次は、平成十四年十一月までとなっており、平成九年度での達成数は三十一施設中十一施設となっておりますが、今後どう対応されるのか。 三つには、産業廃棄物の法定焼却施設について、諸基準の早期達成状況及び今後の取り組みについて。 四つには、農業用廃プラスチック、漁網、建築廃材などの処理の現状について。 五つには、法規制対象外小型焼却施設の回収をすべきではないか。 六つには、埋め立て処分場の浸出水処理水について、測定結果の公表また周辺住民の血液中濃度の測定をすべきではないか。 以上、六点について伺います。 第三は、環境ホルモン対策についてであります。 一九九一年七月に行われた、ウイングスプレッド宣言の確認事項に、環境内へ放出された合成化学物質の大半には、天然物質同様、人を初めとする動物の内分泌系を撹乱作用がある。また、問題点として、人に対する暴露の影響については十分解明されていないと記されております。このことから、人間への環境ホルモンの影響はこれから立証される段階と言えます。しかしながら、環境ホルモンは、外因性内分泌撹乱化学物質といい、本物のホルモンのような働きをして、生体にさまざまな異変を引き起こすと言われており、特に低レベルの濃度で人間や動物に障害をもたらすことがわかってきました。ホルモンの働きを撹乱することによって、生殖系、免疫系、神経系に異常をもたらしたり、生殖器の障害等をもたらすとされています。環境ホルモンは、自然界にあって、生物間での食物連鎖を通して濃縮され、やがて、その頂点にある人間は、極めて深刻な危険にさらされることになると言えます。ゆえに、生物濃縮操作を繰り返すことにより、最新の分析装置を使ってやっと分析できるような極めて低い濃度であっても、ホルモンの合成やホルモンの情報伝達を乱すので、ごく微量であっても無視できないものと言えます。 そこで伺う第一は、プラスチックから溶け出す環境ホルモンについてであります。 私たちの身近な食生活で使用しているプラスチック製の容器や食品を包むラップには、柔軟性をもたせるために使われる可塑剤やプラスチックの原料そのものに女性ホルモン様の作用があることが突きとめられております。フタル酸エステル系可塑剤、ポリカーボネートやビスフェノールA、ノニルフェノール等がそうであります。これらの物質は、熱湯や油性食品にわずかでありますが、溶け出します。米国では、油性食品への包装用ラップの使用は禁止されております。また、一九九六年の環境庁の全国調査によって、ビスフェノールAやフタル酸エステル系可塑剤が環境を汚染していることが判明しており、幾つかの地点では汚染が魚まで及んでいることが知られております。 そこで、一つには、学校給食での
ポリカーボネート製容器については早期に代替品に切りかえること。 二つには、肉類への包装ラップは自粛、禁止の要請を関係業界にすること。 三つには、水道の水質基準に除草剤のシマジンに加えアトラジンも加えること。 以上、三点について伺います。 第二は、環境ホルモンの危険度についてであります。 環境ホルモンが人に与える影響の大きさについては、だれもがはっきりしてほしいと思うところであります。どのような薬品もリスクを伴っており、完璧なものはあり得ないところであり、危険度と有益度を考慮したリスク評価は極めて重要であります。ダイオキシン等の許容基準値の決め方は、従来、一般的な毒性に基づいており、内分泌撹乱を考慮に入れたリスク評価は、これからの作業であると言えます。また、有害な環境汚染物質が工場から出たり、ごみなどとして移動したりした場合に報告させる制度も緊急の課題であります。米国では、一九八六年に、有害物質排出目録制度として、約六百五十種類の化学物質について二十の業種で約一万三千カ所を対象に届け出を行わせています。こうした制度について、OECDのレポートには、強制的な改善目標がないにもかかわらず、多くの規則プログラムよりも強い影響力があったと記されております。 そこで、一つには、環境ホルモンリスク評価値を設定すること、二つには、化学物質の排出、移動登録制度をつくること、以上の二点について強く国に働きかけるべきと思いますが、その取り組みについて所見を伺います。 次に、聴覚障害者対策についてであります。 全国には現在六百万人の聴覚障害者、中途障害者がいると言われており、本県では七千九百人がいるとされております。高齢化に伴い、老人性難聴者も増加しており、中でも病気や事故等で突然失聴した人は、自分の言葉は発せられても相手の声が聞こえないなど、日常生活の中でさまざまな困難にぶつかっております。また、テレビの緊急放送、事件、災害等のニュース速報、気象警報等の、いわゆる知らないと命にかかわる重要情報でありながら、情報伝達の対象者とはなり得ていないという声も寄せられております。 そこで、以下数点について伺います。 一つには、健聴者と耳の不自由な人とのコミュニケーションの橋渡しとも言うべき耳のシンボルマークを病院、役所、銀行、郵便局等へ設置し、県の広報紙等を通し、県民に周知すべきと思うがどうか。また、県庁の庁舎内に、耳の不自由な人の緊急時の通信手段の確保のため、公衆ファックスを設置すべきと思いますが、その取り組みについて。 二つには、NHK、民放も、全国放送、ローカル放送を問わず、命にかかわる情報はすべて字幕をふやし、手話通訳をスポットで流すよう取り組むようにすべきと思うがどうか。 三つには、耳の不自由な人が病院受診で困ることは、受付窓口の呼び出し対応、会計精算書の呼び出し対応、受診時の医師との会話、薬の説明等であり、これらに応じた検診体制の整備についてどう取り組むのか。 四つには、健聴者と聴覚障害者、中途聴覚障害者の対話の手段である要約筆記者について、そのマンパワーの確保と派遣事業の拡大について今後どう取り組むのか。 五つには、聴覚障害者にとって社会参加に必要な条件整備、環境整備が本県においても著しく立ちおくれているのが現状であります。生活相談の場、情報提供の機能をあわせ持つ施設整備について今後どう取り組むのか。 以上、五点について伺います。 次に、ローマ県と宮城県の友好交流の締結についてであります。 昨年の十二月に、宮城県とローマ県の友好交流について質問したところ、知事からは、友好交流事業に取り組むとの答弁がありました。その後、本年の五月には、ローマ県からアンナ・クレメンテ文化局長等の一行が宮城を訪れ、工業団地等の視察を行い、本県の文化、経済の様子に触れられたのであります。去る七月には、柿崎総務部長が浅野知事の代理としてローマ県を訪問しておりますが、友好交流に向けたローマ側の印象についてどのように感じられたのでしょうか。この機会にぜひお聞かせください。 また、公共的性格を持つローマ商工会議所は、仙台の商工会議所と友好交流を推進したいとの意向が、本年結成された民間の宮城・ローマ交流クラブに伝えられており、同クラブは、今後民間レベルの交流事業として、本年の十一月には、宮城・ローマクラブ交流経済ミッションツアー、平成十一年度には、宮城青年会議によるローマ青年交流ツアー等が企画されており、民間による文化経済交流に向けた活動が年々活性化することはまことに喜ばしいことであり、更なる推進を期待したいのであります。 そこで、行政レベルの友好交流についててありますが、浅野知事には、今から四百年前の支倉常長になった思いでローマ県訪問を実現していただき、ローマ県とのきずなを歴史にとどめ、二十一世紀の国際交流に向け、宮城県とローマ県の相互の地域発展のために友好交流の締結を行うべきと思いますが、あわせて所見を伺います。 最後に、暴走族の違法行為についてであります。 近年、仙台市及び隣接市町村の道路で深夜暴走族による違法行為が我が物顔で行われている現状は、目に余るものがあります。これらのメンバーは、家庭にあっては普通の子供、会社員であれば普通の社員、学校では普通の生徒であるかもしれません。その意味で、取り締まりを所管する警察だけでその行為をなくすことは不可能であります。家庭の問題、学校教育、社会環境等、さまざまの要因が複合しており、県民挙げて取り組むべき課題ではないでしょうか。人間であれば、何がしかの不満はいたし方ないと思います。しかし、幾ら社会等に対して不満があるとしても、他人に迷惑をかけていいことにはなりません。深夜何台ものバイクで路上をじぐざぐ走行、その後続を車両が全車線を占領し、一般車両の走行を妨害している行為は、断じて許されていいものではありません。 最近、私のところにもこうした暴走行為に遭遇し被害を受けた相談がありました。暴走族の乗った乗用車に正面から衝突、車はめちゃくちゃにされた上に首を負傷し、全治三週間かかると言われ、現在通院生活を余儀なくされております。相手を確かめようにも、衝突によりドアがあかず、眼鏡も壊れたためどうしようもなく、そのまま逃げ去られてしまったそうであります。恐らく、こうした事例も含め泣き寝入りをしているケースが多々あるでありましょう。 このまま危険違法行為が放置され続ければ、状況によっては、県民が死亡する事件も発生するのではないかと危惧されます。こうした危険行為に立ち向かうとすれば、県民の側から、そうした車両にはガソリンを売らない等の運動も必要ではないかと思います。県内の一部ではそうした条例をつくり対応しているところもあるようであります。 そこで、一つには、行政のトップにいる知事にもぜひパトカーに乗って、さきに述べました暴走の実態を把握してもらいたいと思いますが、いかがでありましょうか。 二つには、暴走族の実態について、また被害の実情はどのような現状にあるのでしょうか。 三つには、暴走族違法行為者取り締まりの現状と今後の対策、対応について。 四つには、県民の側から暴走行為をなくすための施策が必要であります。安心のできる生活環境とするため、県民の総意として条例を策定すべきと思います。今後どのような取り組みをされるのか。 以上、四点について所見を伺います。 以上で、私の質問を終わります。 御清聴まことにありがとうございました。
○議長(佐々木久壽君) 知事浅野史郎君。 〔知事 浅野史郎君登壇〕
◎知事(浅野史郎君) 小野寺初正議員の御質問にお答えをいたします。 御質問が大変広範にわたっておりますので、答弁の方もいささか時間を要すると思いますが、御容赦いただきたいと思います。しっかりお答えをさせていただきます。 まず初めに、景気対策についてお答えをいたします。 まず、景気回復に向け、より一層の断固たる経済対策が必要と思うがどうかというお尋ねでございますが、本県の経済活動も全般にわたって厳しい状況が続いているという認識でありまして、景気は低迷している状況にございます。こういったことから、県といたしましては、公共事業の確保や中小企業向けの制度融資の新設、枠の拡大などを実施してまいりましたし、また公共事業の早期発注、前払い金の支払い割合の拡充などもあわせて行ってきたところであります。 一方、県財政は、一段と厳しい状況にあります。しかしながら、地域経済の活性化は、最重要の課題であると認識しておりますので、この九月補正予算においても、当面緊急を要するものを中心に必要な予算措置を講ずることといたしております。現在国では、更なる景気対策の一環として、減税の前倒し実施を含む大型の補正予算を検討しているようでありますが、県といたしましては、今後の国の動向にも注視し、ただいま申し上げました財政事情も踏まえながら、適切に対応してまいりたいと考えております。 次に、今後の普通建設事業費の拡大についてであります。 本県、これまでも必要な投資を行ってまいりましたし、また、大規模なプロジェクトについても積極的に取り組んでまいりました。例えば普通会計決算について、平成三年度と平成九年度を比較しますと、歳出総額の伸びが一七・〇%である中で、普通建設事業費については三二・二%の伸びとなっているところであります。今後の公共投資については、効果的かつ効率的な整備という観点から、必要量は確保してまいりたいと考えておりますが、事業種別ごとのアクセントのつけぐあいについては、当然あり得ると思います。また、国への予算要望についても、事業自体の必要性、緊急性、妥当性について費用対効果の観点から厳密な優先順位の設定を行い、また、国における公共事業再評価制度との調整も図りながら実施するなど、新しい発想で展開してまいりたいと考えております。 次に、今後の金融環境変化対策資金の融資枠の見込みについてのお尋ねでございます。 八月末の融資累計額及び宮城県信用保証協会の保証承諾額を申し上げますと、それぞれ九十一件、二十一億六千二百万円、保証承諾額の方は百七十八件、四十五億一千八百万円となっております。今後の利用状況には不透明な部分が多く、年度末の融資額を推計することは困難でありますが、信用保証協会がまとめました保証承諾の九月末速報値では、九十億円を超える見込みであるということがございます。また、引受金融機関の事務処理も本格化してきたということから見ますと、この資金の利用は今後相当額に上るものと考えております。 次に、新しい景気対策資金を創設すべきではないかとの御質問でございます。 本県では中小企業経営安定資金を初めとする県制度融資全体において過去最大の融資枠を確保をして、徳陽シティ銀行対策を初め、景気対策を講じてまいりました。特に、徳陽シティ銀行対策としては、金融環境変化対策資金の創設や、経営安定資金特別融資枠百五十億円を設定いたしますとともに、景気対策資金として、経営緊急支援資金の融資枠を二十四億円とするなど、所要の中小企業金融対策を講じてきております。一方、政府においても、貸し渋り対策として、新しく中小企業金融安定化特別保証制度を十月一日から実施してきたところでございます。 このように中小企業金融対策は、国、県、市町村及び関係機関と一体となった連携が必要であると考えておりますので、今後もそれぞれ魅力ある資金や保証制度の有効活用を進めてまいりますし、また、経営緊急支援資金の積極的な活用のPRと無担保・無保証人で融資する特別小口資金の融資限度額の引き上げなどの可能な限りの金融対策を速やかに実施してまいります。 次に、信用保証協会の審査基準の弾力化及び信用保証枠の拡大についてのお尋ねでございます。 県の信用保証協会といたしましては、県内の経済状況が極めて厳しいものと認識をしておりまして、金融環境変化対策資金の保証審査に当たっては、徳陽シティ銀行の既往債務の債権保全措置を尊重いたしますとともに、債務超過である中小企業者であっても、この状況が将来において改善される見込みがあるものについては前向きに対処するということなど弾力化に努めているところであります。 また、経営緊急支援資金など景気対策資金の保証審査に当たっても、倒産関連保証制度を活用し、一定の金額までは担保徴求の緩和や第三者保証人を求めないこととしておりまして、中小企業者の資金調達の円滑化に配慮しております。県といたしましては、十月一日から実施されました中小企業金融安定化特別保証制度、国の制度でありますが、この制度によって保証承諾要件が大幅に緩和されましたので、今後はこの制度の積極的な運用を含め、保証審査の弾力化に向け指導してまいります。 また、信用保証枠の拡大についても、中小企業信用保険法で定める不況業種や新保証制度に伴う保険限度額の別枠化が新しく追加されましたので、これを利用して、中小企業の方々が必要とする資金需要に対応できるようあわせて働きかけてまいります。 次に、中小企業信用保険公庫の保険金のてん補率の引き上げに対する取り組みと、信用保証協会の経営基盤の強化についてでございます。 最初に、保険金のてん補率引き上げに係る国への働きかけでございますが、九月十七日、政府等に対し、保険金のてん補率の引き上げと保険公庫自体の準備基金の増額について要望したところであります。 次に、信用保証協会の経営基盤の強化についてであります。 信用保証協会に対する出捐金は、当初予算で一億円を措置いたしましたが、徳陽シティ銀行対策や景気対策を講ずるに当たって、六月補正予算で更に十二億円を追加措置したところであります。また、今回、中小企業金融安定化特別保証制度の創設に当たって、全国で二十兆円の保証規模が確保され、この制度が円滑に実施できるよう、異例の措置でありますが、全国の信用保証協会の基本財産の積み増しを国庫補助金一〇〇%により出捐することになりました。今後はこの特別措置の具体化を図ってまいりますとともに、代位弁済の動向や経営状況を注意深く見守りながら適切に対応してまいります。 大きな二番目の御質問として、毒物事件への対応についてございました。 まず、本県での毒物事件発生の初期段階での検査体制についてのお尋ねでございますが、住民の方が飲食物をとって具合いが悪くなったといった一般的な食中毒事件の場合には、まず保健所が調査を担当しておりますが、初動調査の中で、毒物などによる犯罪が疑われるというケースについては、速やかに警察に通報をすることとしております。その後の調査や検査については、警察が引き続き行うということとなっております。 次に、救急医療体制の現状と対策でございますが、患者が搬送された医療機関において、まず救急処置がなされます。更に、原因となった毒物や症状に応じて、各種のマニュアルに基づいた適切な治療が行われることになっております。また、今般厚生省から、化学物質等による中毒に対する治療薬等の常備体制の確保及び中毒に関する情報の提供体制についてという通知がございまして、この中で、救命救急センターなどに対して必要な治療薬を常備するように指導をいたしましたし、また、今後の対応に万全を期したところであります。 御指摘のありました財団法人日本中毒情報センターでありますが、これは日本救急医学会が中心となって設立されたものでありまして、医療機関は、専用電話で直ちに化学物質ごとの治療方法に関する情報提供を二十四時間体制で受けられるということになっておりますので、あわせてこの旨の周知を図ったところであります。 次に、毒物を取り扱っている施設に対する検査、指導体制についてであります。 毒物及び劇物取締法に基づいて、本県では、毒劇物監視マニュアルを策定し、保健所などに配置しております毒物劇物監視員が年間計画によって、毒物劇物営業者などに対して定期的に立入検査と指導を実施しております。 また、今回の和歌山市における事件発生に際しましても、直ちに立入検査を実施し、適正な販売手続及び盗難、紛失防止のための必要な措置などの遵守の徹底について監視指導に努めているところであります。 次に、想定されるさまざまな事態に備えた危機管理マニュアルを策定すべきではないかとのお尋ねでございます。 本県では、平成十年九月に、関係部局、警察本部及び仙台市などによる、飲食物への毒物混入等防止対策会議を設置いたしました。それに伴い、飲食物への毒物混入等に係る危機管理体制の整備を図ったところであります。対策会議においては、健康被害を未然に防止するとともに、事件の発生に際し、速やかに適切な措置を講ずることによって、被害の拡大防止が図られますよう、さまざまな事態に備えた対応を定めたガイドラインを取りまとめ、でき得る限りの措置を講じているところであります。 次に、中毒原因物質別の処置方法についてであります。 医薬品については薬事法に基づいて、毒物劇物については毒物及び劇物取締法に基づいて、それぞれ処置方法が定められております。また、農薬についても、国が治療マニュアルを策定しておりますことから、原因物質別の処置方法については、ほとんどの物質について確立していると認識をしております。 なお、中毒事故が発生したときの処置については、その原因物質をいかに早く特定できるかにかかっておるわけでありまして、それぞれの救急医療機関が必要に応じて、財団法人日本中毒情報センターの協力を得ながら迅速に対応することとなっております。 大きな三番目のお尋ねとして、松くい虫防除事業についてお答えをいたします。 松くい虫防除事業の効果が上がっていないのではないかというお尋ねでございますが、本県のこれまでの松くい虫被害対策は、被害木の伐倒駆除を初めとして薬剤による予防散布や樹幹注入など各種の対策を総合的に実施してまいりました。その結果、被害の抑制に相当の効果を発揮しておりまして、このところ数年は横ばいで推移をしております。昨年は、わずかではありますが、減少に転じたところであります。 松が減少し続け、被害量が減らないという原因についてでございますが、東北地方などにおける被害の特徴といたしましては、時期、季節にかかわらず年間を通じて枯れる、いわゆる年越し枯れが駆除を難しいものとしております。また、島々や海岸部においては崖地が多いということなどから、伐倒駆除もそうでありますが、予防効果の高い薬剤散布についてもなかなか徹底した防除が難しいという状況にあるわけでございまして、これらが本県での松くい虫被害を終息させ得ない大きな要因となると考えております。 次に、被害対策については国に追従するのではなく、事業の見直しをすべきとのことでございます。 松枯れの主たる原因--異論も一部にございますが、マツノザイセンチュウ病によるものであるということは、国公立の試験研究機関や大学などでの長期間にわたる広範な調査、実験により定説となっていると認識をしております。県では、これに基づき、被害木の伐倒駆除、薬剤による予防散布及び樹幹注入などの被害対策を講じているところであります。 なお、松島地区においては、昨年度から、枯れた跡地に松くい虫に抵抗力のある松の苗を植栽する松と島の創生植樹事業を県独自の事業として新設をするなど対策を進めているところでございます。 次に、樹木活力剤の使用についてでありますが、松枯れの主因は、マツノザイセンチュウ病によるものでありまして、お話のありました樹木活力剤は、他県の公的試験機関などの実証試験では、マツノザイセンチュウ病には効果が認められないとの報告がなされております。また、農薬登録もされていないということから、現段階での対応は困難であると考えております。 なお、特別名勝松島地域については、国において全国のモデル地区に指定し、昨年度から被害対策の処方せんづくりに入ったところでありまして、県としては、この処方せんに基づき、松自体に抵抗力を高める実証試験などを行っているところであります。 四番目の論点として、ダイオキシン、環境ホルモン対策についてお答えをいたします。 まず初めに、ダイオキシン、環境ホルモンに関する所見と、全国に先駆けた対策を県として実施する決意があるのかとのお尋ねでございます。 これらの化学物質による環境汚染問題は、ごく微量であっても生物や人に影響を及ぼすおそれがあるということでありまして、今まで予見されていなかった健康影響が指摘されているものであります。このことについてはいまだ未解明な点が多く残されてはおりますが、問題が人の健康や生態系に取り返しのつかない重大な影響を及ぼす危険性をはらんだものでありますので、早急に取り組むべき重要な課題であると認識をしております。こういったことから、県といたしましては、全国に先駆けて、独自に宮城県ダイオキシン総合対策を策定いたしましたし、また宮城県環境ホルモン対策連絡会議を設置いたしました。全庁的に連携し、対策に取り組んでいるところでございます。 次に、一般廃棄物焼却施設の恒久対策基準値の見直しについての御質問でございます。 厚生省では、ガイドラインの中で、緊急対策基準と恒久対策基準とを示しておりまして、そのうち、緊急対策基準については、耐容一日摂取量をもとに、施設周辺住民への健康影響の観点から定めたものであります。もう一方の恒久対策基準については、耐容一日摂取量の観点とは別に、最新の技術で達成可能な排出抑制水準を定めたものでございます。したがって、今後処理技術の進歩に応じながら、見直しが図られていくものと理解をしております。 次に、既設の焼却炉の恒久対策基準の達成に向けた対応についての御質問でございます。 現在策定中のごみ処理広域化計画に従い、将来は各ブロックごとに大型の焼却炉に集約することとなります。それまでの間は、既設の焼却炉において適正に対応しなければなりませんので、県といたしましては、市町村及び一部事務組合に対し、施設の改良、改修や、適正な燃焼管理の徹底などにより、平成十四年を待たずに、できるだけ早い時期に恒久対策基準を達成するよう指導をしてまいりたいと考えております。 次に、産業廃棄物焼却施設についての基準達成状況についてでございます。 産業廃棄物の焼却施設を設置している事業者に対しては、昨年十月に県内各地で説明会を実施し、規制基準の強化の内容と今後必要となる改善内容について周知を図りました。その後、廃止予定を除いた五十以上の焼却施設に対して随時立ち入りを行って、施設の改善方策を指導してまいったところでありますが、その結果、現在のところ、ことしの十二月一日から適用される基準のうち、ダイオキシンの抑制にかかわりの深い項目については、おおむね達成されつつある状況と認められます。また、排ガス中のダイオキシン濃度については、現在事業者による測定状況を調査中でありますが、今まで把握した中では、排出基準値を上回っているものはございません。今後については、すべての焼却施設が所定の期日までに基準を達成できますよう、一層強力に立り入り指導を継続してまいりたいと考えております。 次に、農業用廃プラスチック、漁網、建築廃材などの処理の現状はどうかということでございますので、それぞれお答えをしたいと思います。 まず、農業用廃プラスチックでありますが、この使用状況年々増加しております。平成九年の排出量は三千四百五十トン、処理の内訳は、六〇%が焼却処理、二七%が埋め立て処理、その他一三%となっております。 県では、野焼きなどの焼却防止徹底のチラシを全農家に配布するなど、啓発活動に取り組んでおりますが、更に、塩化ビニールからポリオレフィン系や耐用年数の長い代替フィルムへの転換を促進しております。また、農業用廃プラスチック適正処理モデル事業の推進により、市町村や広域農協レベルでの回収処理への取り組みが増加してきております。こういったことから、平成十年の排出量は調査中ではありますが、不適正な処理が着実に減少しているものと認識しております。 漁網等の処理については、漁網店の下取り、処理場での処分のほか、一部では野積みされている現状にございます。県といたしましては、現在系統団体が策定中の漁業系廃棄物の適正処理基本計画とあわせて、漁業者みずからによる適正処置について引き続き指導、支援してまいります。 次に、建築廃材の処理の現状でございますが、木造建築の廃材や廃プラスチックなど、焼却されればダイオキシンを発生する可能性のある建築廃材については、県発注の公共工事から発注するものについては、全量最終処分場に埋め立て処分しております。 次に、小型焼却炉の回収をすべきではないかとのお尋ねについてお答えをいたします。 簡易な小型焼却炉からのダイオキシンの排出実態については、今のところ科学的に解明されていない部分がありますが、リスクの回避をするという観点から、当面は使用自粛を含めた慎重な取り扱いが必要と考えております。 そこで、家庭や事業所において、使用を停止して不要となった焼却炉が出てくるわけでございますが、その回収については、地域の実情に応じ、各市町村及び一部事務組合において対処すべきものと考えております。 次に、埋め立て処分場の浸出水の測定結果の公表と周辺住民の血液中濃度の測定についてであります。 昨年度、県では、焼却灰を埋め立てているすべての最終処分場について、その浸出水の処理水について、ダイオキシン類濃度の測定を行い、その結果を公表したところでございます。今年度以降は、各施設管理者において、当分の間、定期的な調査を継続するよう指導しておりまして、県は、この調査に要する経費を補助することといたしております。各施設管理者が実施した測定結果については、県で取りまとめの上、定期的に公表してまいりたいと考えております。 また、周辺住民の血液中濃度調査についてでありますが、現在、国で測定体制の整備、測定方法の標準化、精度管理について検討しているところでありまして、県といたしましては、今年度厚生省と共同で母乳中のダイオキシン類調査を行うことを予定をしております。更に、国では、ダイオキシン発生源付近住民等についての血液中ダイオキシン濃度調査を今年度中に実施することを検討しているようでありまして、県といたしましても、この調査に積極的に参加し、科学的知見の集積に努めてまいりたいと考えております。 次に、環境ホルモンに関してでありますが、そのうち学校給食の
ポリカーボネート製容器については教育長から答弁をいたします。 私からは、環境ホルモンに関して、肉類への包装ラップの使用自粛又は禁止を関係業界に対し要請すべきと思うがどうかというお尋ねにお答えをいたします。 食品の容器包装の安全性については、ことし三月に開催された厚生省の食品衛生調査会毒性・器具容器包装合同部会において審議検討されておりまして、この中で包装ラップを含む食品容器包装について、現行の規制に加えて更に環境ホルモンとして緊急に規制する状況にはないとされておりますので、御理解願います。 なお、現在国において、更に内分泌撹乱化学物質に関する調査研究が進められておりますので、その推移を見守りたいと考えております。 次に、水道の水質基準項目に除草剤のアトラジンも加えるべきとのお尋ねでございます。 水道の水質基準項目は、厚生大臣が生活環境審議会の答申を受けて省令で定めておりまして、現在のところ、四十六項目となっております。厚生省では、水道の水質に関する基準の見直しを行っておりますが、アトラジンについては、現在のところ、その対象とはなっていないと伺っておるところでございます。 環境ホルモン対策についての国への働きかけについてでございますが、現在国では、ことしの五月に策定した環境ホルモン戦略計画、SPEED98に基づいて、全国的な環境汚染の実態調査を実施し、その結果に基づいた環境リスク評価、環境リスク管理及び情報提供を推進することとしておりまして、またPRTR、すなわち化学物質の排出・移動登録制度についても早期の法制化を目指しているところと認識をしております。 県といたしましては、こういった国の取り組みが強力に推し進められるべきと考えておりまして、既にさまざまな機会に国に対して要望をしておりまして、今後とも積極的な働きかけをしてまいりたいと考えております。 五番目の論点として、聴覚障害者対策について何点かお尋ねがございました。 難聴者、中途失聴者の方々に対する取り組みについてでございます。 まず、耳のシンボルマークについてお尋ねがございました。 現在、要約筆記通訳せんだいの方々を初めとするボランティアグループの活動によって、この耳のシンボルマークが一部の病院に掲示されて、その普及啓発が図られていると承知をしております。県といたしましても、当面、重点的に市町村や病院といった公共的な場所で、耳のシンボルマークの普及に努めてまいりたいと考えております。また、広報紙などを通して県民の皆様にも耳のシンボルマークのことを周知をし、聴覚に障害のある方々が受付や窓口を利用する際に対応が円滑に行われますよう努めてまいります。 また、県庁舎内への公衆ファクシミリの設置についてでありますが、これについては、今後関係機関にも働きかけを行って、設置するという方向で検討をしてまいります。 次に、字幕放送についてでありますが、現在、地震、津波といった緊急情報については、字幕による放送が行われております。聴覚に障害のある方々だけではなくて、年をとることによって難聴になる方がふえておりますことから、字幕放送は、こういった方々が情報を入手するために不可欠なものであると考えております。その意味で、できるだけ多くの番組について字幕放送の普及を今後促進する必要があると考えております。国でも、字幕放送普及のための具体的な指針を策定し、取り組んでいると承知しておりますので、県といたしましても、その早期実現に向けて関係機関に働きかけてまいりたいと存じます。 次に、病院窓口などでの対応についてであります。 耳の不自由な方々にとっては、病院などでの呼び出しに不便を感じるという声を聞いておりますが、現在、一部ではございますが、一部の病院の窓口では、番号電光表示式が採用されております。今後は、この番号電光表示式に加えて、呼び出しに対応するために、無線振動呼び出し機などもモデル的に導入をすることも考えられております。また、要約筆記奉仕員を活用して医師などとのコミュニケーションを円滑にするなど、受診時における不便の解消が図られますよう配慮してまいりたいと考えております。 次に、要約筆記奉仕員の確保と派遣事業の拡大についてであります。 これまでも要約筆記奉仕員の養成に努めてきたところでありますが、特に、平成十三年に本県で開催されます全国障害者スポーツ大会でも多くの要約筆記奉仕員が必要とされるわけでありますので、今後更に積極的に要約筆記奉仕員の養成に努めてまいりますし、また、その派遣についても拡充をしてまいりたいと考えております。 次に、聴覚障害者の生活相談の場、情報提供の機能をあわせ持つ施設の整備についての御質問にお答えをいたします。 聴覚障害者に対する施策については、現在、要約筆記奉仕員養成そして派遣事業を実施しておりますが、これに加えて、手話通訳相談員や字幕入りビデオカセットライブラリーの設置、ろうあ者日曜教室の開催、こういったことを通じて、生活相談及び情報提供を行っているところであります。こういったことを統合した生活相談や情報提供の機能をあわせ持つ聴覚障害者情報提供施設の整備については、みやぎ障害者プランに盛り込んでおるところであります。今後関係団体との協議を踏まえた上で、そのあり方について具体的に検討を進めてまいりたいと考えております。 次に、ローマ県との交流について幾つかお尋ねがございました。 去る六月七日にローマ県知事が急逝されました。そこで今後の交流について懸念をしていたわけでありますが、七月には柿崎総務部長がローマを訪問し、ローマ県、ローマ商工会議所などとの協議を通じて、新しく選出される予定の新知事の御了解を得た上で今後とも相互交流を進めることでお互いに意思の確認がされました。また、その際に、ローマ側の宮城県との交流への強い熱意を感じたという報告を総務部長から受けております。 県といたしましては、民間交流団体や経済団体との連携を一層深めながら、具体の事業についてどういった支援が可能なのか検討を進めてまいりたいと考えております。こういった取り組みの中で、私自身ローマ県訪問が必要な状況になってくれば、ぜひ実現したいものと考えております。 また、両県の友好協定の締結に関しては、ことしの五月にローマ県の文化局長を団長とする訪問団が宮城県に来られましたが、その際に今後の両県における経済交流と文化交流の推進について、総務部長とローマ県文化局長の間で覚書が締結されたところでありますので、当面は民間レベルによる経済、文化交流事業の進展を見守りながら、県内の機運が熟した段階で友好協定の締結を検討したいと考えております。 次に、暴走族の違法行為対策について警察本部長からも答弁いたしますが、私からもお答えをしたいと思います。 初めに、私自身パトロールカーに乗車し、暴走の実態を把握してはどうかとのお尋ねでございますが、暴走族対策といたしましては、これまでも宮城県交通安全県民運動の中で、暴走族追放実施要領を定めて、暴走族根絶のための追放機運の醸成に努めてまいりました。しかし、残念なことではありますが、暴走族の違法行為は依然として根絶されていないわけでありまして、今後とも警察との緊密な連携を図りながら、その対策に取り組んでまいります。 私自身がパトロールカーに乗車して実態把握をということでございますが、取り締まりの邪魔になったりすることがないかなということもちょっと心配はあります。考えさせていただきたいと思います。 次に、安心できる生活環境を目指す県民の総意としてこれに関する条例を制定すべきと思うがということでございますが、お話のように、暴走族の根絶には、家庭、地域、そして学校による暴走族追放機運の醸成が大切であります。地域に密着した積極的な施策が不可欠でありますので、そういったことから、現在、本県でも、亘理町を初め五町において条例を制定し、地域が一体となって暴走族の追放に取り組んでいるところでございます。 県としての条例の制定については、こういった自治体の動きとともに、交通安全県民運動の成果も見ながら、今後の研究課題とさせていただきたいと考えております。 暴走族の実態及び被害の実情、違法行為者の取り締まりの状況と今後の対策については、警察本部長から答弁いたさせます。 私からは、以上でございます。
○議長(佐々木久壽君) 教育長遠藤嘉彬君。 〔教育長 遠藤嘉彬君登壇〕
◎教育長(遠藤嘉彬君) 小野寺初正議員の学校給食での
ポリカーボネート製容器の切りかえについての御質問にお答えいたします。 県教育委員会といたしましては、これまで保護者や児童生徒の不安を解消するため、できるだけ食器の更新時期を早め、他の材質の食器に切りかえるよう、市町村教育委員会に働きかけてきたところであります。現時点では、八市町で切りかえを終えているところでありますが、引き続き働きかけを強めてまいりたいと考えております。 なお、県立の夜間高校と特殊教育諸学校につきましても、切りかえの準備を進めており、今月中には切りかえを終える予定になっております。 以上でございます。